極東貿易 Research Memo(1):2023年3月期は増収増益。2020年3月期の利益水準に回復
[23/09/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:21JST 極東貿易 Research Memo(1):2023年3月期は増収増益。2020年3月期の利益水準に回復
■要約
極東貿易<8093>は、グループ企業の力を結集して、技術提案、導入・据付、運用・保守まで一貫した技術サポートができるエンジニアリング商社である。取扱商材は産業設備関連※(プラント向け機械設備、資源掘削装置、地震計、航空機用機材など)、産業素材関連(樹脂・塗料、炭素繊維・関連素材、食肉加工品用副資材など)、そして、機械部品関連(特注品ねじ、金属部品、特注品ばね)と多岐にわたる。ワールドワイドで事業を展開しており、欧米、中国・台湾・東南アジア、さらにインド・メキシコ等の新興国に拠点を設け、日系企業等のグローバルなモノづくりを支援している。
※2022年4月に基幹産業関連部門と電子・制御システム関連部門を統合し、産業設備関連部門を立ち上げた。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高は前期比7.4%増の42,657百万円、営業利益は同31.8%増の1,000百万円、経常利益は同17.5%増の1,523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同30.1%増の1,017百万円と、増収増益となった。営業利益は2期連続増益となり、10億円に到達した。2019年3月期の利益水準まで業績は回復した。高収益の要因は、機械部品関連部門のねじ関連事業の好調、産業素材関連部門の業績回復である。ねじ関連事業を担うヱトー(株)が2015年の子会社化以来最高益を達成した。産業素材関連部門においては主力である北米・中国向け自動車用樹脂・塗料事業と炭素繊維複合材関連事業が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で2年ほど低迷していたが、2023年3月期に入ってから回復基調となった。
2. 新規ビジネスの開発が大きく進展、特に洋上風力発電に期待
中期経営計画「KBKプラスワン2025」の2期目となる2023年3月期は、経営資源投入を強化する5つの成長分野のなかから、新規重点4事業「洋上風力発電関連事業」「自動運転システム関連事業」「バイオプロダクツ」「インド事業」に注力した。洋上風力発電関連事業は、2022年1月に合弁子会社(株)TWD Japanを設立するなど今後拡大が期待される。現在、官主導の洋上風力発電関連プロジェクトが数多く計画されており、大手ゼネコン・マリコンから同社にも数多くの引き合いがあり本格的に受注活動が始まっている。2024年3月期の売上高は10億円(前期は5億円)、2026年3月期の売上高は20億円(1年前倒しもあり)が見込まれている。
3. 今後のM&A戦略と実行に期待
同社は過去7件以上M&Aを実行したが、M&A後の収益性はすべての案件が社内平均を上回っている。また、中期経営計画で新規ビジネスのために5期で50億円の投資枠(M&A)を設定している。投資リスクはあるが、次世代の柱となる事業を育成する方針だ。2018年4月にプラント・メンテナンス(株)(海外プラント向けの機器の調達、点検メンテナンス)を買収したのが最後だが、「現在検討中のM&A案件も複数抱えており、着実に前に進めていきたい」と同社からのコメントもあり、期待される。
4. サステナビリティ経営の推進
現在日本の企業は、サステナビリティ領域(SDGsやESG、社会課題解決など)への取り組みを避けて通れない状況となっている。同社では、カーボンニュートラル(脱炭素)の潮流を見据え、火力発電所関連の事業であり、主力事業の1つであった計装システム(年商約60億円ビジネス)も撤退することとなった。同社は岡田義也(おかだ よしや)社長を中心とした「サステナビリティ委員会」を設置し、全社的活動の旗振りを行っている。また、東京証券取引所(以下、東証)のプライム上場企業として、統合報告書作成を前提としたコーポレートレポートを2022年9月末に発刊した。さらに、2023年5月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動関連の情報(温室効果ガスCO2排出量※など)を2023年3月期の有価証券報告書で開示した。
※Scope1にあたる「燃料の使用(CO2)」、Scope2にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」
■Key Points
・2023年3月期は増収増益で、コロナ禍前の利益水準を上回り復調
