JBR Research Memo(7):2023年9月期は期初計画を据え置き、営業利益は4期ぶりに最高益更新へ(1)
[23/07/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:37JST JBR Research Memo(7):2023年9月期は期初計画を据え置き、営業利益は4期ぶりに最高益更新へ(1)
■今後の見通し
1. 2023年9月期の業績見通し
ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比2.8%増の18,300百万円、営業利益で同13.0%増の1,650百万円、経常利益で同27.9%増の1,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同116.9%増の950百万円と期初計画を据え置いた。駆けつけ事業の譲渡により増収率は低くなるものの、主力3事業の成長により営業利益は4期ぶりに過去最高を更新するほか、営業外収支や特別損益の改善により、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益も大幅な増益を見込む。第2四半期までの進捗率は売上高で50.3%と順調な一方で、営業利益は43.9%とやや進捗率は低いが、保険事業における責任準備金繰入額の影響が下期はほぼ無くなることが主因となっている。
一方、2023年8月よりACTGの主要顧客で解約が発生する見込みとなり、月額で最大10百万円の減益要因となる可能性がある。会員数で20万人弱とACTGの会員数の約3割を占め、会費収入で換算すると月50〜60百万円程度の減収要因になると見られる。契約の見直し交渉を進めるなかで、顧客側がコールセンター業務を内製化する方針を決定したためだが、直近の状況ではコールセンター業務の内製化が困難なことから、一部エリアについては継続する方向で話が進んでいるようだ。このため、ACTGの会員数については第2四半期末時点の581千件から期末時点では380千件前後に減少する可能性がある。ただ、ACTGを除けば主力3事業はそれぞれ計画を上回るペースで進捗しており、ACTGのマイナス分をカバーできるものと予想される。また、親会社株主に帰属する当期純利益の進捗率も33.9%と低水準となっているが、ACTGの繰越欠損金による税効果が見込まれることから計画の達成は射程圏内にあると見られる。
(1) 売上高の増減要因
期初計画では駆けつけ事業の譲渡により810百万円の減収となる一方で、主力3事業での顧客積み上げにより929百万円、その他事業に含まれる新規事業の中古携帯電話回収事業※で370百万円の増収を見込んでいた。主力3事業のうち保証事業については、ジャパンワランティサポートの業績予想が売上高で前期比18.3%増の1,711百万円であることから、会員事業と保険事業の合計で同4.5%増の15,384百万円を見込んでいることになる。第2四半期までの状況は計画を上回るペースとなっており、下期も市場環境に大きな変化が無ければ会員事業と保険事業合わせて同9.0%増の16,000百万円程度まで増加する可能性がある。一方で、中古携帯電話回収事業については当初の想定を下回っており、計画未達となりそうだ。ただ、主力3事業の上振れによって十分にカバーできるものと見られる。
※同社の施工・販売パートナー網を通じて回収した携帯電話を、伊藤忠グループの(株)Belongに販売し、Belongでデータ消去や検品業務を行い、海外市場で再販するビジネススキームとなっている。2023年9月期は回収台数57千台、売上高370百万円を計画している。
a) 会員事業、保証事業の取り組み
会員事業及び保証事業の期末会員数は、前期末比336千件増の3,943千件を見込んでいるが、ACTGの主要顧客の解約分が下振れ要因となる。
会員事業では提携戦略による会員数獲得に積極的に取り組んでいる。2022年4月から販売を開始したJAFの「ホームライフサポート」は期初計画で前期末比2.4千件増加の3.7千件を見込んでいたが、第2四半期末で3.6千件とほぼ通期計画に達したことから、今回5千件以上に目標を上方修正した。JAFはロードサービスを主に提供しており、会員数は2,000万人を上回る規模となっている。「ホームライフサポート」はJAFの年会費に2,200円を追加することで、カギ/水回り/ガラス/電気/建具等の生活トラブルを解決するサービスを無料(出動費、作業費が無料、部品代等は別途有料)で受けられるほか、出動先を2ヶ所設定できることが特徴となっている。このため、契約者の自宅以外に離れて暮らす家族の住まいへの出動も可能であり、高齢の家族が遠方にいるユーザーにとっては利用価値の大きいサービスと言える。実際、「ホームライフサポート」の会員属性は40代以上の中高年が全体の90%を占めており、顧客満足度調査でも高い評価を得ている。JAFにとっては同商品を販売することで、JAF会員の退会を抑止する効果を期待しているものと見られる。JAFは同時期に4つのサービスの販売を開始したが、他の3つのサービスは効果が無く早々に打ち切ったようで、同社商品の販売に係る期待も大きくなっている。
