エムアップ Research Memo(1):2024年3月期上期もEC拡大、電子チケットの伸び等で大幅な利益成長を実現
[23/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*16:31JST エムアップ Research Memo(1):2024年3月期上期もEC拡大、電子チケットの伸び等で大幅な利益成長を実現
■要約
1. 会社概要
エムアップホールディングス<3661>は、アーティストを中心として、タレントや声優、アニメまで、幅広いジャンルにおけるファンクラブサイトの事業を軸としながら、キャラクター、スタンプ、音楽、電子書籍といった多岐にわたるデジタルコンテンツの配信から、eコマース、電子チケットに至るまで、複合的な事業展開をしている。音楽アーティストを中心とするファンクラブサイトの運営は500以上、ファンクラブサイトの課金会員数は250万名を超え、それぞれ国内最大規模を誇る。代表取締役の美藤宏一郎(みとうこういちろう)氏が音楽業界(レコード会社)出身者であることから、アーティストやタレント、スポーツ選手、キャラクターなど強力IP(Intellectual Property)の獲得に強みがあり、多岐にわたるカテゴリーやジャンルで数多くの公式サイトを展開する。コアファンによる会員基盤に支えられながら同社業績も安定推移してきたが、2018年9月にはEMTG(株)の完全子会社化により事業基盤が大きく拡大するとともに、市場拡大が期待できる「電子チケット事業」へも参入し、2020年4月からは持株会社体制へと移行した。2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を一部受けたものの、コロナ禍をきっかけとしたアーティストとファンの関わりの変化やエンタテインメントのDXを見据えた新たな価値の創出(VR、NFT等)にも注力しており、今後の成長に向けて新たなステージを迎えようとしている。
2. 2024年3月期上期決算の概要
2024年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比14.2%増の8,865百万円、営業利益が同22.7%増の1,457百万円とコロナ禍からの回復とともに増収増益を実現した。主力の「ファンクラブ・ファンサイト事業等(以下、ファンサイト事業)」「EC事業」「電子チケット事業」がそれぞれ順調に拡大した。「ファンサイト事業」は、新規FC(ファンクラブサイト)獲得とそれに伴う課金会員数の増加が業績の伸びをけん引した。「EC事業」は、回復するライブやコンサートと歩調を合わせた取り組み(商品取扱高の拡充)が奏功した。「電子チケット事業」についても、有観客でのライブ、イベントが増加するなかで、電子チケットの強み(感染予防対策など)を生かした発券枚数の伸びに加え、周辺サービス(オンラインくじ等)を付加した顧客単価の向上も寄与した。利益面でも、オフィス増床等による費用増や新規事業への先行費用が発生したものの、会費の値上げ効果や収益性の高い「EC事業」「電子チケット事業」の伸びにより大幅な増益を実現した。活動面では、ファンダム形成※に向けた新サービスの展開や新規事業の立ち上げ、韓国・中国を中心とするグローバル戦略の推進、次世代ビジネスの取り組み(VR、NFT等)など、短期・中長期の目線から各方面で進展を図ることができた。
※熱量の高いファン集団。
3. 2024年3月期の業績予想
2024年3月期の業績について同社は、現時点で期初予想を据え置き、売上高を前期比9.8%増の17,500百万円、営業利益を同20.5%増の2,500百万円と通期でも増収増益を見込んでいる。上期に引き続き、ライブ、コンサートの回復のもと、新規FC開設に伴う課金会員数の増加や「EC事業」、「電子チケット事業」の拡大が業績の伸びをけん引する想定である。特に下期は大型FCを含め、新規案件の開設が多数予定されているほか、韓国ファンプラットフォーム企業との合弁によるサービス開始(2024年2月)も予定している。利益面でも、引き続き先行費用等を予定しているものの、収益性の高い「EC事業」の伸びや一人当たりの単価向上等により高い利益成長を実現する。なお、上期業績(特に利益面)の順調な進捗を鑑み、今後の新規事業の立ち上がりの状況を見ながら適宜見直す予定としている。
4. 今後の事業戦略
今後の事業戦略のポイントは、1) 基盤強化の継続、2) 事業シナジーの追求、3) 積極的な事業投資による成長加速である。具体的には、強力IPの獲得に向けた活動(基盤強化)を継続するとともに、IPと動画配信ノウハウを生かした独自の「VR事業」の展開や、IPとアプリの組み合わせによるファンサイトのプラットフォーム化、IP活用によるNFTマーケットプレイスへの参入など、様々な方面での事業シナジーの追求を目論む。また、電子チケットサービスを同社のファンクラブサイトやVRライブ事業へ導入するとともに、他社アプリへのOEM供給、チケットトレードセンター機能を生かした二次流通市場の創出など、成長加速に向けた新規事業投資にも積極的に取り組む方針である。さらにはポップカルチャーを中心に文化交流が深まるアジア展開にも注力していく。弊社でも、市場拡大が期待される「電子チケット事業」「VR事業」「NFT事業」への展開、さらにはポテンシャルの大きいグローバル戦略の本格化により中長期的な成長加速を実現する可能性が高いと評価している。
■Key Points
・2024年3月期上期はコロナ禍からの回復が進むなか、課金会員数の増加やEC拡大、電子チケットの伸びにより大幅な増収増益を実現
・活動面でも、ファンダム形成に向けた新サービスの展開や新規事業の立ち上げ、グローバル戦略の推進、次世代ビジネスの取り組みなどに進展
・2024年3月期の業績予想を据え置き、増収増益を見込む(足元業績の順調な進捗を鑑み、適宜見直す予定)
