ハウスコム Research Memo(3):事業規模の拡大を追わず、事業の質的向上と効率性に重点を置いた経営を推進
[23/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:33JST ハウスコム Research Memo(3):事業規模の拡大を追わず、事業の質的向上と効率性に重点を置いた経営を推進
■業績動向
1. 2024年3月期上期の連結業績概要
ハウスコム<3275>の2024年3月期上期の連結業績は、営業収益が前期比8.9%減の6,244百万円、営業損失が160百万円(前年同期は0百万円の損失)、経常損失が156百万円(同3百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が121百万円(同17百万円の純損失)だった。2023年4月28日に発表した期初予想では、上期は営業収益6,564百万円、営業損失261百万円を計画していたが、営業収益は未達となった一方、営業損失は計画比で赤字幅を縮小させた。2024年3月期から事業規模の拡大より事業の質的向上と効率化に重点を置いた施策を進めていることに加え、大阪ハウスコムの決算期変更の影響もあり、営業収益は前年同期比で減収となったものの、損益面においては店舗の統廃合、ITを駆使した店舗内業務の効率化を推し進め、期初の会社計画比で良化して着地した。
セグメント別の業績は、不動産関連事業の営業収益が前年同期比9.4%減の5,488百万円、セグメント利益が同18.7%減の763百万円だった。2024年3月期より収益性重視の経営方針へと転換したことに加え、既述のとおり前期は決算期が異なっていた大阪ハウスコムについて、賃貸仲介件数がハイシーズンを迎える3月分を含んだ3月から8月までの営業収益が計上されていたのに対し、2024年3月期は3月分を含まない4月から9月までの営業収益を計上したことの影響もあり、前年同期比で減収減益となった。一方、施工関連事業については、営業収益が同5.1%減の755百万円、セグメント利益が同37.1%増92百万円だった。これは、リフォーム工事を請け負うエスケイビル建材の営業収益が前年同期比で減少したものの、ハウスコムコミュニケーションズ(株)での原状回復工事やリフォーム工事が、内製化の促進や利益率向上により前年同期比で増加したことなどによるものだ。
営業保証金の回収と短期借入金の返済が進み、自己資本比率は2023年3月末60.9%から9月末68.0%へ上昇
2. 財務状況と経営指標
2024年3月期上期の財務状況は、純資産の部の利益剰余金が2023年3月期の6,320百万円から6,133百万円へと186百万円減少した。これは、親会社に帰属する当期純損失が121百万円となり、配当金支払いが61百万円発生したことなどによるものである。なお、2024年3月期上期においては利益剰余金が減少しているが、通期では親会社に帰属する当期純利益を389百万円と予想しており、着実に増加へ転じる見通しであることから懸念は不要である。
自己資本比率は2023年3月期の60.9%から68.0%へ上昇しているが、この主因は前期末に固定資産において持株会社体制への移行に伴う営業保証金の預入によって投資その他の資産が一時的に前期比1,032百万円増の3,460百万円に増加していたが、2024年3月期上期においては2,680百万へと従来の水準へ減少したことによるものである。また、流動比率と固定比率はそれぞれ232.0%、69.1%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュについても4,421百万円としっかりと積み上がっており、財務上の健全性は高いと弊社は考える。
収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略の下に強化された成長性・収益性によって、今後回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受け、利益水準が下がるなかで積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2024年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していくなかで再び高まっていくことが予想される。
キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上等により営業活動によるキャッシュ・フローが268百万円の支出となった。投資活動によるキャッシュ・フローは営業保証金の回収による収入950百万円が発生したことに伴い975百万円の収入となった。営業保証金の回収に伴って、投資活動によるキャッシュ・フローの収入分は短期借入金の返済1,000百万円により相殺されており、それに伴い財務活動によるキャッシュ・フローが1,106百万円の支出となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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■業績動向
