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Sシャワー Research Memo(5):2023年3月期は回復途上だが営業黒字転換

注目トピックス 日本株
*14:15JST Sシャワー Research Memo(5):2023年3月期は回復途上だが営業黒字転換
■業績動向

1. 2023年3月期連結業績の概要
スペースシャワーネットワーク<4838>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比10.9%増の15,381百万円、営業利益が153百万円の黒字(2022年3月期は0百万円の損失)、経常利益が同2.2%増の563百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同39.3%減の348百万円だった。売上面は、メディアセグメントが有料放送の契約者数減少などで減収だったが、ライブ・コンテンツセグメントがコロナ禍影響緩和による大型イベントの再開、ライブハウスの回復、エンタテインメントカフェの来店者数増加などで大幅増収となって牽引し、利益面は増収効果で営業利益が黒字転換した。売上総利益は13.6%増加し、売上総利益率は0.3ポイント上昇して16.0%となった。販管費は人件費の増加などにより6.6%増加したものの、販管費比率は0.7ポイント低下して15.0%となった。

営業利益153百万円増益の事業別分析は、有料放送が110百万円減、イベントが60百万円増、ライブハウスが137百万円増、アーティストが27百万円増、エンタテインメントカフェが218百万円増、ディストリビューションが128百万円減、ファンクラブが25百万円減、その他が26百万円減だった。営業外収入では助成金収入464百万円を計上したが前期比(前期は489百万円計上)では減少し、営業外費用で助成金返還損85百万円を計上したため経常利益は小幅増益にとどまった。特別利益では投資有価証券売却益を97百万円計上(同3百万円計上)した。特別損失では減損損失を90百万円(同34百万円計上)したが、前期計上の投資有価証券売却損19百万円が剥落した。また法人税等調整額118百万円を計上(同129百万円減計上)して税負担が増加したため親会社株主帰属当期純利益は減益だった。

なお、計画との比較で見ると、期中に業績予想の修正(2022年10月28日付で売上高と営業利益を下方修正、経常利益を据え置き、当期純利益を上方修正、2023年1月27日付で売上高・各利益とも上方修正、2023年5月12日付で売上高・利益とも上方修正)があったが、結果的には期初計画(2022年5月13日付)に対して、ディストリビューション事業において音楽配信売上が計画を下回ったため売上高と営業利益が期初計画を下回ったものの、経常利益と当期純利益は期初計画を上回って着地した。


ライブ・コンテンツが大幅増収増益で回復本格化
2. セグメント別の動向
セグメント別の動向(売上高は外部顧客への売上高、セグメント利益は経常利益、2022年3月期は新区分に組替後)は以下のとおりである。

メディアセグメントは、売上高が前期比8.9%減の4,946百万円で、経常利益が同35.0%減の272百万円となり、減収減益だった。主力の有料放送事業において契約者数の漸減傾向が継続し、番組販売売上が減少した。映像制作事業は、ライブ映像収録案件の受注増加で増収だが、助成金収入の減少で減益だった。

ライブ・コンテンツセグメントは、売上高が前期比39.6%増の5,914百万円で、経常利益が同516.9%増の374百万円だった。行動制限緩和などでコロナ禍の影響が和らぎ、大型イベントの再開、ライブハウスの回復、エンタテインメントカフェの来店者数増加などで大幅増収増益だった。経常利益率も大幅に上昇した。

ソリューションセグメントは、売上高が前期比7.8%増の4,520百万円で、経常利益が91百万円の損失(前期は46百万円の利益)となり、増収減益だった。ディストリビューション事業において音楽配信売上が増加したが、人材再配置に伴う人件費の増加や配信システムの運用コストなど、音楽配信運営体制強化に向けた投資が先行した。ファンクラブ運営は受託案件が減少した。


財務の健全性は良好
3. 財務の状況
財務面で見ると、2023年3月期末の資産合計は前期末比539百万円増加して7,804百万円となった。現預金が同669百万円増加した一方で、繰延税金資産が同145百万円減少した。負債合計は同209百万円増加して4,112百万円となった。未払金が同473百万円増加、賞与引当金が同106百万円増加した一方で、買掛金が同96百万円減少、その他流動負債が同222百万円減少、役員退職慰労金引当金が同99百万円減少した。純資産合計は同330百万円増加して3,691百万円となった。自己株式消却により自己株式が1,038百万円減少した一方で資本剰余金が同額減少した。また、譲渡制限付株式報酬付与のための自己株式処分により自己株式が20百万円減少し、利益剰余金が265百万円増加した。この結果、自己資本比率は1.1ポイント上昇して47.3%となった。なお同社は、2022年2月28日を効力発生日として資本金の額を減少し、全額をその他資本剰余金に振り替えているが、純資産の部における勘定科目内の振替処理であり、純資産の額に変動はない。

全体として大きな変動項目はなく、自己資本比率が上昇した。無借金経営であり、キャッシュ・フローの状況にも特に懸念点は見られない。財務の健全性は良好と弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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