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ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):不動産賃貸管理事業の堅調により、期初予想を上回る好決算を達成

注目トピックス 日本株
*14:54JST ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):不動産賃貸管理事業の堅調により、期初予想を上回る好決算を達成
■業績動向

1. 2023年10月期第2四半期の業績概要
ジェイ・エス・ビー<3480>の2023年10月期第2四半期の同社グループの業績は、売上高34,926百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益6,285百万円(同13.1%増)、経常利益6,201百万円(同12.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,180百万円(同7.5%増)と大幅な増収増益を達成した。期初予想比では、売上高0.5%増、営業利益4.6%増、経常利益4.5%増、親会社株主に帰属する四半期純利益5.4%増と、いずれも計画を超過達成する好決算であった。各利益が予想比で増加したのは、売上高が計画をやや上回ったことに加え、販管費が計画を7.1%下回ったことが大きく影響した。例年並みに人件費増加を見込んでいたが、採用が不要になったことなどから、計画ほど費用が増えなかったためである。親会社株主に帰属する四半期純利益の前年同期比増加率がやや低かったのは、前年同期には同社が自社開発した学生マンションを既存の投資家に売却したことで、固定資産売却益を特別利益に計上したためである。自社開発物件売却による資本回収は中期経営計画に沿った動きであり、売却後は同社の借上物件として管理戸数の増加にも貢献している。

2023年10月期に第2四半期おけるわが国経済は、コロナ禍による規制が徐々に緩和され、社会経済活動も緩やかに回復に向かう動きが見られたものの、エネルギーや原材料価格の高騰、為替相場の変動、ウクライナ情勢の長期化、米国、欧州各国の政策金利引き上げなど、依然として先行き不透明な状況が続いた。ただ、同社グループの主たる顧客層である学生の動向において、2022年度の大学(大学院を含む)の学生数は293.1万人と2021年度より1.3万人増加(文部科学省「令和4年度学校基本調査(速報値)」)しており、同社グループを取り巻く市場環境については引き続き追い風となる状況となった。

こうした経営環境のなかで、同社グループでは推進中の中期経営計画の3期目においても、取り組みを強化したオンラインによる非対面での営業活動の定着もあり、引き続き高水準の入居率を確保し、好調な経営成績となった。中期経営計画の超過達成に向けて、業績は順調に推移していると言える。

なお主力事業の不動産賃貸管理事業においては、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期(2月〜4月)に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向があることに留意が必要だ。実際、学生マンションの入居者入れ替わりは年度末・年度始に集中しており、売上高・利益計上の時期に大きな偏りが生じる。すなわち、学生マンションの入替期である第2四半期に売上高・利益計上が集中し、第1、3、4四半期は、主に入居者募集の準備として費用を計上する期間となっている。結果として、売上高・営業利益の四半期ごとの変動はあるものの、物件管理戸数の増加に伴って年度単位では着実に右肩上がりで推移している。

2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
売上高は33,124百万円(前年同期比11.4%増)、営業利益は6,922百万円(同11.8%増)と増収増益であった。この結果、営業利益率は20.9%と、引き続き高い利益率を維持している。

物件管理戸数は85,453戸(同4,842戸増)と順調に増加したうえ、高い募集力を背景に入居率は99.9%と、前期に引き続き高水準を確保した。新規物件開発において、「学生会館Uni E'meal 信州松本 EAST・WEST」「学生会館レジディア仙台五橋プレイス」「Uni E'terna 新潟大学南」などの運営を開始し、物件管理戸数の増加に加え、高い入居率を確保することにより家賃関連売上高は順調に増加し、おおむね計画どおりに進捗した。費用面では借上物件の管理戸数増加による保証家賃の増加、自社所有物件の増加に伴う減価償却費の増加、食事付き学生マンションの積極展開による食材仕入等、同社グループの業容拡大に伴う費用負担がそれぞれ増加したものの、増収が上回り増益となった。

(2) 高齢者住宅事業
売上高は1,478百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益は176百万円(同32.3%増)となった。営業利益率は、2021年10月オープンの「グランメゾン迎賓館 豊中刀根山」が安定稼働に入ったことから、前年同期の9.5%から11.9%に上昇した。また、入居率は92.1%(同2.2pt増)と、適正水準を維持した。

2023年10月期第2四半期は、前年同期のコロナ禍拡大傾向への懸念といった状況から一転し、規制等が徐々に緩和された足元の状況も後押しとなり、高齢者住宅施設への入居希望者のマインドは好転した。同社グループの運営する「グランメゾン迎賓館京都嵐山」において、コロナ禍で希薄となった人とのふれあいを回復させる地域交流イベントを開催するなど、地域課題を解決するプラットフォームとしての機能を果たす取り組みを積極的に展開した。そうした取り組みの強化も奏功し、同社グループの運営する高齢者住宅施設の稼働率は改善した。一方ではコロナ禍の影響から病院勤務と兼任できなくなるなどの影響によって、施設運営人材の採用難の状況は継続しており、そのため派遣社員の利用増加に伴う費用負担は増加傾向が続いたものの、増収が上回り増益となった。

(3) その他の事業
売上高323百万円(前年同期比15.4%増)、営業損失13百万円(前年同期は40百万円の損失)となった。コロナ禍における世界的な入国出国規制の影響により、同社の運営する日本語学校事業では、長期間にわたり待機留学生の発生、受け入れ時期の遅延が発生していたが、2023年10月期第2四半期以降は当該規制の大幅な緩和から、従来の受け入れ体制を取り戻しつつある。その結果、2013年の運営開始時より過去最高の入学希望者を募るなど、事業収益は大幅に改善した。学生支援事業のうち学生の成長支援の分野では、産学連携の一環として、同社連結子会社のMewcketと協力校が共同で学校内でのハッカソンイベント(プログラマやエンジニアなどが集まり、課題解決に向けて意見を交わし、集中的にシステム開発やデータ分析モデル開発を行うイベント)を企画するといった取り組みを強化し、デジタル人材育成に向けた学びの機会提供を進めている。その他の事業の売上高・利益の貢献は小さいが、主力事業に対する後方支援的な位置付けを担っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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