1. 2024年3月期上期の連結業績概要
ハウスコム<3275>の2024年3月期上期の連結業績は、営業収益が前期比8.9%減の6,244百万円、営業損失が160百万円(前年同期は0百万円の損失)、経常損失が156百万円(同3百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が121百万円(同17百万円の純損失)だった。2023年4月28日に発表した期初予想では、上期は営業収益6,564百万円、営業損失261百万円を計画していたが、営業収益は未達となった一方、営業損失は計画比で赤字幅を縮小させた。2024年3月期から事業規模の拡大より事業の質的向上と効率化に重点を置いた施策を進めていることに加え、大阪ハウスコムの決算期変更の影響もあり、営業収益は前年同期比で減収となったものの、損益面においては店舗の統廃合、ITを駆使した店舗内業務の効率化を推し進め、期初の会社計画比で良化して着地した。
セグメント別の業績は、不動産関連事業の営業収益が前年同期比9.4%減の5,488百万円、セグメント利益が同18.7%減の763百万円だった。2024年3月期より収益性重視の経営方針へと転換したことに加え、既述のとおり前期は決算期が異なっていた大阪ハウスコムについて、賃貸仲介件数がハイシーズンを迎える3月分を含んだ3月から8月までの営業収益が計上されていたのに対し、2024年3月期は3月分を含まない4月から9月までの営業収益を計上したことの影響もあり、前年同期比で減収減益となった。一方、施工関連事業については、営業収益が同5.1%減の755百万円、セグメント利益が同37.1%増92百万円だった。これは、リフォーム工事を請け負うエスケイビル建材の営業収益が前年同期比で減少したものの、ハウスコムコミュニケーションズ(株)での原状回復工事やリフォーム工事が、内製化の促進や利益率向上により前年同期比で増加したことなどによるものだ。
営業保証金の回収と短期借入金の返済が進み、自己資本比率は2023年3月末60.9%から9月末68.0%へ上昇
2. 財務状況と経営指標
2024年3月期上期の財務状況は、純資産の部の利益剰余金が2023年3月期の6,320百万円から6,133百万円へと186百万円減少した。これは、親会社に帰属する当期純損失が121百万円となり、配当金支払いが61百万円発生したことなどによるものである。なお、2024年3月期上期においては利益剰余金が減少しているが、通期では親会社に帰属する当期純利益を389百万円と予想しており、着実に増加へ転じる見通しであることから懸念は不要である。
自己資本比率は2023年3月期の60.9%から68.0%へ上昇しているが、この主因は前期末に固定資産において持株会社体制への移行に伴う営業保証金の預入によって投資その他の資産が一時的に前期比1,032百万円増の3,460百万円に増加していたが、2024年3月期上期においては2,680百万へと従来の水準へ減少したことによるものである。また、流動比率と固定比率はそれぞれ232.0%、69.1%であり、長短の手元流動性にも全く問題がないと言える。キャッシュについても4,421百万円としっかりと積み上がっており、財務上の健全性は高いと弊社は考える。
収益性に関しては、低下傾向にあるものの、新成長戦略の下に強化された成長性・収益性によって、今後回復していくものと弊社では見ている。ROAが減少した要因は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受け、利益水準が下がるなかで積極的なIT投資を行ってきた結果である。これらの投資は2024年3月期以降に実を結んでいくものと考える。ROEに関してはコロナ禍前の2019年3月期が15.6%と非常に高い数値を出していたことから、今後、利益水準が回復していくなかで再び高まっていくことが予想される。
キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上等により営業活動によるキャッシュ・フローが268百万円の支出となった。投資活動によるキャッシュ・フローは営業保証金の回収による収入950百万円が発生したことに伴い975百万円の収入となった。営業保証金の回収に伴って、投資活動によるキャッシュ・フローの収入分は短期借入金の返済1,000百万円により相殺されており、それに伴い財務活動によるキャッシュ・フローが1,106百万円の支出となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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