ミロク情報 Research Memo(9):中期計画の単体業績進捗は当初計画を上回る(2)
[23/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:39JST ミロク情報 Research Memo(9):中期計画の単体業績進捗は当初計画を上回る(2)
■ミロク情報サービス<9928>の今後の見通し
(3) 「統合型DXプラットフォーム戦略」
中小企業・小規模事業者の多くはデジタル人材が不足し、DXが思うように進まないといった経営課題を抱えている。経営に必要な機能をワンストップで提供する統合型DXプラットフォーム「Hirameki 7」のサービスを提供することでこうした課題を解消し、中小企業等の成長を支援し、低成長が続く日本経済の活性化を目指している。前述したように7つの機能(マーケティング、オペレーティング、ファイナンス、ビジネス、コーポレート、コミュニケーション、CX)のうちCX機能については現在開発中で、段階的にリリースする予定である。また、既存の6つの機能についてもそれぞれ機能の拡充を進め、統合型DXプラットフォームとしての完成度を高めることで有料プランへの移行を促し、収益化を目指す戦略だ。顧客獲得については会計事務所を通じた顧問先企業だけでなく、アライアンス戦略やマス広告並びにデジタルマーケティングを活用した獲得も進めていく。
(4) 「クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換」
主力ERP製品の販売形態について、売切り型からサブスク化への移行を進める。サブスク化比率が上昇することによって、一時的に売上高・利益はマイナス影響を受けるものの、外部要因に左右されず一定の売上が見込めるようになり安定的な事業運営が可能となるほか、リプレース(買い替え)の際の営業工数も削減できるため、新規顧客開拓に営業リソースを集中できるようになる。また、クラウド・サブスク化することで常に最新システムをユーザーが利用できる環境となるため、旧バージョン製品のメンテナンスコストを最小化できるといった効果も期待できる。売切り型からクラウド・サブスク型へシフトすることによって、同社は継続的な売上成長と収益性向上が見込めることになり、顧客側にとっても、初期投資の負担軽減と常に最新のサービスの利用が可能になるといったメリットを享受できる。
同社では、2026年3月期におけるクラウド・サブスク型の販売比率を2023年3月期の18%から大きく引き上げることを目標としているが、収益動向を見極めながら可能であれば移行スピードを加速したい考えだ。同社単体におけるクラウド・サブスク契約を含めたサービス収入比率は、2024年3月期見込みの42%から2026年3月期は55%に引き上げる計画となっており、金額ベースで換算した2025年3月期以降の年平均成長率は16%となる。主力ERP製品のサブスク・IaaSの契約社数増加と、クロスセルの強化によるARPUの上昇で高成長を実現していく考えだ。また、現在開発中のSaaS型の企業向けERP製品について、2024年以降に機能を絞って段階的に提供していく予定となっている。
(5) 「グループ連携強化によるグループ会社の独自成長促進」
同社グループは受託システム開発会社3社とコンサルティング領域及びフィンテック領域でそれぞれ3社、事業承継支援とCRM領域で各1社の体制となっている。グループ連携による総合的なソリューション力の向上や、グループ組織の再編と運営体制の最適化を図り、各社の自立した業績拡大に取り組んできたが、前述のとおり子会社の業績が伸び悩んでいる状況から、ガバナンス体制を強化し同社がより深く主導していくことで成長軌道に乗せていく考えだ。
このうち、トライベックに関しては大企業向けのデジタルマーケティング支援事業に加えて、中小企業向けDXプラットフォーム事業を育成することで、ブランド戦略から顧客獲得・育成までを支援する総合型DXコンサルティング企業を目指す。特に人的リソースに依存しないDXプラットフォーム事業を伸ばしていくことができれば、収益性も大きく向上することになる。2021年4月にはグループ会社でビジネスメディア「bizocean」(登録会員数340万人超)を運営する(株)ビズオーシャンを吸収統合しており、豊富な会員基盤を生かしたシナジーの創出も期待される。
