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エレマテック Research Memo(9):中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」を発表

注目トピックス 日本株
*13:29JST エレマテック Research Memo(9):中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」を発表
■中長期の成長戦略

1. 中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」の基本方針
エレマテック<2715>では、前期まで進めてきた「エレマテックNEXT」に引き続き、中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」(2024年3月期〜2026年3月期)を発表しており、以下がその概要である。

(1) 外部環境と挑戦課題
同社では、外部環境の動向として、「地政学的リスクと内外マーケットの変動」「顧客ニーズの高度化・多様化」「サステナビリティ課題への関心の高まり」「働き方の変化とダイバーシティの伸展」を挙げている。このような外部環境を踏まえて、以下のような挑戦課題を掲げている。

a) 成長とリスク分散の観点から日本・中国以外での事業を拡大する
・北米・欧州へのリソース投入
・ASEANでの調達代行からの脱却

b) 開発部の機能強化と各部門の連携強化、外部資源の獲得を目指す
・取引先軸、商品軸での取り組みの強化
・中長期トレンドの継続的フォローと投融資の拡大

c) 地球環境への配慮と社会課題解決への取り組みを強化する
・本業を通じたサステナビリティ課題解決への貢献
・顧客の環境配慮重視を踏まえた仕入先への支援

d) 個々がやりがいを持ち、自己表現できる体制を構築する
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・従業員エンゲージメントを高める教育・研修・配属の仕組みづくり

(2) 重点施策と定量的目標、重点市場
中期経営戦略の基本方針としては、「前施策は継続進化させ、新中計では経営基盤の拡大・強化を進めつつ、ポテンシャル分野に挑戦する」ことを掲げている。これに基づき、以下の4つの重点施策を推進する方針だ。

a) 重点施策
(ポテンシャル分野の開拓・深耕として)
・ポテンシャルエリアの本格開拓
・開発部の機能強化
(経営基盤の拡大・強化として)
・M&A・アライアンスによる顧客基盤・事業領域の拡大
・サステナビリティと人的資本への取り組み

b) 定量的目標と重点市場
定量的目標としては、「2023年3月期から2026年3月期までの経常利益年平均成長率(CAGR)を10%以上とする」としている。この目標を達成するための重点市場として、「オートモーティブ」「アフターマーケット」「医療機器」の3つを挙げている。

2. 具体的施策
(1) ポテンシャルエリアの本格開拓
(欧米)
・グローバル顧客へのスペックイン活動の強化
・製造拠点の設置を検討
(ASEAN)
・中国での成功ビジネス(完成品)の横展開
・ASEAN地域でのスペックイン・仕入先開拓の強化、顧客のASEANシフトへの対応

(2) 開発部の機能強化
事業創出の観点から、開発部の機能を見直し、戦略地域・拠点や豊田通商グループとの連携を強化する。

(3) オートモーティブ
オートモーティブについては、成長が期待できる環境対応/電装化領域及び未開拓の海外OEM(主にEV関連部材)やTier1の攻略を進める。

市場環境としては、中国市場を中心にEVが急伸するほか、車載ディスプレイの大型化+複数化により、車は移動手段から「移動+情報ツール+娯楽」へ変化すると予想している。また、CASEの推進+異業種からの新規参入により、Tier1が未着手の領域(外装、電装等)にも進出し、電子基板、設計、実装の一括提案に対する需要が増加すると予想している。

具体的な施策としては、EV関連部材(eアクスル向け部材及びセンサー・ヒーター等)の拡販を進める。また海外Tier1の攻略としては、HMI向け日系高機能商材の提案強化、電気/機構設計が可能な技術部を活用した電子基板、設計、実装の一括提案、欧米への拠点拡充などを進める。拠点拡充については、既に2023年5月にポーランド支店を開設したが、以後も随時拡充する計画だ。

(4) アフターマーケット
アフターマーケットについては、国内市場での収益拡大及び海外市場への参入を目指す。市場環境としては、プライベートブランド(PB)市場が成長すると認識している。海外及び国内の家電量販店各社がPB商品の開発と販売を推進し、PB商品の売上高構成比は急拡大しており、今後も更なる拡大が見込まれる。

これに伴い、国内大手量販店向け完成品(ODM)ビジネスを強化する。具体的な施策としては、ASEAN地域での仕入先開拓強化(中国での成功例を横展開)、取扱製品(完成品)の品目を充実させる。一方で、国内大手量販店向けで蓄えた知見を活用し、ASEAN現地企業PB向けに横展開する。ASEAN市場を足掛かりに、今後は欧米市場の開拓も進める。

(5) 医療機器
医療機器については、医療機器コネクティビティ市場への対応を図る。市場環境としては、先進国を中心とした世界的な高齢化及び、新興国の人口増加、経済発展、国民の所得向上に伴う医療需要増加が見込まれる一方で、「医療機器のエレクトロニクス化」が進むと予想している。

このような環境下、同社では多様化する医療ニーズを捉えたビジネスの強化を進める計画で、具体的には在宅医療(血圧計、体組成計等)向けビジネスの拡充、完成品(OEM)ビジネスの強化、歯科機器領域への取り組み強化などを進める。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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