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神戸物産 Research Memo(7):2023年10月期も増収増益を目指す

注目トピックス 日本株
*12:47JST 神戸物産 Research Memo(7):2023年10月期も増収増益を目指す
■今後の見通し

1. 2023年10月期の業績見通し
神戸物産<3038>の2023年10月期の連結業績は、売上高で前期比8.2%増の440,000百万円、営業利益で同6.8%増の29,700百万円、経常利益で同1.2%増の32,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.8%増の21,200百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの進捗率は売上高で50.4%と当初計画を上回るペースで推移している一方で、営業利益で47.6%、経常利益で40.6%、親会社株主に帰属する当期純利益で43.0%とやや低い進捗となっている。営業利益については為替140円/米ドル程度の水準であれば、原材料価格もピークアウトしており、グループ会社の収益性も月を追って改善が進んでいることから、達成可能な水準と見られるが、140円/米ドルよりさらに円安になってくるようだと輸入品のコスト上昇により価格改定を再度検討する必要性が出てくることもあり、リスク要因となる。一方、第2四半期に営業外で計上したデリバティブ評価損については期末までにある程度は戻し入れられる見込みとなっており、キャッチアップできる見通しだ。

(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の業績前提として、「業務スーパー」の店舗数は前期末比40店舗増の1,047店舗、既存店向け商品出荷額で前期比1〜2%増、PB商品比率の上昇を見込んでいる。店舗数については5月に入ってから5店舗をオープンしており(6月20日時点で千葉県2店舗、北海道、長野県、福岡県各1店舗)、半導体不足による什器遅延問題も解消されていることから計画の達成は可能と見られる。

売上高は店舗数の増加だけで約4%の増収要因となり、これに既存店向け商品出荷額の増加が上乗せされることになる。下期は値上げの効果が徐々に縮小するものと見られることから上期の5.6%増に対してはやや鈍化する可能性があるが、一般消費者の節約志向の高まりを追い風に引き続き堅調に推移するものと予想される。

利益面では、円安の影響を前提に営業利益率で前期比若干の低下を見込んでいる。自社グループ会社の収益性は、原材料の配合見直しによるコスト削減や生産効率の向上により下期も改善傾向が続く見通しとなっている。利益が計画を下回るようなことがない限りは卸価格の見直しも行わない意向だ。一方、輸入商品に関しては為替が140円/米ドルからさらに円安水準の状況が続くことになれば、値上げを実施することも検討していく。

自社グループ工場の設備投資については、50億円程度と前期並みの水準を計画している。生産能力が不足している工場でのライン増強投資や、生産性向上のための更新投資が中心となる。食品スーパーの経営環境は原材料費や光熱費等の上昇により厳しい状況が続いているが、同社はさらなるローコストオペレーションの取り組みや、集客施策に取り組むことで、厳しい環境下でも成長を持続する収益体質の構築を目指している。

ローコストオペレーション施策の1つとして、現在の業務スーパーではオープン型が一般化している冷凍ショーケースを、クローズド型に置き換えていくことを検討している。クローズド型にすることによって消費電力の大幅削減が可能となる。クローズ型にすると商品の取り出しが面倒になるため、冷凍商品の売上が落ちると言われてきたが、同社の直営店で1年間試しに設置してみたところ、売上に変化は見られなかったと言う。こうした結果を基に、同社は現在省エネ効果とクローズ型冷凍ショーケースに置き換えることによる費用対効果を試算し、メーカーと価格交渉を行っている段階にある。

一方、集客施策としてはプリペイド方式の電子決済システム「Gyomuca(ギョムカ)」のFC店舗への導入を2023年10月期より本格的に開始している。プリペイド会員カードまたはスマートフォンアプリを使うことでキャッシュレス決済が可能となる。1,000円単位で現金チャージができ、ポイントはチャージの際に0.5%分が付与されるほか、今後は一部商品を対象として購入時にポイント付与する施策も検討している。また、アプリでは特売情報をいつでも確認できるというメリットもある。2023年6月時点で「Gyomuca」対応店舗数は約150店舗と全体に占める比率は1割を超えた段階だが、今後もFCオーナーに導入の提案をしながら対応店舗数を拡大していく考えだ。

(2) 外食・中食事業
外食・中食事業は2ケタ増収が続き、営業利益も期初段階では収支均衡水準を見込んでいたが、各業態とも好調に推移していることから、4期ぶりに黒字転換する可能性が高い。「神戸クック・ワールドビュッフェ」については、インバウンド需要や旅行客の回復により団体客数が増加傾向にあり、下期も回復基調が続く見通しで、7月には郡山店がリニューアルオープンするなど、順調に推移している。

「プレミアムカルビ」については、下期も好調に推移する見通し。5月にグランドメニューをリニューアルしたほか、6月からは8月まで期間限定でItaly Fair(イタリーフェア)を開催している。バルサミコソースやトマトソース、トリュフなどを使った期間限定メニューを用意し、さらなる売上拡大を目指す。出店計画については特に定めていないが、条件に適う物件があれば出店していく考えだ。直営店では1店舗当たり年間2〜3億円の売上が見込めることから、売上寄与も大きくなる見通しだ。なお、FC化の時期については直営で25〜30店舗まで展開し、店舗運営の人材育成やプロセスセンターの整備などができた段階で開始する予定で、当面は首都圏で出店を進めていくことにしている。

「馳走菜」についても出店計画を作っていないが、「業務スーパー」との同時出店を計画しているFCオーナーが増えていること、また他業態店舗での出店ニーズも増えていることから、今後も店舗数のさらなる拡大が見込まれ、事業規模の拡大によって収益性も向上していくものと予想される。2023年6月時点の店舗数は101店舗となっている。

(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業は前期比10%台の増収増益を見込んでいる。2022年6月に稼働した福島県の西白河発電所(約18.9MW)が通年で寄与することなどで、4億円程度の増収が見込まれる。また、太陽光発電所では最後の大型開発案件となる宮城県での東松島発電所(約30MW、年間想定売電収入約10億円)の建設が順調に進んでおり、稼働開始予定が当初計画の2024年3月から2023年11月に早まったもようだ。このため2024年10月期は同発電所の売上がほぼフルに寄与することになり、売上規模としては2023年10月期の約35億円から2024年10月期は約45億円に増加するものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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