一方、当初の想定と比べて伸び悩んでいるトランストラクチャとMJS M&Aパートナーズの2社については、人員体制の強化が喫緊の課題となる。HR領域、M&A領域におけるコンサルティング需要はいずれも旺盛だが、人的リソースの不足によりその追い風に乗り切れていないのが実情となっており、今後の取り組みに期待したい。受託開発を行う子会社3社については、クラウド・Web領域を中心とした開発力やソリューション営業力の強化を図り、また同社の顧客企業を紹介するなどグループシナジーを生かすことで事業規模の拡大を目指す。なお、M&Aやアライアンスについても引き続き検討する方針で、統合型DXプラットフォームで提供可能なサービスを展開する企業などが主な候補となる。
(6) 「戦略実現を加速する人材力・経営基盤強化」
アフターコロナを踏まえて人材投資を加速し、働きやすい職場環境を整備するとともに、新しい働き方に対応した経営・業務基盤の構築に取り組んでいる。具体的には、健康で働きがいのある職場づくりとして、テレワーク環境の整備や残業時間の削減、有給休暇取得率の向上、市場競争力のある処遇体系の整備や待遇面の向上に取り組んでおり、2023年3月期は一般職正社員の給与支給額を9.6%増額し、2024年3月期も定期昇給を含めて5.2%の増額を実施した。
人員の採用・育成面においては新卒社員の採用を継続するとともに、全社員の研修体系整備と徹底した人材育成を行うことにより、プロフェッショナル人材を育成・確保していく。また、エンゲージメント・サーベイによる従業員満足度等の現状把握と分析を行い、継続的に改善に取り組むことでエンゲージメントの向上を図る。同サーベイ結果に基づき、経営陣と従業員の対話の強化、コンプライアンス順守の取り組み、男性育休を取得しやすくする規程改定などの施策が行われているという。
2023年11月には生成AIに「Azure OpenAI Service」を採用したAIチャットサービス「専用生成AIソリューション」を構築し、グループ社内での運用を開始した。同サービスの利用により社員の業務効率化・生産性向上を図り、顧客サービスの強化を推進していく。また、今後はERP製品への採用も進めていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■ミロク情報サービス<9928>の今後の見通し
(3) 「統合型DXプラットフォーム戦略」
中小企業・小規模事業者の多くはデジタル人材が不足し、DXが思うように進まないといった経営課題を抱えている。経営に必要な機能をワンストップで提供する統合型DXプラットフォーム「Hirameki 7」のサービスを提供することでこうした課題を解消し、中小企業等の成長を支援し、低成長が続く日本経済の活性化を目指している。前述したように7つの機能(マーケティング、オペレーティング、ファイナンス、ビジネス、コーポレート、コミュニケーション、CX)のうちCX機能については現在開発中で、段階的にリリースする予定である。また、既存の6つの機能についてもそれぞれ機能の拡充を進め、統合型DXプラットフォームとしての完成度を高めることで有料プランへの移行を促し、収益化を目指す戦略だ。顧客獲得については会計事務所を通じた顧問先企業だけでなく、アライアンス戦略やマス広告並びにデジタルマーケティングを活用した獲得も進めていく。
(4) 「クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換」
主力ERP製品の販売形態について、売切り型からサブスク化への移行を進める。サブスク化比率が上昇することによって、一時的に売上高・利益はマイナス影響を受けるものの、外部要因に左右されず一定の売上が見込めるようになり安定的な事業運営が可能となるほか、リプレース(買い替え)の際の営業工数も削減できるため、新規顧客開拓に営業リソースを集中できるようになる。また、クラウド・サブスク化することで常に最新システムをユーザーが利用できる環境となるため、旧バージョン製品のメンテナンスコストを最小化できるといった効果も期待できる。売切り型からクラウド・サブスク型へシフトすることによって、同社は継続的な売上成長と収益性向上が見込めることになり、顧客側にとっても、初期投資の負担軽減と常に最新のサービスの利用が可能になるといったメリットを享受できる。
