日産東HD Research Memo(2):総合モビリティ事業のフロントランナー
[24/01/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:22JST 日産東HD Research Memo(2):総合モビリティ事業のフロントランナー
■会社概要
1. 会社概要
日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車系の自動車ディーラー(日産東京販売)など連結子会社4社及び非連結子会社3社を傘下に持つ持株会社である。傘下の日産東京販売は日本の中心で人口が集中する東京を地盤に、日産及びルノーブランドの自動車を販売する事業を展開しており、全国のディーラーにおいて最大級の規模を誇る。同社は主に日産自動車とそのグループ会社からEVなど先端的な自動車や部用品を仕入れて販売するほか、中古車の買取・販売や自動車の車体整備・車検整備などの事業も行っており、総合モビリティ事業のフロントランナーとして、顧客に対しカーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供している。
日産ディーラー事業の強化と集中を進める
2. 沿革
同社は、1942年の商工省通牒「自動車および同部分品配給機構整備要綱」に基づき、東京府自動車配給(株)として東京市で発足した。戦後の1946年に東京日産自動車販売(株)に商号を変更し、その後はモータリゼーションとともに徐々に業容を拡大、1961年に東京証券取引所第1部に上場した。1989年に東京日産コンピュータシステム(株)(現 TCS)を設立してシステム事業に参入、2002年に(株)車検館を設立し車検整備を強化、2004年には東京日産コンピュータシステムをJASDAQ市場に上場させた。また、同年、会社分割により持株会社体制に移行して(株)東日カーライフグループへと商号を変更、2008年には日産自動車子会社の日産ネットワークホールディングス(株)に対し第三者割当増資を実施、日産自動車の持分法適用関連会社となった。2011年には東京を地盤とする東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売(株)、日産プリンス西東京販売(株)の3社をグループ化し、東京における日産自動車の販売をほぼ一手に引き受けることになった。これに伴い、同社は現在の日産東京販売ホールディングスへと商号を変更した。グループ化が軌道に乗った2021年7月、さらなる効率化とスケールメリットを目指し、日産販売会社3社を統合して日産東京販売を設立、名実ともに国内最大級の自動車ディーラーとなった。また、限られた経営資源をモビリティ関連事業に集中するため、2023年10月に東京日産コンピュータシステムの全株式を譲渡した。
「CASE」や「MaaS」といった潮流に即して事業を展開
3. 自動車業界の動向
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が落ち着きを見せても、自動車業界は先端技術化やCO2排出削減など課題は尽きない。こうした状況のなか、「CASE」と「MaaS」という潮流が、自動車業界に大変革をもたらすと注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Services)、EV(E:Electric)のことで、自動車業界に大変革を引き起こす一連の技術である。一方「MaaS(Mobility as a Service)」は、移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、様々な交通手段を最適に組み合わせて予定・予約・決済をワンストップで提供、個人単位の移動ニーズにまで対応したサービスである。自動車業界の大変革期における適応の1つと考えられる。
こうした大変革に即してEVを急速に普及させているのが欧州や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難い。理由は、EVに本格参入している国内メーカーが日産自動車くらいで、新車販売台数に占めるEVの構成比が2%程度と非常に小さいからだ。このため、充電器を増やすというモチベーションが湧かず、消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした環境のなかだが、同社は早い段階からEVやe-POWER※1といった電動車※2の普及に取り組んできた。電動車と相性がいいと言われるIoTには先端技術化で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)などの技術進化で対応された電動車は先端性や環境などの面での優位性を発揮している。さらに同社は、「MaaS」に対してはリースやレンタカーなどモビリティ事業の強化を進めている。もちろんEV普及の旗振り役ともいえる同社だから、各店舗に他社メーカー製のEVも利用可能な急速充電器を設置するなど、積極的なインフラ投資も続けている。このように、同社は肥沃な地盤をより効果的に活かして、「CASE」や「MaaS」といった潮流に即した事業体制の構築を進めており、日本でEV需要が急拡大する際には先行者メリットを享受することになろう。
※1 e-POWER:日産自動車独自のハイブリッドユニット。発電のみにエンジンを使用するため、EVと同様のドライビングフィールを味わえる。
※2 電動車:電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)などの総称。同社の場合はEVとe-POWER※1及びハイブリッド車を指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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■会社概要
