三洋化成 Research Memo(10):ブルーオーシャン戦略で新製品開発・新規事業創出に注力(2)
[23/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:30JST 三洋化成 Research Memo(10):ブルーオーシャン戦略で新製品開発・新規事業創出に注力(2)
■三洋化成工業<4471>の成長戦略
(4) その他
その他の分野への取り組みとして、2021年9月にBASF(本社:ドイツ)とPUD(ポリウレタンディスパージョン)開発の戦略的協業に関する覚書に調印した。新しいPUDソリューションを通じてサステナビリティへの貢献が高い革新的な製品の共同開発・生産を目指す。
2021年12月にはロート製薬と資本業務提携した。両社が注力しているスキンケア・医療分野をはじめ、戦略的に相互のリソースを活用して独自の原料開発及び新機能・異業種への適用を図り、事業拡大・企業価値向上を目指す。
2022年1月には、京都大学発のベンチャー企業である(株)FLOSFIAに資本参画した。FLOSFIAは、電力変換用に用いられるパワー半導体として圧倒的な材料ポテンシャルを有する最先端半導体材料「コランダム構造酸化ガリウム(α-Ga2O3)」を用いた半導体デバイスの事業化に取り組んでいる。資本参画によりFLOSFIAとの連携を強化し、パワー半導体の量産プロセスの確立やパワーモジュールの社会実装を支援する方針だ。なお2023年12月に、FLOSFIAの基板埋込技術と同社が独自開発したヒューズエレメントを組み合わせることで、超小型・薄型のパワーモジュールにも基板埋込できるマイクロ温度ヒューズの開発に成功した。
2022年12月には生分解性の肥料被覆材を開発した。非食用米を用いたバイオマスプラスチック「ライスレジン(R)」を開発・販売する(株)バイオマスレジンホールディングスの生分解性樹脂「ネオリザ(R)」を用いて、同社が得意とする界面制御技術により、肥料成分の溶解速度を制御する機能(徐放性)を付与した。被覆材は天然由来成分から構成されていることから、肥料成分溶出後の非生分解性プラスチック(被膜殻)残存による土壌汚染問題の解決など、持続可能な農業の実現に貢献することを目指している。
3. 弊社の見方
同社は幅広い産業向けに製品を提供する全天候型の収益構造のため、これまでは景気要因による需要変動の影響が比較的小さく、業績はおおむね安定して推移している。当面は、需要回復という外部要因だけでなく、高付加価値製品群の収益改善や生産性向上などの内部要因によって業績の回復を図ることが課題になると思われる。同社はサプライチェーン全体での価値向上を実現すべくSCM統括本部を新設するなど「新中期経営計画2025」への取り組みを本格化させており、2025年3月期の業績回復状況に注目したい。さらに、化学の枠を越えたイノベーションを通じて創出する新規事業が加わることで、中長期的な成長ポテンシャルは高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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■三洋化成工業<4471>の成長戦略
(4) その他
その他の分野への取り組みとして、2021年9月にBASF(本社:ドイツ)とPUD(ポリウレタンディスパージョン)開発の戦略的協業に関する覚書に調印した。新しいPUDソリューションを通じてサステナビリティへの貢献が高い革新的な製品の共同開発・生産を目指す。
2021年12月にはロート製薬と資本業務提携した。両社が注力しているスキンケア・医療分野をはじめ、戦略的に相互のリソースを活用して独自の原料開発及び新機能・異業種への適用を図り、事業拡大・企業価値向上を目指す。
2022年1月には、京都大学発のベンチャー企業である(株)FLOSFIAに資本参画した。FLOSFIAは、電力変換用に用いられるパワー半導体として圧倒的な材料ポテンシャルを有する最先端半導体材料「コランダム構造酸化ガリウム(α-Ga2O3)」を用いた半導体デバイスの事業化に取り組んでいる。資本参画によりFLOSFIAとの連携を強化し、パワー半導体の量産プロセスの確立やパワーモジュールの社会実装を支援する方針だ。なお2023年12月に、FLOSFIAの基板埋込技術と同社が独自開発したヒューズエレメントを組み合わせることで、超小型・薄型のパワーモジュールにも基板埋込できるマイクロ温度ヒューズの開発に成功した。
2022年12月には生分解性の肥料被覆材を開発した。非食用米を用いたバイオマスプラスチック「ライスレジン(R)」を開発・販売する(株)バイオマスレジンホールディングスの生分解性樹脂「ネオリザ(R)」を用いて、同社が得意とする界面制御技術により、肥料成分の溶解速度を制御する機能(徐放性)を付与した。被覆材は天然由来成分から構成されていることから、肥料成分溶出後の非生分解性プラスチック(被膜殻)残存による土壌汚染問題の解決など、持続可能な農業の実現に貢献することを目指している。
3. 弊社の見方
同社は幅広い産業向けに製品を提供する全天候型の収益構造のため、これまでは景気要因による需要変動の影響が比較的小さく、業績はおおむね安定して推移している。当面は、需要回復という外部要因だけでなく、高付加価値製品群の収益改善や生産性向上などの内部要因によって業績の回復を図ることが課題になると思われる。同社はサプライチェーン全体での価値向上を実現すべくSCM統括本部を新設するなど「新中期経営計画2025」への取り組みを本格化させており、2025年3月期の業績回復状況に注目したい。さらに、化学の枠を越えたイノベーションを通じて創出する新規事業が加わることで、中長期的な成長ポテンシャルは高いと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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