レアジョブ Research Memo(2):オンライン英会話サービスの業界最大手、累積無料会員数は110万人超(1)
[23/07/14]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
*14:22JST レアジョブ Research Memo(2):オンライン英会話サービスの業界最大手、累積無料会員数は110万人超(1)
■会社概要
1. 会社概要
(1) 経営ビジョン・ミッション
レアジョブ<6096>は、主にオンライン英会話サービスを手掛ける最大手企業である。「レアジョブ英会話」を中心にオンラインでの英会話学習サービスを個人・法人・教育機関向けに提供し、グループビジョンとして掲げた「Chances for everyone, everywhere.」の実現を目指し、ビジネス展開を進めている。「Chances for everyone, everywhere.」とは、「世界中の人々が、それぞれの能力を発揮し、活躍する基盤を作る」ことであり、「新たな学びを得るチャンス、才能を開花させるチャンス、新しいなにかに出会えるチャンス」を、インターネットを通して、あらゆる人と場所に届け、世界中の人々が国境や言語の壁を越えて活躍できる社会を創造していくという意味が込められている。
主に、オンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」を運営しており、サービスミッション「日本人1,000万人を英語が話せるようにする。」を掲げている。個人のキャリアにおける重要性が一段と増す中で、英会話スキルを身につけたいというニーズは増加している。また、企業でも事業活動のグローバル化によりグローバル人材の育成が課題となっており、英会話を研修プログラムとして取り入れる動きが活発化している。教育現場においても2020年の学習指導要領改訂により、小学生から英語が必修化され、英会話スキルが重要視されるようになってきており、英会話学習サービスのニーズは今後もさらに拡大していくことが予想される。
また、法律系難関資格向け講座の提供を行う(株)資格スクエアを2021年12月に子会社化したことで、より広範な学び領域への事業拡大を行っている。
(2) 会社沿革
同社は、2007年に現代表取締役社長の中村岳(なかむらがく)氏と前代表取締役会長の加藤智久(かとうともひさ)氏が中心となって設立された。創業当時は英会話を習得するためには、英会話スクールに通うことや海外に留学することが一般的であったが、いずれも費用が高く、英語を話したくても安価に話す場がないという課題があった。そうしたなかで、インターネット技術が発達し、通信ネットワークの高速化が進むなか、無料通話のコミュニケーションツール「Skype」が普及し始めたことをきっかけに、「Skype」を使って安価な料金で英会話サービスを提供することを構想し、事業をスタートさせた。
英語の講師については、英語を公用語としているフィリピンで採用を進めた。当時、代表の知人のフィリピン人大学生を通じて、クラスメイトで英語を話せる友人を集めてもらい、プレサービスを開始した。講師へ支払う報酬や労働条件に競争力があったことから、口コミで講師のネットワークも広がり、現在の講師規模は6,000人以上と圧倒的な基盤を構築している。なお、これら講師の選定・教育・管理を行う子会社として2008年にRareJob PhilipPines, Inc.を設立している。
オンライン英会話サービスとして2007年11月より個人向けに開始した「レアジョブ(現レアジョブ英会話)」は、通学型の英会話スクールと比較して大幅に安価な料金で提供を開始したこと、最初は無料レッスンを提供し、サービスを気に入れば有料会員として月額契約する課金モデルとしたこと、教材費や入会金・中途解約料などの受講料以外の追加費用を不要とし、入会に対する費用面でのハードルを引き下げたことで、受講者数が右肩上がりに伸びていった。2009年には法人向けサービスの提供も開始し、2014年6月には東証マザーズ市場に株式上場を果たしている。
2015年以降はサービス品質を向上させ、従来の日本人学習者とフィリピン人講師をマッチングし、英語を話す場を提供するサービスから、英語が話せるようになるという成果を提供する英語教育サービスへの転換を進めていった。オンライン英会話サービスとしては、「ビジネス英会話コース」や「中学・高校生コース」などサービスメニューを拡充したほか、カリキュラムや教材の品質向上、講師の採用基準の引き上げやトレーニングの強化に取り組みを行った。また、2018年10月に成果保証型英会話サービスとなる「スマートメソッドコース」の提供を開始した。