同社では、2026年3月期におけるクラウド・サブスク型の販売比率を2023年3月期の18%から大きく引き上げることを目標としているが、収益動向を見極めながら可能であれば移行スピードを加速したい考えだ。同社単体におけるクラウド・サブスク契約を含めたサービス収入比率は、2024年3月期見込みの42%から2026年3月期は55%に引き上げる計画となっており、金額ベースで換算した2025年3月期以降の年平均成長率は16%となる。主力ERP製品のサブスク・IaaSの契約社数増加と、クロスセルの強化によるARPUの上昇で高成長を実現していく考えだ。また、現在開発中のSaaS型の企業向けERP製品について、2024年以降に機能を絞って段階的に提供していく予定となっている。
(5) 「グループ連携強化によるグループ会社の独自成長促進」
同社グループは受託システム開発会社3社とコンサルティング領域及びフィンテック領域でそれぞれ3社、事業承継支援とCRM領域で各1社の体制となっている。グループ連携による総合的なソリューション力の向上や、グループ組織の再編と運営体制の最適化を図り、各社の自立した業績拡大に取り組んできたが、前述のとおり子会社の業績が伸び悩んでいる状況から、ガバナンス体制を強化し同社がより深く主導していくことで成長軌道に乗せていく考えだ。
このうち、トライベックに関しては大企業向けのデジタルマーケティング支援事業に加えて、中小企業向けDXプラットフォーム事業を育成することで、ブランド戦略から顧客獲得・育成までを支援する総合型DXコンサルティング企業を目指す。特に人的リソースに依存しないDXプラットフォーム事業を伸ばしていくことができれば、収益性も大きく向上することになる。2021年4月にはグループ会社でビジネスメディア「bizocean」(登録会員数340万人超)を運営する(株)ビズオーシャンを吸収統合しており、豊富な会員基盤を生かしたシナジーの創出も期待される。
一方、当初の想定と比べて伸び悩んでいるトランストラクチャとMJS M&Aパートナーズの2社については、人員体制の強化が喫緊の課題となる。HR領域、M&A領域におけるコンサルティング需要はいずれも旺盛だが、人的リソースの不足によりその追い風に乗り切れていないのが実情となっており、今後の取り組みに期待したい。受託開発を行う子会社3社については、クラウド・Web領域を中心とした開発力やソリューション営業力の強化を図り、また同社の顧客企業を紹介するなどグループシナジーを生かすことで事業規模の拡大を目指す。なお、M&Aやアライアンスについても引き続き検討する方針で、統合型DXプラットフォームで提供可能なサービスを展開する企業などが主な候補となる。
(6) 「戦略実現を加速する人材力・経営基盤強化」
アフターコロナを踏まえて人材投資を加速し、働きやすい職場環境を整備するとともに、新しい働き方に対応した経営・業務基盤の構築に取り組んでいる。具体的には、健康で働きがいのある職場づくりとして、テレワーク環境の整備や残業時間の削減、有給休暇取得率の向上、市場競争力のある処遇体系の整備や待遇面の向上に取り組んでおり、2023年3月期は一般職正社員の給与支給額を9.6%増額し、2024年3月期も定期昇給を含めて5.2%の増額を実施した。
人員の採用・育成面においては新卒社員の採用を継続するとともに、全社員の研修体系整備と徹底した人材育成を行うことにより、プロフェッショナル人材を育成・確保していく。また、エンゲージメント・サーベイによる従業員満足度等の現状把握と分析を行い、継続的に改善に取り組むことでエンゲージメントの向上を図る。同サーベイ結果に基づき、経営陣と従業員の対話の強化、コンプライアンス順守の取り組み、男性育休を取得しやすくする規程改定などの施策が行われているという。
2023年11月には生成AIに「Azure OpenAI Service」を採用したAIチャットサービス「専用生成AIソリューション」を構築し、グループ社内での運用を開始した。同サービスの利用により社員の業務効率化・生産性向上を図り、顧客サービスの強化を推進していく。また、今後はERP製品への採用も進めていく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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