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フェイスNW Research Memo(6):2026年3月期に売上高40,000百万円を目指す

注目トピックス 日本株
*13:06JST フェイスNW Research Memo(6):2026年3月期に売上高40,000百万円を目指す
■成長戦略

フェイスネットワーク<3489>は2023年5月15日に、2021年12月15日に公表した中期経営計画「NEXT VISION 2025」の進捗状況を踏まえ、「NEXT VISION 2026」に更新した。「NEXT VISION 2025」の振り返りとしては、売上高はおおむね計画通りで進捗するなか、デザイン性と居住性を両立させた開発物件が高い評価を獲得。資材価格の高騰等による原価上昇を一定の範囲でコントロールできたことにより、各段階利益について2期前倒しの達成となった。「NEXT VISION 2026」の基本方針では、「市場ニーズに合致した不動産商品の開発・事業展開による新たな顧客層の獲得」「開発物件の大型化と物件価値の最大化による収益力の更なる向上」「持続的な成長を反映した株主還元強化」「持続可能な経営基盤の構築」を掲げている。また、数値計画としては、最終年度である2026年3月期に売上高40,000百万円、営業利益5,400百万円、経常利益5,000百万円、当期純利益3,400百万円を掲げている。

「NEXT VISION 2026」における重点施策は以下のとおりである。

(1) 商品開発・事業展開の多様化による新たな顧客層の開拓
商品開発・事業展開の多様化による新たな顧客層の開拓として、不動産ST分野への参入と不動産小口化商品「GrandFunding」の販売強化を掲げている。2023年5月には、第1種金融商品取引業として登録された証券会社とST(セキュリティトークン)のプラットフォームを自社開発するシステム会社をグループ傘下に持つ金融持株会社であるHash DasH Holdings(株)への株式出資契約を締結。これにより、不動産ST分野への参入を実現し、安定した物件供給先の確保と新たな顧客層の開拓、不動産テック領域への進出を目指す。また、不動産小口化商品「GrandFunding」の販売を強化するために、セミナーやWebマーケティングを積極的に活用する。また、金融機関や士業、ファイナンシャルプランナー事務所等との連携により販売力を強化していく。「GrandFunding」は、「任意組合型」という特性を持っているため、投資家は現物不動産所有と同様に不動産税制の適用も受けることができる。対象物件は、入居需要が高い東京城南3区の人気エリアの物件であり、ワンストップサービスを提供することで運用コストを抑制し高い利回りを確保している。これにより、投資家にとって魅力的なリターンを生み出すことを実現している。

(2) 「GranDuo」シリーズの大型化と物件価値の向上
「GranDuo」シリーズを筆頭として、開発物件の大型化により1棟当たりの収益性向上を目指す。中期経営計画において、2023年3月期の竣工物件の平均販売価格は7.1億円であるのに対して、2026年3月期には12.5億円にまで引き上げる計画だ。また、プロジェクトマネージャー主導の下、最適なボリュームプランの開発を推進していくほか、賃貸物件でのウェルビーイングな暮らしを実現するため、快適な空間や体験価値の提供に注力していく。ワンストップサービスの強みを生かした入居者視点での空間づくりを推進するとともに、様々なサービスを導入し、入居者の利便性や満足度を高めることで、物件の魅力を向上させる。その他、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証を取得した物件の開発を推進することで、環境に配慮した建物の開発や省エネルギー対策の推進を行い、持続可能性の観点からも評価される物件を目指していく。

(3) 高級レジデンスの開発
コロナ禍を経て、賃貸住宅においても在宅時間を贅沢に過ごせる空間への需要や、広く快適な住環境を求める賃貸需要が増加している。また、これから訪日外国人の増加に伴う需要増も見込まれる。同社では、これらの需要に対応するため、中低層型の高級レジデンスの開発を推進している。需要が見込まれるエリアを厳選し、従来の「GranDuo」シリーズとは一線を画した大規模かつグレード感のある高級レジデンスを提供する。コロナ禍において住宅ニーズが変化し、在宅時間の充実や快適な居住環境への要求が高まっていることは市場のトレンドとして注目されており、同社が需要に応じた開発を行うことで、付加価値の向上や競争力の強化が期待できると弊社では見ている。また、中低層型の高級レジデンスというセグメントに注力することで、他の競合企業との差別化や収益性の向上につなげることができると考える。

(4) 適正な利益分配による株主還元の強化
同社は、2023年5月に業績連動型の配当方針への変更を公表した。配当性向35%以上という具体的数値による目標を掲げ、利益の増加を通じて株主価値を高めることを目指す。配当性向目標を織り込んだ2026年3月期の配当は120.0円を見込んでおり、配当方針の変更による配当性向目標の設定は、将来的な成長に応じた配当の増加を期待させる。また、必要に応じて自社株式を取得することも検討しており、資本効率の向上や経営環境の変化に柔軟に対応するとともに、株主還元の充実を図っていく。業績連動型の配当方針の採用は、株主価値の向上や経営の透明性向上につながる重要なポイントだ。また、自己株式の取得は、資本政策の柔軟性を高めるうえで重要な手段の1つだ。経営環境の変化や資金需要に応じて自社株式を取得することで、株主への還元を効果的に行いながら、資本効率の向上や企業価値の最大化を図ることができると弊社では見ている。

(5) ワンストップサービス体制の充実による経営基盤の強化
同社では、物件開発力を強化するために優れた人材を確保することを重視している。優秀な設計や施工担当者を採用し、物件の品質向上と開発スピードの加速を図る。また、M&Aを含めたリソースの拡充を通じて、設計や施工の体制を強化する。適切な資源の配置とパートナーシップの構築により、効率的かつ高品質な物件開発を実現する。その他、施工部隊の教育研修体制を整備し、技術力や品質管理の向上を図る。継続的なスキルアップや最新技術の導入によって、施工品質の向上と競争力の維持を目指す。社内DXに関しても、引き続き推進していく方針であり、セールスフォースの活用による情報共有と業務効率化のさらなる促進を図る。デジタルツールやプロセスの導入によって、内部のコミュニケーションやプロジェクト管理を改善し、生産性を向上させていく。同社が掲げる「人材戦略やリソースの拡充策」「教育研修体制の整備」「社内DX推進」といった施策は、物件付加価値や短期的な収益性の向上のみならず、中長期的な企業の成長に不可欠なものであると弊社では考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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