神戸物産 Research Memo(9):業務スーパーは当面は1,200店舗、長期的には1,500店舗を視野に
[23/07/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:49JST 神戸物産 Research Memo(9):業務スーパーは当面は1,200店舗、長期的には1,500店舗を視野に
■今後の見通し
3. 重点施策の取り組み状況について
(1) 店舗運営のDX化の取り組み状況
FC店舗向けのDX化の取り組みとしては、前述した「Gyomuca」のFC店舗への導入拡大により、レジ周りの生産性向上に取り組んでいるほか、自社開発した自動発注システムをFC店舗に導入していくことでオペレーションの効率化を図っていくことにしている。従来は仕入担当者が日々、状況に応じて商品発注を行うなど属人的な業務で経験年数が必要とされていたが、自動発注システムを導入することで発注業務が簡素化される。直営店舗で導入したところ、担当者の業務負担が大幅に軽減されるなど導入効果も確認されている。今後、各FC加盟企業と協議していくことになるが、各加盟企業のIT担当者に研修を行い、担当者がグループ店舗で導入を進めるなど、効率的に導入していくことを検討している。なお、自動発注システム導入の目的はFC店舗の収益力向上であることから、神戸物産<3038>業績への直接的な影響は軽微となる。
(2) 販売チャネルの拡大による新たな販路確立
販売チャネルの拡大による新たな販路として、2022年11月にECサイトを立ち上げた。配送エリアは当初神奈川県内のみであったが、直近は東京都内(離島は除く)にもエリアを拡大して運営を行っている。ケース単位での注文となるため、会員は事業者が大半を占めており、会員数や売上高は徐々に増加しているもようだ。当初はリアル店舗と同じ商品の特売を実施していたが思うように売上が伸びなかったため、2023年4月頃からEC専用の特売を行うようになり事業者のまとめ買いが増えたと言う。
当面は現在のエリアで様々な販売施策を実施し、検証・改善を進めながらECサイトでの収益モデルを確立し、その後にサービスエリアを拡大していくことにしている。ECサイトでは「業務スーパー」が近隣にない顧客も商品を購入できるようになるため、同社にとっては潜在顧客が顕在化することになり、事業規模のさらなる拡大につながるものと期待される。
(3) 店舗数拡大と既存店向け商品出荷額拡大施策
業務スーパー事業の成長戦略の1つである店舗数の拡大については、1,200店舗を当面の目標とし、長期的には1,500店舗も視野に入れ始めている。
地域別の人口構成比と業務スーパー店舗数の構成比を比較した場合、地盤となる関西圏は人口構成比で16.3%となっているのに対して、店舗数は25.6%と高い。一方、ここ数年で出店を強化してきた首都圏については人口構成比で29.1%、店舗数で26.9%とほぼ拮抗してきたが、店舗数そのものは関西地域とほぼ変わらないことを考えれば、出店余地は依然大きいと見ることができる。また、九州や北海道のほか東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県)についても人口比での店舗数が少なく、出店余地が大きいエリアとなる。特に、愛知県については26店舗の出店にとどまっており、出店余地が大きいエリアとなる。
関西エリアについては人口78千人当たりに1店舗を出店している計算となり、仮にほかのエリアでも同様の比率で店舗展開できたとするならば、1,600店舗までは出店できる計算となる。商圏の違いや出店条件に適う不動産物件の有無などで実際の上限値は変わってくるが、関西エリアでもまだ店舗数が増加し続けていることを考えると、出店拡大による成長は続くものと予想される。最近では「業務スーパー」の集客力の高さを評価して、新規加盟を希望する企業も増えている。同社は既存FCオーナーとの関係構築もあるため審査基準を厳しくしているが、既存店舗とカニバリゼーションが生じないエリアで複数店舗を運営している企業であれば、新規に出店候補地を探す手間が省けることもありFC化を進めていくことにしている。食品スーパー業界の市場環境は、2022年以降食料品の相次ぐ値上げや光熱費の高騰、慢性的な人材不足もあり経営状況が厳しくなっている企業も多く、同社にとっては店舗拡大の好機と見ることもできる。
また、既存店向け商品出荷額の拡大施策としては、顧客に選ばれる魅力的なPB商品を継続的に開発していくことが重要と考えており、今後もグループ会社における商品開発並びに海外での商品発掘を強化するほか、M&Aも活用しながらPB商品の構成比率を引き上げる方針だ。また、ヒット商品の欠品による機会ロスを減らすため、精度の高い自動発注システムの導入や物流体制の強化を図り、TVやSNS等の露出や販促セールなどを適宜実施することで集客力を維持向上していく戦略だ。
