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日本ヒューム Research Memo(3):基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業を展開

注目トピックス 日本株
*14:23JST 日本ヒューム Research Memo(3):基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業を展開
■日本ヒューム<5262>の事業概要

1. 事業概要
報告セグメントは、基礎事業、下水道関連事業、太陽光発電・不動産事業、その他である。

a) 基礎事業
基礎事業は、様々な土木・建築物を支える基礎工事に使用されるコンクリートパイル(杭)の製造・販売及び杭打工事などを行っている。コンクリートパイル(杭)は、工場において鋼製の円筒形型枠に鉄筋かごを配置した後、ミキサーで練り混ぜたコンクリートを投入し、遠心力を利用してコンクリートを締め固めて成形する。同社は大手メーカーとして、地盤や上部構造など各種条件に対応した豊富な種類の杭を取り揃えている。工事施工の面では排出残土の少ない中掘工法などを強みとしている。

b) 下水道関連事業
下水道関連事業は、ヒューム管、合成鋼管、セグメントなどのコンクリート製下水道関連製品の製造・販売を中心に、壁高欄などのコンクリート製道路関連製品の製造・販売、さらに下水道関連の管渠更生工事などを行っている。ヒューム管は工場において遠心力を利用して成形し、上・下水道、農業・工業用水、雨水管、電線・ケーブルを通すための地中管など、様々な分野で幅広く使用されている。なお、コンクリート製品の製造方法は、遠心力を利用する遠心力製法のほか、振動と圧縮の作用を利用するバイコン製法などがあるが、同社は遠心力製法を特徴・強みとしている。

c) 太陽光発電・不動産事業、その他事業
太陽光発電・不動産事業は、ヒュームズ及び環境改善計画が、太陽光発電(NH東北太陽光発電所、NH岡山太陽光発電所)、不動産賃貸・管理、環境関連機器販売・コンサルティングなどを行っている。その他事業では、エヌエクス及びコンフロンティアが、下水道関連工事用機材のレンタル事業、脱炭素マテリアル事業などを行っている。コンフロンティアは今後、都市インフラソリューション事業、再生可能エネルギー事業、脱炭素マテリアル事業を展開する方針としている。


下水道関連事業が利益柱
2. 下水道関連事業
過去5期の(2019年3月期〜2023年3月期)のセグメント別売上高・営業利益・営業利益率の推移は次のとおり。売上面では基礎事業と下水道関連事業が2本柱だが、利益面では下水道関連事業が柱となっている。基礎事業の売上高は、2019年3月期で26,080百万円、2022年3月期で16,837百万円と右肩下がりで推移したが、2023年3月期に19,925百万円とやや持ちなおした。営業利益率は、売上高同様に2019年3月期で4.6%、2022年3月期で1.4%、2023年3月期は1.6%で前期比0.2ポイント上昇したが、全体としては低下傾向と言える。下水道関連事業は売上高が2019年3月期で10,337百万円、2021年3月期で11,111百万円、2023年3月期で10,464百万円とおおむね横ばいで推移しているが、営業利益率は2019年3月期で11.5%、2021年3月期で15.0%、2023年3月期で16.1%と上昇傾向となっている。なお基礎事業と下水道関連事業の営業利益率に大きな差があるが、これは、基礎事業は民間建築工事が中心であり、下水道関連事業は公共工事が中心であるためだ。民間中心の建築関連工事の利益率が公共工事中心の土木関連工事に比べて低いという傾向は、同社だけでなく建設関連業界全般に共通した傾向である。太陽光発電・不動産事業は、大きな変動がなく安定収益源となっている。


コンクリートパイルとヒューム管の両方で上位シェアを有する
3. 特徴・強み
同社の強みは時代のニーズに合った製品や工法を開発する技術力である。1925年に日本で初めて遠心力を利用して下水用ヒューム管の製造を開始し、その技術を活用して事業領域をコンクリートパイルのほか大口径分野や道路分野を含む各種プレキャストコンクリート製品※へ広げ、下水道分野では老朽化対策の管更生事業とストックマネジメント事業へ拡大した。

※工場で製造した後、建設現場で組立・据付を行うコンクリート二次製品のこと。


地震対策や社会インフラ老朽化対策では、各種コンクリート製品の機能・強度向上に努めている。施工の面でも下水道管路・マンホール耐震化工法や管渠更生工法などを開発し、新たな工法の開発を進めている。近年は、施工効率化に向けてICTを活用した施工管理「Pile-ViMSys(パイルヴィムシス)(R)」、カーボンニュートラルに向けた脱炭素型・長寿命化対応コンクリート「e-CON(R)」など、次世代に向けた新技術・新製品の開発を強化している。

事業環境に関しては、下水道関連事業で主に使用されるヒューム管の需要は過去10年間で減少傾向となっているが、同社は一定規模の出荷量を確保し、2022年度の同社の市場シェアは20.9%(首位)となっている。基礎事業で主に使用されるコンクリートパイルの需要は過去10年間おおむね横ばいで推移し、2022年度の同社の市場シェアは8.5%(4位)である。ヒューム管専業あるいはコンクリートパイル専業が多い業界にあって、ヒューム管とコンクリートパイルの両方で上位市場シェアを獲得しているのは同社のみである。同社の技術力や品質力の高さを示していると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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