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リソル Research Memo(7):ホテルなど運営事業が売上・利益をけん引

注目トピックス 日本株
*15:07JST リソル Research Memo(7):ホテルなど運営事業が売上・利益をけん引
■業績動向

2. 2023年3月期セグメント別の状況
セグメント別の状況は各事業まちまちで、売上高については、回復の兆しが見えるホテル運営事業が大きく伸ばす一方、再生エネルギー事業が大きく減らした。経常損益については、エネルギーなどのコストが高騰するなかホテル運営事業、ゴルフ運営事業、リソルの森(CCRC)事業が大幅増益、福利厚生事業や再生エネルギー事業、投資再生事業が大幅減益となった。なお、リソルホールディングス<5261>のセグメント利益は、投資再生事業を含めた各セグメントの経営成績を明確化するため、経常損益ベースとなっている。

ホテル運営事業の業績は、売上高7,521百万円(前期比104.2%増)、経常損失1,154百万円(前期は経常損失2,059百万円)となった。「全国旅行支援」や水際対策緩和に加え、全国を5ブロックに分けるなどホテルのマネジメント体制を強化したことなどにより、徐々に稼働率と客室単価が改善した。首都圏と九州など一部エリアでは売上高がコロナ禍前の水準に戻ってくるなど、ホテルの復活へ向けて大きく動き出した。こうした状況のなか、女性客・観光客に選ばれる“ツーリストホテル”への転換を目指し、サービスや品質の向上に取り組んだ。まず、“ホテルリソル”の新たなコンセプトとして「物語のあるホテル」を掲げ、「Design」「Eatwell Breakfast」「Relaxation」の3つの魅力をブランディングによって打ち出した。中長期滞在に対応した新たな“ホテルリソルステイ”シリーズの開業準備も進め、コワーキングスペースの設備が充実した「リビングロビー@」に、トレインビューも楽しめる「ホテルリソルステイ秋葉原」を2023年4月1日に開業した。それにあわせ、欧米系のインバウンド集客にも注力しているようだ。

新規事業の「リソルステイ事業」では、アフターコロナにおける新たな生活スタイルを先取りし、貸別荘に「暮らすように泊まる。」をコンセプトに、様々な旅のスタイルにあわせてウイークリーステイ・マンスリーステイ・デイリーステイと滞在日数に応じて施設が選べる商品の拡充に努めた。ウイークリーステイではリーズナブルな価格で平日5泊の宿泊ができるプランを販売しているほか、マンスリーステイは、1ヶ月以上ゆとりをもって暮らすことに特化したロングステイ商品「スイートヴィラ三十日(みそか)」の販売を開始、デイリーステイでは貸別荘の特徴ともいえる大人数での利用を前提に、週末や連休、夏休みなどに宿泊できるスイートヴィラの施設数を拡充した。スイートヴィラは、別荘のオーナーが利用する1週間程度のピークタイム以外の貸出を同社が管理するため、別荘オーナーに好評で、すでに多くの物件が安価で調達できている模様である。一方ユーザーも、インバウンド客のみならず、新たな生活スタイルとして長期滞在を利用する日本人客が増えるとの予測もあり、先行き有望な事業ということができる。なお“ホテルリソル”では、同業他社のように理論どおりの標準化をしているわけではないため、物件の調達やバラエティといった面で優位な状況にあるようだ。

ゴルフ運営事業の業績は、売上高6,093百万円(前期比3.6%増)、経常利益687百万円(同8.4%増)となった。コロナ禍で拡大した若者や女性、70代〜80代のプレーが引き続き伸びるなど、ゴルフプレー需要の追い風が続くなか、コースコンディションの上質化を進めたことで、直営コースの会員権販売の拡大や客単価上昇につなげることができた。また、「リソルカード」会員の拡大により集客が安定、宿泊施設を併設している施設については、「全国旅行支援」を活用した販売に注力したことで稼働率が好調に推移した。「フェアウェイフロントヴィラ事業」では、新たに「瀬戸内ゴルフリゾート」においてヴィラ7棟の営業も開始した。さらに、東急不動産から譲渡された4つのゴルフ場の運営を開始した(関西カントリークラブ、三木よかわカントリークラブが2023年2月、望月リソルゴルフクラブ、有田リソルゴルフクラブが2023年3月)。調達・買収に関してはホテル運営事業と同様、立地や品格に合わせて個性的な運営を行っているため、標準化を徹底する同業他社と比較して、東急不動産の例のように案件が集まりやすくなっている。

