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サンフロ不動産 Research Memo(6):堅調な事業環境を背景に2024年3月期は増収増益を予想

注目トピックス 日本株
*13:36JST サンフロ不動産 Research Memo(6):堅調な事業環境を背景に2024年3月期は増収増益を予想
■今後の見通し

1. 2024年3月期の業績見通し
サンフロンティア不動産<8934>の2024年3月期の業績予想は、売上高83,000百万円(前期比0.3%増)、営業利益16,500百万円(同10.7%増)、経常利益16,000百万円(同8.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円(同5.3%減)としている。2023年5月12日発表の予想値から変更はない。親会社株主に帰属する当期純利益に関しては同5.3%の減少となっているが、ホテル・観光事業の業績回復に伴う同事業の繰越欠損金による課税所得の圧縮や、繰延税金資産計上による税効果などの影響である。

不動産事業では、物件売却で利益率30%を継続し前期並みの利益を確保する。不動産サービス事業では、貸会議室の需要回復を中心として全事業で堅調な成長を継続していく。また、ホテル・観光事業では、国内観光需要やインバウンド需要の回復を背景に、前期比大幅伸長を計画している。販管費については、人的資本・DX・マーケティングへの投資を計画しており、将来に向けた成長投資を継続・加速していく。

同社グループの業績予想(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)に対する達成率は12期連続で100%を上回っており、コロナ禍といった事業環境の急変化にも柔軟に対応している。2024年3月期第1四半期では、ホテル物件の売却と、需要回復が顕著なホテル運営が全体の業績を牽引した。オフィス事業は、通期販売件数24件の内、10件が集中した前年同期からの反動減により減収減益となるも計画どおりの進捗である。第2四半期にはリプランニング事業の売上総利益の通期予想に対する進捗率が累計で50%以上となる期初計画に基づき、7月、8月の業績も順調に推移しているという会社説明によれば、通期計画実現の蓋然性は高いと弊社は見ている。

2. 重点施策
2024年3月期の重点施策は以下のとおりである。

(1) 不動産再生事業
2023年3月期に引き続き、良物件の仕入・開発を計画的に行い、高収益・高稼働の物件を提供する。2024年3月期は前期を上回る売却益を計画しており、期末棚卸資産についても投資を積極的に進め増加を計画している。社内外のネットワークを活用し、全社一丸となった仕入活動に注力することで、足元での仕入状況も堅調に推移している。期末棚卸資産残高は950億円〜1,000億円を予想しており、想定売上高は1,250億円〜1,400億円、売上総利益率は25%〜30%としている。これにより、期末棚卸資産の含み益は300億円〜400億円程度になることが読み取れる。仕入から商品化までの期間を指す「平均事業期間」は2024年3月期第1四半期末で458日(前年通期比194日減)であり、回転率を維持しながら投資の回収と成長を図る。リプランニング事業の2024年3月期第1四半期末における棚卸資産の構成は、短期物件が約50%、中長期物件が約30%、新築と海外物件の合計が約20%といった状況となっている。同社グループは短期物件の平均事業期間の理想は1年としている。回転率とバランスを意識した適正な棚卸資産構成により事業運営をしていることから、持続的な利益成長が期待できると弊社では見ている。

(2) 不動産サービス事業
貸会議室の需要拡大を中心に、全事業で堅調な成長を継続している。不動産サービス事業は、利益率の高いセグメントである。貸会議室事業では、2023年4月にも開業・増床し、研修や検定試験の会場としての需要が高まっている。貸会議室事業の需要は回復・拡大傾向にあり、大口企業や業界団体の研修・学会や検定試験の会場としてのニーズを着実に取り込んでいる。足元では、「ビジョンセンター東京日本橋」を新規開業している。駅前などの需要があるエリアに集中して出店していることから、2023年4月に開業・増床した拠点を含め、受注状況は好調に推移している。同事業は大口企業のリピートが多いという特徴もあるため、今後は安定的な利益の積み上げが期待できる。ビルメンテナンス事業では、クライアント各社に対して物価上昇を反映したサービス料金の適正水準への理解を求めていく。外注費(主に人件費)を始めとした原価の高騰を適切に価格転嫁することで、第2四半期以降の収益は良化する見通しである。また、滞納保証事業では、新ブランド「TRI-WINS(トライウインズ)」を2023年2月よりサービス開始している。ビルオーナーとテナント入居者の双方が抱えるリスクや課題を解決する「三方良し」の賃貸保証サービスを掲げており、代理店制度を設けず直接契約とすることで、属性面や与信面での細かな調査や明確な保証説明等、一般的な保証サービスと比較してサービスの範囲が拡大されている。

(3) ホテル・観光事業
2024年3月期もホテル運営の需要拡大により、前期比大幅な伸長を計画している。足元では、沖縄において台風の影響が若干あったものの、全ホテル順調に稼働している。2023年8月に政府が中国からの団体旅行を解禁したこともあり、第2四半期以降も好調な業績が続くものと弊社では見ている。ホテル開発に関しては、2024年3月期第1四半期における、売却案件クロージングが業績に大きく寄与した。当期に予定している売却案件はすべて決済完了したことから、翌期以降の案件組成に向けた活動を引き続き注力していく方針だ。

(4) 販管費
人的資本、DX、マーケティングへの投資による費用増加を計画している。人的資本への投資に関しては、人財の成長に向けた採用やベースアップを見込んでいる。人財・事業に向けた投資は、同社グループ事業の中長期的な成長に不可欠なものであり、潤沢な自己資本と事業の収益性を勘案すれば、投下資本の調達と回収に特段の懸念はないと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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