・今後も強力IPの獲得を目指すとともに、「電子チケット事業」や「VR事業」「NFT事業」等との事業シナジーの創出により成長を加速する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<AS>
■要約
1. 会社概要
エムアップホールディングス<3661>は、アーティストを中心として、タレントや声優、アニメまで、幅広いジャンルにおけるファンクラブサイトの事業を軸としながら、キャラクター、スタンプ、音楽、電子書籍といった多岐にわたるデジタルコンテンツの配信から、eコマース、電子チケットに至るまで、複合的な事業展開をしている。音楽アーティストを中心とするファンクラブサイトの運営は500以上、ファンクラブサイトの課金会員数は250万名を超え、それぞれ国内最大規模を誇る。代表取締役の美藤宏一郎(みとうこういちろう)氏が音楽業界(レコード会社)出身者であることから、アーティストやタレント、スポーツ選手、キャラクターなど強力IP(Intellectual Property)の獲得に強みがあり、多岐にわたるカテゴリーやジャンルで数多くの公式サイトを展開する。コアファンによる会員基盤に支えられながら同社業績も安定推移してきたが、2018年9月にはEMTG(株)の完全子会社化により事業基盤が大きく拡大するとともに、市場拡大が期待できる「電子チケット事業」へも参入し、2020年4月からは持株会社体制へと移行した。2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を一部受けたものの、コロナ禍をきっかけとしたアーティストとファンの関わりの変化やエンタテインメントのDXを見据えた新たな価値の創出(VR、NFT等)にも注力しており、今後の成長に向けて新たなステージを迎えようとしている。
2. 2024年3月期上期決算の概要
2024年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比14.2%増の8,865百万円、営業利益が同22.7%増の1,457百万円とコロナ禍からの回復とともに増収増益を実現した。主力の「ファンクラブ・ファンサイト事業等(以下、ファンサイト事業)」「EC事業」「電子チケット事業」がそれぞれ順調に拡大した。「ファンサイト事業」は、新規FC(ファンクラブサイト)獲得とそれに伴う課金会員数の増加が業績の伸びをけん引した。「EC事業」は、回復するライブやコンサートと歩調を合わせた取り組み(商品取扱高の拡充)が奏功した。「電子チケット事業」についても、有観客でのライブ、イベントが増加するなかで、電子チケットの強み(感染予防対策など)を生かした発券枚数の伸びに加え、周辺サービス(オンラインくじ等)を付加した顧客単価の向上も寄与した。利益面でも、オフィス増床等による費用増や新規事業への先行費用が発生したものの、会費の値上げ効果や収益性の高い「EC事業」「電子チケット事業」の伸びにより大幅な増益を実現した。活動面では、ファンダム形成※に向けた新サービスの展開や新規事業の立ち上げ、韓国・中国を中心とするグローバル戦略の推進、次世代ビジネスの取り組み(VR、NFT等)など、短期・中長期の目線から各方面で進展を図ることができた。
※熱量の高いファン集団。
3. 2024年3月期の業績予想
2024年3月期の業績について同社は、現時点で期初予想を据え置き、売上高を前期比9.8%増の17,500百万円、営業利益を同20.5%増の2,500百万円と通期でも増収増益を見込んでいる。上期に引き続き、ライブ、コンサートの回復のもと、新規FC開設に伴う課金会員数の増加や「EC事業」、「電子チケット事業」の拡大が業績の伸びをけん引する想定である。特に下期は大型FCを含め、新規案件の開設が多数予定されているほか、韓国ファンプラットフォーム企業との合弁によるサービス開始(2024年2月)も予定している。利益面でも、引き続き先行費用等を予定しているものの、収益性の高い「EC事業」の伸びや一人当たりの単価向上等により高い利益成長を実現する。なお、上期業績(特に利益面)の順調な進捗を鑑み、今後の新規事業の立ち上がりの状況を見ながら適宜見直す予定としている。
4. 今後の事業戦略
今後の事業戦略のポイントは、1) 基盤強化の継続、2) 事業シナジーの追求、3) 積極的な事業投資による成長加速である。具体的には、強力IPの獲得に向けた活動(基盤強化)を継続するとともに、IPと動画配信ノウハウを生かした独自の「VR事業」の展開や、IPとアプリの組み合わせによるファンサイトのプラットフォーム化、IP活用によるNFTマーケットプレイスへの参入など、様々な方面での事業シナジーの追求を目論む。また、電子チケットサービスを同社のファンクラブサイトやVRライブ事業へ導入するとともに、他社アプリへのOEM供給、チケットトレードセンター機能を生かした二次流通市場の創出など、成長加速に向けた新規事業投資にも積極的に取り組む方針である。さらにはポップカルチャーを中心に文化交流が深まるアジア展開にも注力していく。弊社でも、市場拡大が期待される「電子チケット事業」「VR事業」「NFT事業」への展開、さらにはポテンシャルの大きいグローバル戦略の本格化により中長期的な成長加速を実現する可能性が高いと評価している。
■Key Points
・2024年3月期上期はコロナ禍からの回復が進むなか、課金会員数の増加やEC拡大、電子チケットの伸びにより大幅な増収増益を実現
・活動面でも、ファンダム形成に向けた新サービスの展開や新規事業の立ち上げ、グローバル戦略の推進、次世代ビジネスの取り組みなどに進展
・2024年3月期の業績予想を据え置き、増収増益を見込む(足元業績の順調な進捗を鑑み、適宜見直す予定)
・今後も強力IPの獲得を目指すとともに、「電子チケット事業」や「VR事業」「NFT事業」等との事業シナジーの創出により成長を加速する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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