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イージェイHD Research Memo(10):2025年5月期売上高385億円、営業利益48.5億円を計画(2)

注目トピックス 日本株
*13:10JST イージェイHD Research Memo(10):2025年5月期売上高385億円、営業利益48.5億円を計画(2)
■E・Jホールディングス<2153>の今後の見通し

(2) 基本方針と取り組み内容
1) 既存事業強化とサービス領域の拡大
a) AIやAR/VR、ドローンなどの最先端技術を取り入れ、国土強靭化、老朽化するインフラ施設のメンテナンス、環境に配慮したサステナブルな社会インフラの整備、CM(発注者支援)等の行政支援のサービスを深化させ、重点課題として取り組む。
b) 3つのコア・コンピタンス(防災・保全、環境、行政支援)を基盤にした6つの重点分野により、今後成長が想定される事業領域の拡大、変革を図る。
c) 経済発展とともにインフラ整備市場が拡大する東南アジアを中心に、M&Aも含め海外事業基盤の再構築を図り、JICAを通じたプロジェクトだけでなく現地での直接受注拡大を図る。
d) 研究開発、デジタル機材等への積極的な投資によりDX推進を加速し、競合に対する競争優位性を確保する。また、実際のDX推進に当たってはグループ会社ごとの取り組みを進めるとともに、エイト日本技術開発によるモデルケースをグループに展開していく。そのための組織として、2021年6月にEJイノベーション技術センターを設立した(災害リスク研究センターを発展的に改編)。

2) 多様化するニーズへの対応力の強化
a) データ、情報資産、ICT技術を活用した新商品、新サービスの開発を推進する。
b) 既存の農林事業を生かした地域課題解決ビジネスを深化させる(BtoBtoCなど)。地方課題解決ビジネスに関しては、2012年以降、秋田県・岡山県・徳島県において現地の地方公共団体や企業等との共同出資により、アグリ事業における6次産業化に取り組んでいる。秋田県の(株)ストロベリーファームでは希少品種である夏イチゴの「なつあかり」の栽培を行い、全国の洋菓子店やレストラン等に年間約4トンを販売し、売上高は年間1千万円を超える規模まで成長している。2021年からは現地の生産農家に対して生産技術の移転も始めており、自社生産と合わせて年間1億円の売上を目指している。岡山県の(株)エンジョイファームでは、農園での青果物の栽培や食育農作業の体験施設「水車の里フルーツトピア」について、2013年4月から運営管理業務を自治体から受託(契約期間は2027年度まで継続)している。徳島県の(株)那賀ウッドでは、森林整備の推進(CO2吸収源の確保)、木材の利用拡大(炭素の貯蔵効果)、木育・環境教育の推進(担い手育成、交流人口増大)などを目的として、現地森林組合や林業事業体との連携により、森林・竹林の整備を進め、自社の持つ加工技術と他業種との連携により、製品開発や人材育成・環境教育の普及啓発に取り組んでいる。秋田県や徳島県でのビジネスについては収益化した段階で、地元企業等に株式を売却する予定だが、収益化までにはまだ時間がかかる見通しとなっている。
c) グリーン・インフラ、スマートシティ、物流・ロジスティクス推進等の未来型社会インフラへの知見・ノウハウ・技術を獲得し、新たなインフラ構築ニーズに対応していく。
d) 新規事業・技術力強化に必要なアライアンス・M&Aを積極的に推進する。

3) 環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の構築
a) 新たなITシステムの導入によってバリューチェーンのリアルタイムでの可視化を図り、業務の効率化・生産性向上・品質成果の確保に取り組む。
b) グループ総合力を結集し、さらなる企業価値向上を目指す。柔軟で強固なグループ経営の実現に向けた具体的な取り組みとして、グループ各社の経営陣によるグループ経営会議や担当者レベルでのグループ連絡会議、グループリスク管理委員会、サステナビリティ推進委員会などを定期的に開催している。
c) サテライトオフィスやテレワークの活用による多様な働き方を実践し、ダイバーシティを尊重した職場づくりとグループのブランド力強化に取り組む。グループ各社において健康経営の推進※や女性活躍の促進※、職員の意欲向上・定着支援につながる職場環境の改善、多様な人財の採用を推進し、成長力の源泉となる人的資本の拡充を図る。

※グループ会社のうち、日本インフラマネジメント、共立エンジニヤ、アークコンサルタント、共立工営の4社が「健康経営優良法人2023」の認定を取得したほか、エイト日本技術開発、共立エンジニヤの2社が女性活躍推進に取り組む企業が認定を受ける「えるぼし」、子育てサポート企業が認定を受ける「くるみん」を取得した。


d) イノベーションやマネジメント人財育成の強化を目的とした「企業内学校」※を2021年6月に創設し、OJTでは身につかない基礎及び応用技術力の向上、資格取得支援、業務上のノウハウや暗黙知の伝承、またこれらによる生産性・品質の底上げやスター技術者を育成していくことで、グループ全体の技術力向上・人的資本の拡充につなげる。

※初年度である2022年5月期はエイト日本技術開発の社員を対象に、会社OBや大学教授などを講師に招いて各種講座を開設(オンライン受講)。2023年5月期より受講対象者をグループ全社に拡大した。


e) リスクマネジメント・内部統制の強化はもとより、コーポレートガバナンス・コードを踏まえた強固なガバナンス体制の構築と経営の透明性向上により、株主・投資家との信頼関係を醸成する。また、気候変動リスクへの取り組みについても積極的に情報開示を行っている。2022年5月に「サステナビリティ推進委員会」を設置し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しており、TCFD提言に沿った取り組み内容の詳細については、同社ホームページにて開示した。また、環境評価の情報開示に国際的に取り組む非政府組織であるCDPから、2022年に実施された気候変動情報開示に対する活動を評価する「気候変動プログラム」において、「B-」スコア※を取得したことを同年12月に発表した。

※2022年に初めてCDPの質問状に対して回答し、8段階評価中、上位から4番目のランクに評価された。アジア地域の企業、並びに専門サービス業の平均であるC評価を上回っている。

CO2排出量削減に関しては数値目標を設定し、2024年5月期から取り組みを開始している。スコープ1(直接的排出量)を対象とした取り組みでは、2030年度までにグループで保有する全車両をガソリン車からハイブリッド自動車または電気自動車に入れ替えることでCO2排出量を42%削減する(スコープ2を含む総量)。また、スコープ2(間接的排出量)を対象とした取り組みでは、2030年度までに再生可能エネルギー利用100%を達成するとともに、事業所の照明のLED化を進めていく。スコープ3(サプライチェーンによる排出)を対象とする取り組みでは、2030年度までに社員の移動・通勤に係るCO2排出量の25%削減を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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