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ジェイ・エス・ビー Research Memo(7):中期経営計画は順調。上方修正した目標数値の超過達成を目指す(1)

注目トピックス 日本株
*14:57JST ジェイ・エス・ビー Research Memo(7):中期経営計画は順調。上方修正した目標数値の超過達成を目指す(1)
■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画の概要
2021年10月期からスタートした中期経営計画「GT01」(2021年10月期〜2023年10月期の3年間)は、2030年長期ビジョン「Grow Together 2030」の第1ステージという位置付けである。長期ビジョンでは、2030年の「ありたい姿」として、「アビリティ(総合的人間力)」の芽を育て社会課題の解決に貢献すること、人間性とテクノロジーの融合によるジェイ・エス・ビー<3480>だけの価値を創出すること、「UniLife」をグローバル・トップブランドにすることを掲げており、2030年に向けてさらなる事業領域の拡大を目指している。この長期ビジョン達成に向けて不動産賃貸管理事業では、新たな価値提供により学生マンション分野で唯一無二の存在を目指す。また高齢者住宅事業では、多様なQOL(Quality of Life:生活の質)を目指すスマートコミュニティを実現する。さらに新規事業では、UniLifeでしかできない学びを提供し続ける計画である。

同社では、中期経営計画「GT01」の計画策定時にはコロナ禍のマイナス影響を慎重に見込んでいたが、2021年10月期及び2022年10月期の好決算を反映して計数目標を2度上方修正し、売上高63,181百万円(当初目標61,973百万円)、営業利益6,783百万円(同6,074百万円)、経常利益6,639百万円(同5,844百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益4,421百万円(同3,806百万円)と、過去最高業績の達成を目指す。修正計画では、最終年度の売上高は2020年10月期比31.5%増、営業利益は同56.4%増を目指すことで、営業利益率は9.0%(2020年10月期)から10.7%(2023年10月期)への上昇を見込む意欲的な目標を掲げている。中期経営計画2年目の2022年10月期も当初計画を超過して順調に推移しており、最終年度の2023年10月期についても施策を着実に進めることで、上方修正した目標数値の超過達成を目指す。

中期経営計画では、「両利きの経営」(新しい領域に挑戦する「探索」と、既存事業の成長を図る「深化」のバランスの取れた経営)と「社員全員の経営」(チームワークをより強め、1人ひとりの知識を生かし新たな知識を生み出す、社員全員の経営)を推進する。これによって資本効率ではROE15%以上、ROIC(投下資本利益率)8%以上、財務安全性では自己資本比率40%以上、流動比率120%以上を確保する。それらの目標達成に向けて、入居関連指標として物件管理戸数85,000戸、契約決定件数30,000件を想定する。また、成長投資として自社物件開発の計画を250億円に引き上げ(当初目標200億円)、戦略的エリアで独自ノウハウを投入した新規物件開発に注力する。システム投資も7億円に増やし(同6億円)、最重要課題であるDXの推進や新規事業推進を計画する。こうした計画も順調に進捗している。

同社グループの経営環境は、長期的には今後も成長機会に恵まれており、同社の成長戦略に対する少子高齢化進展の影響も限定的であると考えられる。不動産賃貸管理事業では、4年制大学のうち特に女子学生の増加が顕著であること、国の政策サポートにより留学生も増加を続ける見通しであることなどから学生マンションの供給は不足しており、学生マンション市場は拡大傾向を続けると予想される。

また同社グループは、学生マンション業界のパイオニアとして高い知名度や信頼を築いている。加えて、超高齢社会の進行を見据えて高齢者住宅事業にも布石を打っている。今後も学生マンションや高齢者住宅の供給不足が続くと予想されることから、グループの成長余地は大きいと言えるだろう。弊社では、アフターコロナを見据えた中期経営計画の推進により、同社グループのさらなる成長が可能であると考える。

2. 成長戦略
(1) 不動産賃貸管理事業
中期経営計画の意欲的な目標数値を達成するための成長戦略として、主力事業の不動産賃貸管理事業では、学生マンションの収益力向上を目指して以下の3点を実施する。

第1に、DX推進を目指す。実現のための施策として、1) マンション企画のDX推進による不動産オーナーサポートの充実化及び営業効率化、2) マンション賃貸のDX推進による入居者の利便性向上、非対面接客の推進、3) DX推進による入居者・不動産オーナー・巡回点検担当者サポートの充実化、管理業務効率化、コスト削減などを計画する。この計画について、新規物件開発が順調に推移し、物件管理戸数・利益率ともに超過達成していること、コロナ禍による留学生の入国制限が緩和され、「UniLife」ブランド・コンセプトを取り入れた食事付きや家具家電付き物件の促進や、Web広告・学校との提携における募集活動が奏功したこと、コロナ禍のなかでも物件紹介からクロージングをオンラインで一気通貫して行い、顧客ニーズに応えられていること、報連相の円滑化を目的にオーナーアプリを導入したことなどから、同社による5段階の進捗評価(S〜D)はBで予定どおりに進捗している。

学生マンション事業におけるDX推進の事例としては、マンション賃貸のDXが挙げられる。これは、各店舗で対応していたIT重要事項説明を、「お客様サポートセンター」で集中的に対応するものだ。2022年11月〜2023年3月の同センターでの対応件数は7,213件に達し、IT対応全体の約30%を同センターで集中的に対応することで各店舗の負担を軽減し、IT重要事項説明の高度化や効率化に貢献している。こうしたDX推進は、中期経営計画の目標達成のカギを握る最重要戦略と言えるだろう。同社ではDX推進の成果を着実に上げていることから、今後も対面・非対面双方を活用した営業戦略を推進する。

第2に、バリューチェーンの強化を目指す。実現に向けた施策として、時代のニーズに即した物件を開発する「企画・開発・提案力」、全国ネットワークと多彩なメディアを駆使した「募集力」、迅速かつきめ細かなサポートができる「管理力」など、同社グループの強みを生かした「三位一体」の「一気通貫」サポート体制の確立を計画する。進捗評価はSと予定を上回る大変順調な進捗状況であり、推進中の施策の中で最も高い評価となっている。

バリューチェーンの強化における実績では、2023年春オープンの食事付き学生マンションとして、「学生会館Uni E'meal 信州松本 EAST・WEST(2棟全130室)」「学生会館 エスリード カレッジゲート長瀬(全154室)」「学生会館 Uni E'meal 京都今出川II(全38室)」「学生会館 ベルフェリーク京都洛北(全157室)」が挙げられる。さらに「Uni E'terna 新潟大学南(全190室)」では、従来の食事付き学生マンションとは異なり、任意で食事を取るスタイルを初めて採用した。館内には同社プロデュースの入居者専用カフェ「UniTime Cafe」(ユニタイムカフェ)が併設されており、ドリンクバー付きの100円モーニングは大人気で、ランチ(カフェ)タイムは入居者の友人も利用可能である。このように同社グループでは店舗ネットワーク拡大により物件開発を進め、サービス拡充にも努めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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