また、2015年7月に三井物産<8031>と資本業務提携契約を締結し、三井物産のネットワークを活用して法人向けサービスの販売や海外展開などの取り組みや、2016年2月には(株)増進会出版社(現(株)増進会ホールディングス)と資本業務提携契約を締結し、Z会グループ会員向けの英会話プログラム「Z会Asteria」「NEW TREASURE Online Speaking」などの共同開発や文教事業での連携を開始するなど、大手企業と業務提携を結びながら事業展開を加速している。なお、同社は2019年2月に会社分割により学校向けオンライン英会話サービスや子ども専門オンライン英会話「リップルキッズパーク」を運営する子会社、(株)エンビジョンを設立しており、2019年4月に増進会ホールディングスがエンビジョンに出資(出資比率で33.41%)を行い、文教事業領域での協業体制を強化した。なお、(株)エンビジョンは2023年4月に増進会HDとの合弁契約を解消し完全子会社化したのち、2023年6月に(株)ボーダーリンクに吸収合併されている。
2019年には英語だけでなくグローバルに活躍するために必要なスキルの習得を支援するため、グローバルリーダー育成事業を開始している。パソナグループ<2168>で対面型の人材研修事業を展開するキャプラン(株)と2019年11月に業務提携を開始し、グローバルリーダー育成を支援する研修プログラムの共同開発を進めている。さらに、2021年3月には法人向け事業を分社化し、(株)プロゴスを新たに設立した。2020年6月に市場投入した英語スピーキング力測定システム「PROGOS」でアセスメントデータを収集し、アセスメントデータプラットフォームを起点として、グローバルリーダーに必要なスキルの多面的なアセスメントの開発も進めていく。この多面的なスキルアセスメントを基軸に、採用・育成・評価・配置まで領域を拡大させ、企業の人事機能を支援するサービスを拡充し、法人向け事業の成長加速を目指している。
2021年10月には、ALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)の人材派遣や英会話スクール運営を行っている(株)ボーダーリンクの株式を49.000%取得し、持分法適用会社化している。そして、2021年12月には(株)サイトビジットの会社分割(新設分割)により、資格試験対策をオンラインで提供する資格スクエア事業を承継する新設会社、資格スクエアの株式を取得し、子会社化している(2023年7月で(株)レアジョブに合併)。さらに、2022年1月には、同社の技術部門を分社化、(株)レアジョブテクノロジーズを設立し、AIに関する研究開発事業等を同4月に開始している。また、2023年4月には(株)ボーダーリンクを完全子会社化した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<YI>
■会社概要
1. 会社概要
(1) 経営ビジョン・ミッション
レアジョブ<6096>は、主にオンライン英会話サービスを手掛ける最大手企業である。「レアジョブ英会話」を中心にオンラインでの英会話学習サービスを個人・法人・教育機関向けに提供し、グループビジョンとして掲げた「Chances for everyone, everywhere.」の実現を目指し、ビジネス展開を進めている。「Chances for everyone, everywhere.」とは、「世界中の人々が、それぞれの能力を発揮し、活躍する基盤を作る」ことであり、「新たな学びを得るチャンス、才能を開花させるチャンス、新しいなにかに出会えるチャンス」を、インターネットを通して、あらゆる人と場所に届け、世界中の人々が国境や言語の壁を越えて活躍できる社会を創造していくという意味が込められている。
主に、オンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」を運営しており、サービスミッション「日本人1,000万人を英語が話せるようにする。」を掲げている。個人のキャリアにおける重要性が一段と増す中で、英会話スキルを身につけたいというニーズは増加している。また、企業でも事業活動のグローバル化によりグローバル人材の育成が課題となっており、英会話を研修プログラムとして取り入れる動きが活発化している。教育現場においても2020年の学習指導要領改訂により、小学生から英語が必修化され、英会話スキルが重要視されるようになってきており、英会話学習サービスのニーズは今後もさらに拡大していくことが予想される。
また、法律系難関資格向け講座の提供を行う(株)資格スクエアを2021年12月に子会社化したことで、より広範な学び領域への事業拡大を行っている。
(2) 会社沿革
同社は、2007年に現代表取締役社長の中村岳(なかむらがく)氏と前代表取締役会長の加藤智久(かとうともひさ)氏が中心となって設立された。創業当時は英会話を習得するためには、英会話スクールに通うことや海外に留学することが一般的であったが、いずれも費用が高く、英語を話したくても安価に話す場がないという課題があった。そうしたなかで、インターネット技術が発達し、通信ネットワークの高速化が進むなか、無料通話のコミュニケーションツール「Skype」が普及し始めたことをきっかけに、「Skype」を使って安価な料金で英会話サービスを提供することを構想し、事業をスタートさせた。