4. ESGの取り組みについて
同社はESGに関して以下の取り組みを推進している。
(1) 環境(E)
環境への取り組みについては、プラスチックごみやフードロスの削減のほか、クリーンエネルギー事業などによる地球規模の問題解決に取り組んでいる。
具体的な取り組みとしては、プラスチックごみ問題の配慮から業務スーパーオリジナルのエコバッグを作成し、販売している。また、フードロス削減を目的として、品質に問題はないが印字不良等により店舗で販売できない商品を認定NPO法人フードバンク関西に寄贈しているほか、2021年11月より「神戸クック・ワールドビュッフェ」においてランチ・ディナー各時間帯のラストオーダー後に50%OFFで販売する取り組みを開始し、現在は全店舗で導入している。
エコ再生エネルギー事業では、国内で太陽光発電所を18ヶ所、木質バイオマス発電所を1ヶ所運営しており、再生可能エネルギーによってCO2排出量削減に貢献している。
(2) 社会(S)
同社は「食」を通じた社会貢献活動を推進している。2012年以降、ハラール商品の充実を図り、現在は200アイテム以上の商品を取り扱っている。また、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえを通じて、2020年3月より全国の子ども食堂や地域の子ども食堂ネットワークへ食品等の寄贈を継続的に行っているほか、2022年3月から認定NPO法人 難民支援協会にハラール認証食品や冷凍野菜などを無償で寄贈する取り組みも開始した。
そのほか、従業員満足度の向上を図るため、ワークライフバランス実現のための支援制度(リフレッシュ休暇、資格検定受験支援、育児短時間勤務制度の充実等)を整備しているほか、優秀な人材を確保していくため、人材採用において積極的な情報発信に取り組んでいる。
(3) ガバナンス(G)
企業として健全な発展を続けるとともに、社会のサステナビリティ実現に寄与するため、ガバナンスの充実を図ることを目的に、2022年10月期より監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行したほか、2022年2月に取締役会の任意の諮問機関として、「指名・報酬委員会」を設置した。今後も引き続きコンプライアンス体制や品質管理体制の充実・改善などに取り組む方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■今後の見通し
3. 重点施策の取り組み状況について
(1) 店舗運営のDX化の取り組み状況
FC店舗向けのDX化の取り組みとしては、前述した「Gyomuca」のFC店舗への導入拡大により、レジ周りの生産性向上に取り組んでいるほか、自社開発した自動発注システムをFC店舗に導入していくことでオペレーションの効率化を図っていくことにしている。従来は仕入担当者が日々、状況に応じて商品発注を行うなど属人的な業務で経験年数が必要とされていたが、自動発注システムを導入することで発注業務が簡素化される。直営店舗で導入したところ、担当者の業務負担が大幅に軽減されるなど導入効果も確認されている。今後、各FC加盟企業と協議していくことになるが、各加盟企業のIT担当者に研修を行い、担当者がグループ店舗で導入を進めるなど、効率的に導入していくことを検討している。なお、自動発注システム導入の目的はFC店舗の収益力向上であることから、神戸物産<3038>業績への直接的な影響は軽微となる。
(2) 販売チャネルの拡大による新たな販路確立
販売チャネルの拡大による新たな販路として、2022年11月にECサイトを立ち上げた。配送エリアは当初神奈川県内のみであったが、直近は東京都内(離島は除く)にもエリアを拡大して運営を行っている。ケース単位での注文となるため、会員は事業者が大半を占めており、会員数や売上高は徐々に増加しているもようだ。当初はリアル店舗と同じ商品の特売を実施していたが思うように売上が伸びなかったため、2023年4月頃からEC専用の特売を行うようになり事業者のまとめ買いが増えたと言う。
当面は現在のエリアで様々な販売施策を実施し、検証・改善を進めながらECサイトでの収益モデルを確立し、その後にサービスエリアを拡大していくことにしている。ECサイトでは「業務スーパー」が近隣にない顧客も商品を購入できるようになるため、同社にとっては潜在顧客が顕在化することになり、事業規模のさらなる拡大につながるものと期待される。
(3) 店舗数拡大と既存店向け商品出荷額拡大施策
業務スーパー事業の成長戦略の1つである店舗数の拡大については、1,200店舗を当面の目標とし、長期的には1,500店舗も視野に入れ始めている。