会員獲得施策としては従来、JAFが会員向けに配信しているメールマガジンやダイレクトメールで告知を行ってきたが、今下期から新たにロードサービス現場での案内やロードサービス会員更新時の案内も開始した。メルマガやダイレクトメールは開封率が低いが、会員更新時の案内については開封率も高いため、加入件数増加の加速が期待される。なお、「ホームライフサポート」の会員のうち80%以上は持ち家となっており、同社が今後の注力市場と位置付けている戸建て住宅向けの開拓にあたって、「ホームライフサポート」は有力な販売ツールとなる可能性がある。
同様に戸建て市場開拓施策として、不動産会社との提携も積極的に進めている。2022年9月にセンチュリー21と提携し、同社で住宅を購入した顧客に対してリペアサービスやハウスクリーニングを優待価格で利用できる生活トラブル解決サービス「CENTURY21 24時間ライフサポート」の販売を開始したほか、同年12月にはAnd Doホールディングス<3457>のグループ会社で、全国に689店舗(2023年3月末)を展開する(株)ハウスドゥ住宅販売と提携し、同様のサービス「ハウスドゥ 持ち家の長期サポ―ト」の販売を開始した。いずれも契約期間は10年間で料金は約10万円(うち同社の売上は6〜7割)と同社のサービスのなかでは高価格設定となっているが、住宅購入時に販売提案をするため購入者の心理的なハードルもさほど高くないと思われる。
センチュリー21・ジャパンでは年間2.5〜2.8万戸の新築・中古物件を販売しており、初年度として数千件の会員獲得を目標としていたが、足元の販売状況は月数十件ペースとややスローな滑り出しとなっている。加盟店によって差があるようで、今後成功事例を加盟店全体で共有していくことで月数百件ペースまで引き上げることを目指す。このほかにも、住宅メーカーや不動産会社などと同様のスキームでの提案交渉を進めており、近日中に1件纏まる可能性がある。持ち家市場は賃貸住宅の1.5倍の市場規模があるだけに、需要を開拓できれば会員事業のさらなる成長につながるものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■今後の見通し
1. 2023年9月期の業績見通し
ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比2.8%増の18,300百万円、営業利益で同13.0%増の1,650百万円、経常利益で同27.9%増の1,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同116.9%増の950百万円と期初計画を据え置いた。駆けつけ事業の譲渡により増収率は低くなるものの、主力3事業の成長により営業利益は4期ぶりに過去最高を更新するほか、営業外収支や特別損益の改善により、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益も大幅な増益を見込む。第2四半期までの進捗率は売上高で50.3%と順調な一方で、営業利益は43.9%とやや進捗率は低いが、保険事業における責任準備金繰入額の影響が下期はほぼ無くなることが主因となっている。
一方、2023年8月よりACTGの主要顧客で解約が発生する見込みとなり、月額で最大10百万円の減益要因となる可能性がある。会員数で20万人弱とACTGの会員数の約3割を占め、会費収入で換算すると月50〜60百万円程度の減収要因になると見られる。契約の見直し交渉を進めるなかで、顧客側がコールセンター業務を内製化する方針を決定したためだが、直近の状況ではコールセンター業務の内製化が困難なことから、一部エリアについては継続する方向で話が進んでいるようだ。このため、ACTGの会員数については第2四半期末時点の581千件から期末時点では380千件前後に減少する可能性がある。ただ、ACTGを除けば主力3事業はそれぞれ計画を上回るペースで進捗しており、ACTGのマイナス分をカバーできるものと予想される。また、親会社株主に帰属する当期純利益の進捗率も33.9%と低水準となっているが、ACTGの繰越欠損金による税効果が見込まれることから計画の達成は射程圏内にあると見られる。
(1) 売上高の増減要因