英語の講師については、英語を公用語としているフィリピンで採用を進めた。当時、代表の知人のフィリピン人大学生を通じて、クラスメイトで英語を話せる友人を集めてもらい、プレサービスを開始した。講師へ支払う報酬や労働条件に競争力があったことから、口コミで講師のネットワークも広がり、現在の講師規模は6,000人以上と圧倒的な基盤を構築している。なお、これら講師の選定・教育・管理を行う子会社として2008年にRareJob PhilipPines, Inc.を設立している。
オンライン英会話サービスとして2007年11月より個人向けに開始した「レアジョブ(現レアジョブ英会話)」は、通学型の英会話スクールと比較して大幅に安価な料金で提供を開始したこと、最初は無料レッスンを提供し、サービスを気に入れば有料会員として月額契約する課金モデルとしたこと、教材費や入会金・中途解約料などの受講料以外の追加費用を不要とし、入会に対する費用面でのハードルを引き下げたことで、受講者数が右肩上がりに伸びていった。2009年には法人向けサービスの提供も開始し、2014年6月には東証マザーズ市場に株式上場を果たしている。
2015年以降はサービス品質を向上させ、従来の日本人学習者とフィリピン人講師をマッチングし、英語を話す場を提供するサービスから、英語が話せるようになるという成果を提供する英語教育サービスへの転換を進めていった。オンライン英会話サービスとしては、「ビジネス英会話コース」や「中学・高校生コース」などサービスメニューを拡充したほか、カリキュラムや教材の品質向上、講師の採用基準の引き上げやトレーニングの強化に取り組みを行った。また、2018年10月に成果保証型英会話サービスとなる「スマートメソッドコース」の提供を開始した。
また、2015年7月に三井物産<8031>と資本業務提携契約を締結し、三井物産のネットワークを活用して法人向けサービスの販売や海外展開などの取り組みや、2016年2月には(株)増進会出版社(現(株)増進会ホールディングス)と資本業務提携契約を締結し、Z会グループ会員向けの英会話プログラム「Z会Asteria」「NEW TREASURE Online Speaking」などの共同開発や文教事業での連携を開始するなど、大手企業と業務提携を結びながら事業展開を加速している。なお、同社は2019年2月に会社分割により学校向けオンライン英会話サービスや子ども専門オンライン英会話「リップルキッズパーク」を運営する子会社、(株)エンビジョンを設立しており、2019年4月に増進会ホールディングスがエンビジョンに出資(出資比率で33.41%)を行い、文教事業領域での協業体制を強化した。なお、(株)エンビジョンは2023年4月に増進会HDとの合弁契約を解消し完全子会社化したのち、2023年6月に(株)ボーダーリンクに吸収合併されている。
2019年には英語だけでなくグローバルに活躍するために必要なスキルの習得を支援するため、グローバルリーダー育成事業を開始している。パソナグループ<2168>で対面型の人材研修事業を展開するキャプラン(株)と2019年11月に業務提携を開始し、グローバルリーダー育成を支援する研修プログラムの共同開発を進めている。さらに、2021年3月には法人向け事業を分社化し、(株)プロゴスを新たに設立した。2020年6月に市場投入した英語スピーキング力測定システム「PROGOS」でアセスメントデータを収集し、アセスメントデータプラットフォームを起点として、グローバルリーダーに必要なスキルの多面的なアセスメントの開発も進めていく。この多面的なスキルアセスメントを基軸に、採用・育成・評価・配置まで領域を拡大させ、企業の人事機能を支援するサービスを拡充し、法人向け事業の成長加速を目指している。
2021年10月には、ALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)の人材派遣や英会話スクール運営を行っている(株)ボーダーリンクの株式を49.000%取得し、持分法適用会社化している。そして、2021年12月には(株)サイトビジットの会社分割(新設分割)により、資格試験対策をオンラインで提供する資格スクエア事業を承継する新設会社、資格スクエアの株式を取得し、子会社化している(2023年7月で(株)レアジョブに合併)。さらに、2022年1月には、同社の技術部門を分社化、(株)レアジョブテクノロジーズを設立し、AIに関する研究開発事業等を同4月に開始している。また、2023年4月には(株)ボーダーリンクを完全子会社化した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<YI>