地域別の人口構成比と業務スーパー店舗数の構成比を比較した場合、地盤となる関西圏は人口構成比で16.3%となっているのに対して、店舗数は25.6%と高い。一方、ここ数年で出店を強化してきた首都圏については人口構成比で29.1%、店舗数で26.9%とほぼ拮抗してきたが、店舗数そのものは関西地域とほぼ変わらないことを考えれば、出店余地は依然大きいと見ることができる。また、九州や北海道のほか東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県)についても人口比での店舗数が少なく、出店余地が大きいエリアとなる。特に、愛知県については26店舗の出店にとどまっており、出店余地が大きいエリアとなる。
関西エリアについては人口78千人当たりに1店舗を出店している計算となり、仮にほかのエリアでも同様の比率で店舗展開できたとするならば、1,600店舗までは出店できる計算となる。商圏の違いや出店条件に適う不動産物件の有無などで実際の上限値は変わってくるが、関西エリアでもまだ店舗数が増加し続けていることを考えると、出店拡大による成長は続くものと予想される。最近では「業務スーパー」の集客力の高さを評価して、新規加盟を希望する企業も増えている。同社は既存FCオーナーとの関係構築もあるため審査基準を厳しくしているが、既存店舗とカニバリゼーションが生じないエリアで複数店舗を運営している企業であれば、新規に出店候補地を探す手間が省けることもありFC化を進めていくことにしている。食品スーパー業界の市場環境は、2022年以降食料品の相次ぐ値上げや光熱費の高騰、慢性的な人材不足もあり経営状況が厳しくなっている企業も多く、同社にとっては店舗拡大の好機と見ることもできる。
また、既存店向け商品出荷額の拡大施策としては、顧客に選ばれる魅力的なPB商品を継続的に開発していくことが重要と考えており、今後もグループ会社における商品開発並びに海外での商品発掘を強化するほか、M&Aも活用しながらPB商品の構成比率を引き上げる方針だ。また、ヒット商品の欠品による機会ロスを減らすため、精度の高い自動発注システムの導入や物流体制の強化を図り、TVやSNS等の露出や販促セールなどを適宜実施することで集客力を維持向上していく戦略だ。
4. ESGの取り組みについて
同社はESGに関して以下の取り組みを推進している。
(1) 環境(E)
環境への取り組みについては、プラスチックごみやフードロスの削減のほか、クリーンエネルギー事業などによる地球規模の問題解決に取り組んでいる。
具体的な取り組みとしては、プラスチックごみ問題の配慮から業務スーパーオリジナルのエコバッグを作成し、販売している。また、フードロス削減を目的として、品質に問題はないが印字不良等により店舗で販売できない商品を認定NPO法人フードバンク関西に寄贈しているほか、2021年11月より「神戸クック・ワールドビュッフェ」においてランチ・ディナー各時間帯のラストオーダー後に50%OFFで販売する取り組みを開始し、現在は全店舗で導入している。
エコ再生エネルギー事業では、国内で太陽光発電所を18ヶ所、木質バイオマス発電所を1ヶ所運営しており、再生可能エネルギーによってCO2排出量削減に貢献している。
(2) 社会(S)
同社は「食」を通じた社会貢献活動を推進している。2012年以降、ハラール商品の充実を図り、現在は200アイテム以上の商品を取り扱っている。また、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえを通じて、2020年3月より全国の子ども食堂や地域の子ども食堂ネットワークへ食品等の寄贈を継続的に行っているほか、2022年3月から認定NPO法人 難民支援協会にハラール認証食品や冷凍野菜などを無償で寄贈する取り組みも開始した。
そのほか、従業員満足度の向上を図るため、ワークライフバランス実現のための支援制度(リフレッシュ休暇、資格検定受験支援、育児短時間勤務制度の充実等)を整備しているほか、優秀な人材を確保していくため、人材採用において積極的な情報発信に取り組んでいる。
(3) ガバナンス(G)
企業として健全な発展を続けるとともに、社会のサステナビリティ実現に寄与するため、ガバナンスの充実を図ることを目的に、2022年10月期より監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行したほか、2022年2月に取締役会の任意の諮問機関として、「指名・報酬委員会」を設置した。今後も引き続きコンプライアンス体制や品質管理体制の充実・改善などに取り組む方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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