期初計画では駆けつけ事業の譲渡により810百万円の減収となる一方で、主力3事業での顧客積み上げにより929百万円、その他事業に含まれる新規事業の中古携帯電話回収事業※で370百万円の増収を見込んでいた。主力3事業のうち保証事業については、ジャパンワランティサポートの業績予想が売上高で前期比18.3%増の1,711百万円であることから、会員事業と保険事業の合計で同4.5%増の15,384百万円を見込んでいることになる。第2四半期までの状況は計画を上回るペースとなっており、下期も市場環境に大きな変化が無ければ会員事業と保険事業合わせて同9.0%増の16,000百万円程度まで増加する可能性がある。一方で、中古携帯電話回収事業については当初の想定を下回っており、計画未達となりそうだ。ただ、主力3事業の上振れによって十分にカバーできるものと見られる。
※同社の施工・販売パートナー網を通じて回収した携帯電話を、伊藤忠グループの(株)Belongに販売し、Belongでデータ消去や検品業務を行い、海外市場で再販するビジネススキームとなっている。2023年9月期は回収台数57千台、売上高370百万円を計画している。
a) 会員事業、保証事業の取り組み
会員事業及び保証事業の期末会員数は、前期末比336千件増の3,943千件を見込んでいるが、ACTGの主要顧客の解約分が下振れ要因となる。
会員事業では提携戦略による会員数獲得に積極的に取り組んでいる。2022年4月から販売を開始したJAFの「ホームライフサポート」は期初計画で前期末比2.4千件増加の3.7千件を見込んでいたが、第2四半期末で3.6千件とほぼ通期計画に達したことから、今回5千件以上に目標を上方修正した。JAFはロードサービスを主に提供しており、会員数は2,000万人を上回る規模となっている。「ホームライフサポート」はJAFの年会費に2,200円を追加することで、カギ/水回り/ガラス/電気/建具等の生活トラブルを解決するサービスを無料(出動費、作業費が無料、部品代等は別途有料)で受けられるほか、出動先を2ヶ所設定できることが特徴となっている。このため、契約者の自宅以外に離れて暮らす家族の住まいへの出動も可能であり、高齢の家族が遠方にいるユーザーにとっては利用価値の大きいサービスと言える。実際、「ホームライフサポート」の会員属性は40代以上の中高年が全体の90%を占めており、顧客満足度調査でも高い評価を得ている。JAFにとっては同商品を販売することで、JAF会員の退会を抑止する効果を期待しているものと見られる。JAFは同時期に4つのサービスの販売を開始したが、他の3つのサービスは効果が無く早々に打ち切ったようで、同社商品の販売に係る期待も大きくなっている。
会員獲得施策としては従来、JAFが会員向けに配信しているメールマガジンやダイレクトメールで告知を行ってきたが、今下期から新たにロードサービス現場での案内やロードサービス会員更新時の案内も開始した。メルマガやダイレクトメールは開封率が低いが、会員更新時の案内については開封率も高いため、加入件数増加の加速が期待される。なお、「ホームライフサポート」の会員のうち80%以上は持ち家となっており、同社が今後の注力市場と位置付けている戸建て住宅向けの開拓にあたって、「ホームライフサポート」は有力な販売ツールとなる可能性がある。
同様に戸建て市場開拓施策として、不動産会社との提携も積極的に進めている。2022年9月にセンチュリー21と提携し、同社で住宅を購入した顧客に対してリペアサービスやハウスクリーニングを優待価格で利用できる生活トラブル解決サービス「CENTURY21 24時間ライフサポート」の販売を開始したほか、同年12月にはAnd Doホールディングス<3457>のグループ会社で、全国に689店舗(2023年3月末)を展開する(株)ハウスドゥ住宅販売と提携し、同様のサービス「ハウスドゥ 持ち家の長期サポ―ト」の販売を開始した。いずれも契約期間は10年間で料金は約10万円(うち同社の売上は6〜7割)と同社のサービスのなかでは高価格設定となっているが、住宅購入時に販売提案をするため購入者の心理的なハードルもさほど高くないと思われる。
センチュリー21・ジャパンでは年間2.5〜2.8万戸の新築・中古物件を販売しており、初年度として数千件の会員獲得を目標としていたが、足元の販売状況は月数十件ペースとややスローな滑り出しとなっている。加盟店によって差があるようで、今後成功事例を加盟店全体で共有していくことで月数百件ペースまで引き上げることを目指す。このほかにも、住宅メーカーや不動産会社などと同様のスキームでの提案交渉を進めており、近日中に1件纏まる可能性がある。持ち家市場は賃貸住宅の1.5倍の市場規模があるだけに、需要を開拓できれば会員事業のさらなる成長につながるものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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