リソルの森(CCRC)事業の業績は、売上高3,490百万円(同18.7%増)、経常利益185百万円(同223.9%増)となった。ゴルフプレー需要の追い風が続くなか、宿泊需要も復活してきた。ゴルフ部門(真名カントリークラブ)では、コースメンテナンス改善やコース改良を重ねてきたことが評価され、客単価が大幅に上昇するとともに来場者も順調に増加した。リゾートエリアに滞在しながらゴルフを楽しむ「ゴルフ&ステイ」の利用が大幅に拡大、ゴルフ会員権の販売も好調に推移した。リゾート部門においては、2020年にオープンしたグランピングエリア「グランヴォー スパ ヴィレッジ」で、高品質でホテルライクなサービスの徹底や豊かな自然や季節に応じた体験型プログラムの提供を進めた。団体研修については、コロナ禍でテレワーク普及の一方向コミュニケーションに課題を残した企業の需要が拡大、敷地内で多彩なチームビルディングプログラムやコミュニケーションができることも強みとなって、前期を大きく超える利用となった。また、スポーツ施設や「メディカルトレーニングセンター」、大型屋外プール「ラク・レマンプール」やフォレストアドベンチャー「ターザニア」といったアクティビティのビジター料金を止め、宿泊客が滞在期間中に無料で利用できるサービス(インクルーシブエクスペリエンス)を導入(一部プランは除く)したことで、ロイヤリティの高い顧客の集客が順調に進んだ。これも「リソルの森」のブランディングに貢献したようだ。足もとでは、台湾や韓国からの富裕層によるリピートも増加している模様である。

福利厚生事業の業績は、売上高874百万円(同0.9%増)、経常利益2百万円(同91.6%減)だった。アフターコロナでの人材確保やワークエンゲージメント向上のため健康分野の商品開発に注力、福利厚生制度の見直しを提案する一方で、オンラインサービスの拡充やSNS・スマホアプリによる利用促進など会員の利便性向上にも努めた。さらに、グループシナジーの効果を最大限活かすための新たな体制基盤の構築を図るとともに、外部との提携や、競合他社に対して強みとなっている「精算ビジネスモデル」「プラスユアチョイス」「グループ直営施設」を武器に営業体制を強化、新規顧客の開拓を加速した。

再生エネルギー事業の業績は、売上高125百万円(同93.0%減)、経常利益49百万円(同92.1%減)だった。売電と自家消費の2つの事業を展開しており、売電は、昨今の電気料金の上昇のなかで事業収益が不安定化したが、旧福島石川カントリークラブ内の未利用地において新規の太陽光発電設備の開発を推進し、東北電力との間で15MW及び1.3MWの2案件について送電線増強工事の契約を締結した。自家消費については、「スパ&ゴルフリゾート久慈」「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」「瀬戸内ゴルフリゾート」の3つのゴルフ場の駐車場にソーラーカーポートを建設し、それぞれ電気使用量の10%〜20%を再生可能エネルギーで賄うことが可能となり、電気料金の削減にもつながった。

投資再生事業の業績は、売上高3,955百万円(同31.0%減)、経常利益1,289百万円(同40.0%減)だった。旧ゴルフ場を用途変更し、販売用不動産としてゴルフ場敷地内に開発した「福島石川太陽光発電所第二設備」の信託受益権を一部売却した。また、新規に4つのゴルフ場を取得し、運営施設としてのバリューアップを図っているところである。さらに、既存ゴルフ場の一部を含めたゴルフ場の再生可能エネルギー用地への転用、脱炭素ニーズを見据えた再エネ権利付与地売却、ヴィラ建設によるリゾート型再生など、投資再生に関わる新規事業も推進した。足もとでは、運営事業の順調な収益回復もあり、仕込みに注力しているところである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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