1. 会社概要
日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車系の自動車ディーラー(日産東京販売)など連結子会社4社及び非連結子会社3社を傘下に持つ持株会社である。傘下の日産東京販売は日本の中心で人口が集中する東京を地盤に、日産及びルノーブランドの自動車を販売する事業を展開しており、全国のディーラーにおいて最大級の規模を誇る。同社は主に日産自動車とそのグループ会社からEVなど先端的な自動車や部用品を仕入れて販売するほか、中古車の買取・販売や自動車の車体整備・車検整備などの事業も行っており、総合モビリティ事業のフロントランナーとして、顧客に対しカーライフに関わるすべてのサービスをワンストップで提供している。
日産ディーラー事業の強化と集中を進める
2. 沿革
同社は、1942年の商工省通牒「自動車および同部分品配給機構整備要綱」に基づき、東京府自動車配給(株)として東京市で発足した。戦後の1946年に東京日産自動車販売(株)に商号を変更し、その後はモータリゼーションとともに徐々に業容を拡大、1961年に東京証券取引所第1部に上場した。1989年に東京日産コンピュータシステム(株)(現 TCS)を設立してシステム事業に参入、2002年に(株)車検館を設立し車検整備を強化、2004年には東京日産コンピュータシステムをJASDAQ市場に上場させた。また、同年、会社分割により持株会社体制に移行して(株)東日カーライフグループへと商号を変更、2008年には日産自動車子会社の日産ネットワークホールディングス(株)に対し第三者割当増資を実施、日産自動車の持分法適用関連会社となった。2011年には東京を地盤とする東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売(株)、日産プリンス西東京販売(株)の3社をグループ化し、東京における日産自動車の販売をほぼ一手に引き受けることになった。これに伴い、同社は現在の日産東京販売ホールディングスへと商号を変更した。グループ化が軌道に乗った2021年7月、さらなる効率化とスケールメリットを目指し、日産販売会社3社を統合して日産東京販売を設立、名実ともに国内最大級の自動車ディーラーとなった。また、限られた経営資源をモビリティ関連事業に集中するため、2023年10月に東京日産コンピュータシステムの全株式を譲渡した。
「CASE」や「MaaS」といった潮流に即して事業を展開
3. 自動車業界の動向
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)やウクライナ情勢などによる生産や流通の混乱が落ち着きを見せても、自動車業界は先端技術化やCO2排出削減など課題は尽きない。こうした状況のなか、「CASE」と「MaaS」という潮流が、自動車業界に大変革をもたらすと注目されている。「CASE」とは、自動車のIoT化(C:Connected)、自動運転(A:Autonomous)、所有から共有へ(S:Shared & Services)、EV(E:Electric)のことで、自動車業界に大変革を引き起こす一連の技術である。一方「MaaS(Mobility as a Service)」は、移動自体をサービスとして捉えた「モビリティ」という考え方に基づき、様々な交通手段を最適に組み合わせて予定・予約・決済をワンストップで提供、個人単位の移動ニーズにまで対応したサービスである。自動車業界の大変革期における適応の1つと考えられる。
こうした大変革に即してEVを急速に普及させているのが欧州や中国で、日本では話題が先行するばかりで必ずしも普及しているとは言い難い。理由は、EVに本格参入している国内メーカーが日産自動車くらいで、新車販売台数に占めるEVの構成比が2%程度と非常に小さいからだ。このため、充電器を増やすというモチベーションが湧かず、消費者にEV購入の二の足を踏ませているともいえる。こうした環境のなかだが、同社は早い段階からEVやe-POWER※1といった電動車※2の普及に取り組んできた。電動車と相性がいいと言われるIoTには先端技術化で、自動運転にはプロパイロット(ProPILOT:運転支援技術)などの技術進化で対応された電動車は先端性や環境などの面での優位性を発揮している。さらに同社は、「MaaS」に対してはリースやレンタカーなどモビリティ事業の強化を進めている。もちろんEV普及の旗振り役ともいえる同社だから、各店舗に他社メーカー製のEVも利用可能な急速充電器を設置するなど、積極的なインフラ投資も続けている。このように、同社は肥沃な地盤をより効果的に活かして、「CASE」や「MaaS」といった潮流に即した事業体制の構築を進めており、日本でEV需要が急拡大する際には先行者メリットを享受することになろう。
※1 e-POWER:日産自動車独自のハイブリッドユニット。発電のみにエンジンを使用するため、EVと同様のドライビングフィールを味わえる。
※2 電動車:電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV、PHV)、ハイブリッド車(HEV、HV)、燃料電池車(FCEV、FCV)などの総称。同社の場合はEVとe-POWER※1及びハイブリッド車を指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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