・新規ビジネスの開発が大きく進展、特に洋上風力発電に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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■要約
極東貿易<8093>は、グループ企業の力を結集して、技術提案、導入・据付、運用・保守まで一貫した技術サポートができるエンジニアリング商社である。取扱商材は産業設備関連※(プラント向け機械設備、資源掘削装置、地震計、航空機用機材など)、産業素材関連(樹脂・塗料、炭素繊維・関連素材、食肉加工品用副資材など)、そして、機械部品関連(特注品ねじ、金属部品、特注品ばね)と多岐にわたる。ワールドワイドで事業を展開しており、欧米、中国・台湾・東南アジア、さらにインド・メキシコ等の新興国に拠点を設け、日系企業等のグローバルなモノづくりを支援している。
※2022年4月に基幹産業関連部門と電子・制御システム関連部門を統合し、産業設備関連部門を立ち上げた。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高は前期比7.4%増の42,657百万円、営業利益は同31.8%増の1,000百万円、経常利益は同17.5%増の1,523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同30.1%増の1,017百万円と、増収増益となった。営業利益は2期連続増益となり、10億円に到達した。2019年3月期の利益水準まで業績は回復した。高収益の要因は、機械部品関連部門のねじ関連事業の好調、産業素材関連部門の業績回復である。ねじ関連事業を担うヱトー(株)が2015年の子会社化以来最高益を達成した。産業素材関連部門においては主力である北米・中国向け自動車用樹脂・塗料事業と炭素繊維複合材関連事業が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で2年ほど低迷していたが、2023年3月期に入ってから回復基調となった。
2. 新規ビジネスの開発が大きく進展、特に洋上風力発電に期待
中期経営計画「KBKプラスワン2025」の2期目となる2023年3月期は、経営資源投入を強化する5つの成長分野のなかから、新規重点4事業「洋上風力発電関連事業」「自動運転システム関連事業」「バイオプロダクツ」「インド事業」に注力した。洋上風力発電関連事業は、2022年1月に合弁子会社(株)TWD Japanを設立するなど今後拡大が期待される。現在、官主導の洋上風力発電関連プロジェクトが数多く計画されており、大手ゼネコン・マリコンから同社にも数多くの引き合いがあり本格的に受注活動が始まっている。2024年3月期の売上高は10億円(前期は5億円)、2026年3月期の売上高は20億円(1年前倒しもあり)が見込まれている。
3. 今後のM&A戦略と実行に期待
同社は過去7件以上M&Aを実行したが、M&A後の収益性はすべての案件が社内平均を上回っている。また、中期経営計画で新規ビジネスのために5期で50億円の投資枠(M&A)を設定している。投資リスクはあるが、次世代の柱となる事業を育成する方針だ。2018年4月にプラント・メンテナンス(株)(海外プラント向けの機器の調達、点検メンテナンス)を買収したのが最後だが、「現在検討中のM&A案件も複数抱えており、着実に前に進めていきたい」と同社からのコメントもあり、期待される。
4. サステナビリティ経営の推進
現在日本の企業は、サステナビリティ領域(SDGsやESG、社会課題解決など)への取り組みを避けて通れない状況となっている。同社では、カーボンニュートラル(脱炭素)の潮流を見据え、火力発電所関連の事業であり、主力事業の1つであった計装システム(年商約60億円ビジネス)も撤退することとなった。同社は岡田義也(おかだ よしや)社長を中心とした「サステナビリティ委員会」を設置し、全社的活動の旗振りを行っている。また、東京証券取引所(以下、東証)のプライム上場企業として、統合報告書作成を前提としたコーポレートレポートを2022年9月末に発刊した。さらに、2023年5月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動関連の情報(温室効果ガスCO2排出量※など)を2023年3月期の有価証券報告書で開示した。
※Scope1にあたる「燃料の使用(CO2)」、Scope2にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」
■Key Points
・2023年3月期は増収増益で、コロナ禍前の利益水準を上回り復調
・新規ビジネスの開発が大きく進展、特に洋上風力発電に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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