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神戸物産 Research Memo(5):業務スーパー事業、外食・中食事業、エコ再生エネルギー事業が2ケタ増収を達成

注目トピックス 日本株
*12:45JST 神戸物産 Research Memo(5):業務スーパー事業、外食・中食事業、エコ再生エネルギー事業が2ケタ増収を達成
■神戸物産<3038>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前年同期比11.2%増の215,111百万円、営業利益は同4.8%減の15,822百万円となった。店舗数拡大に加え、既存店向け商品出荷が好調を維持したことにより2ケタ増収となった一方で、コスト上昇により減益となった。

第2四半期末における「業務スーパー」の店舗数は、前年同期末比54店舗増の1,023店舗となった。期中に8店舗の退店があったものの九州や北海道エリアを中心に24店舗を新規出店し、店舗数については概ね計画通りの増加ペースとなった。卸価格の値上げや光熱費の増加等の影響でFC店舗の収益性が低下し、FC加盟店の投資マインド冷え込みが懸念されたが、出店意欲も依然旺盛なようだ。前期末比では16店舗の増加となったが、エリア別で見ると九州直轄エリアが8店舗増と最も多く、次いで北海道が5店舗増、関西直轄エリアとその他地方エリアが各2店舗増となった。関東直轄エリアについては一部加盟店が脱退した影響(加盟企業が別会社に買収されたことにより4店舗減)もあり、1店舗減となった。

「業務スーパー」の既存店向け商品出荷額は前年同期比5.6%増となった。外食業界の通常営業再開や行動制限解除の影響により客数は前年同期よりも若干減少したものの、2022年10月期下期に実施した値上げ効果もあって顧客当たり平均購入額が上昇した。食品スーパー業界全体の既存店売上高についてもほぼ同様の傾向で、値上げ効果により前年同月比2%弱の増加となっている。物価上昇により食料品の値上げも相次いでおり、一般消費者の低価格指向が強まるなかで「業務スーパー」の商品や価格が支持を受け、既存店の伸びにつながったものと考えられる。なお、PB商品の売上比率は前年同期の34.74%から34.82%と若干上昇した。

2023年10月期第2四半期累計期間におけるヒット商品としては、前期に引き続きインドネシアの伝統的な大豆発酵食品である「テンペ」が好調に推移した。メディアで取り上げられたことに加えて、店舗でもPOPなどでわかりやすい商品説明を行うなど販売強化に取り組んだことが奏功し、利益面でも寄与した。国内グループ商品としては前期に牛乳パック入りデザートの新製品として投入した「とろけるキャラメルプリン」が引き続き好調だったほか、冷凍ケーキシリーズとなる「ハニーレモンフロマージュ」や「カラメルカスタード」が好評だった。

なお、物流の効率化を図るべく3PLセンターの体制強化に取り組んでおり、前期に福岡と四国に開設したのに続き、2023年10月期は中部エリアにも開設し、物流費率の低減に寄与している。特に、福岡に3PLセンターを開設したインパクトが大きかったようだ。従来、九州エリアの店舗への商品は神戸の物流センターから配送していたが、福岡にセンターを開設したことで一定の在庫を保有できるようになり物流効率が改善したほか、商品の品切れによって売上を逸失するケースも減少した。

(2) 外食・中食事業
外食・中食事業の売上高は前年同期比61.3%増の5,222百万円、営業利益は154百万円(前年同期は89百万円の損失)と3期振りに黒字転換した。「馳走菜」や直営展開している「プレミアムカルビ」の店舗数拡大により大幅増収となった。利益面では「馳走菜」と「神戸クック・ワールドビュッフェ」が増益となり、「プレミアムカルビ」についてはまだ事業規模に対して営業部隊など事業本部のコストが高いものの、店舗の収益そのものは好調で黒字化しており、今後もさらに改善予定である。

「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況は、出店が2店舗(2店舗ともにFCオーナーが入れ替わり、臨時休業していた店舗をリニューアルオープン)となり、前年同期末比で4店舗増の13店舗となった。コロナ禍で落ち込んでいた客数も団体客を中心に戻り始めたほか、メニューの改廃等も進めるなどして収益改善に取り組んだ。売上高はコロナ禍前の7〜8割の水準まで回復し、特に直営店の神戸ハーバーランド店についてはコロナ禍前に近い水準まで回復した。

焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」は3店舗を出店し、前年同期末比6店舗増の19店舗となった。仕入価格高騰を受け価格改定を実施したが、高価格帯メニューも好評で売上高は大幅増収となった。店内手作りのジェラート&デザートメニューや、旬の素材を使ったデザートビュッフェなどメディアで多く取り上げられたこともあり、女性客を中心に人気となっており、2023年3月から5月末まで期間限定で実施した「韓国フェア」も客足の増加につながったようだ。本部コストを含めるとまだ損失計上の段階であるが、2024年10月期の黒字化が射程圏に入っている。

中食業態である「馳走菜」は2店舗の退店(業務スーパーを脱退したFCオーナーの店舗)があったものの、新たに13店舗を出店し、前年同期末比では33店舗増の98店舗となった。原材料価格の高騰が続くなか、一部商品の価格改定やメニューの改廃、調理オペレーションの効率化などに取り組み、価格優位性を維持していることや、店内調理による出来立て感・ボリューム感が支持され、既存店売上高も堅調に推移し、大幅増収となった。「業務スーパー」の集客力向上へのシナジーが高く、加盟店の出店意欲も引き続き旺盛な状況となっている。2022年12月には新たにドラッグストア内への出店も開始した。福岡に拠点を置く(株)新生堂薬局が運営する「くすりのハッピー潤野店」で、オープン前と比べて店舗の客数及び売上高が増加するなどの効果が確認されたことから、その他の店舗での追加出店の検討も進めているようだ。

(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比17.4%増の1,630百万円、営業利益は同36.1%増の332百万円と過去最高業績を更新した。売上高は2022年6月にグループ最大規模の太陽光発電所(福島県、約18.9MW)が稼働したことによる発電量の増加が増収要因となった。減価償却費の増加を増収効果で吸収し営業利益率も前年同期の17.6%から20.4%に上昇した。2023年10月期第2四半期末の発電能力は57.2MW(太陽光発電所が18ヶ所で約51.0MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW)となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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