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ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):不動産賃貸管理事業の高水準入居率確保等で、期初予想上回る好決算達成

注目トピックス 日本株
*14:34JST ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):不動産賃貸管理事業の高水準入居率確保等で、期初予想上回る好決算達成
■ジェイ・エス・ビー<3480>の業績動向

1. 2023年10月期の業績概要
2023年10月期におけるわが国経済は、コロナ禍による各種規制が緩和され、社会経済活動は正常化に向かい、景気や企業業績も緩やかながら回復基調となったものの、一方で原材料価格の高騰、為替相場の円安進行などによる景気の下振れリスクも抱え、依然として先行き不透明な状況が続いた。ただ、同社グループの主たる顧客層である学生の動向においては、2023年度の大学(大学院を含む)の学生数は294.6万人と前年度比1.5万人増加(文部科学省「令和5年度学校基本調査速報」)しており、同社グループにとっては良好な市場環境が継続している。

こうした経営環境のなかで、2023年10月期の同社グループの業績は、売上高63,781百万円(前期比10.1%増)、営業利益7,187百万円(同13.9%増)、経常利益7,073百万円(同14.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,775百万円(同11.0%増)と、2ケタ成長の増収増益を達成した。いずれの項目も期初予想を超過達成する好決算であった。売上高は物件管理戸数の増加や高水準の入居率確保による賃貸関連売上高の伸長により、計画比1.0%増となった。その結果、物件管理戸数の増加に伴う借上物件に対する保証家賃の増加や、自社所有物件増加に伴う減価償却費等の増加による売上原価の増加を吸収して、売上総利益は同3.2%増となった。さらに食材高騰による仕入関連費用増加などの影響を最小限に抑制したことで、販管費が同1.3%下回った。以上から、営業利益は同6.0%増、経常利益は同6.6%増となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益も同8.0%増と、前期に計上した特別利益(同社が自社開発した学生マンションを既存の投資家に売却したことによる固定資産売却益)を吸収して増加した。なお、こうした自社開発物件売却による資本回収は中期経営計画に沿った動きであり、売却後は同社の借上物件として管理戸数の増加にも貢献している。なお、中期経営計画の最終年度としても、目標を超過達成した。

なお主力事業の不動産賃貸管理事業においては、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期(2〜4月)に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向があることに留意が必要だ。実際、学生マンションの入居者入れ替わりは年度末・年度始めに集中しており、売上高・利益計上の時期に大きな偏りが生じる。すなわち、学生マンションの入替期である第2四半期に売上高・利益計上が集中し、第1、3、4四半期は、主に入居者募集の準備として費用を計上する期間となっている。結果として、売上高・営業利益の四半期ごとの変動はあるものの、物件管理戸数の増加に伴って年度単位では着実に右肩上がりで推移している。

2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
売上高は60,183百万円(前期比10.6%増)、営業利益は8,767百万円(同12.7%増)と増収増益であった。この結果、営業利益率は14.6%と、引き続き高い利益率を維持している。物件管理戸数は85,453戸(同4,842戸増)と順調に増加したうえ、高い募集力を背景に入居率は99.9%と、前期に引き続き高水準を確保した。物件管理戸数の増加に加え、高い入居率を確保することにより家賃関連売上高は順調に増加した。費用面では借上物件の管理戸数増加による保証家賃の増加、自社所有物件の増加に伴う減価償却費の増加、他社との差別化として推進する食事付き学生マンションの積極展開に伴う食材仕入の増加等、同社グループの業容拡大に伴う費用負担がそれぞれ増加したものの、増収が上回り増益となった。

(2) 高齢者住宅事業
売上高は2,980百万円(前期比4.0%増)、営業利益は310百万円(同19.1%増)となった。営業利益率は、前期の9.1%から10.4%に上昇した。また、入居率は92.1%(同2.2ポイント増)と、適正水準を維持した。2023年10月期は、コロナ禍に伴う規制等が徐々に緩和された足元の状況も後押しとなり、高齢者住宅施設への入居希望者のマインドは好転した。一方、費用面では施設運営人材の採用難は依然として続いており、派遣社員の利用増加に伴う人件費負担は増加傾向となった。

なお、グループの経営資源を収益性・成長性の高い不動産賃貸管理事業に集中投下するために、2023年11月に高齢者住宅事業を学研ココファンに譲渡したことで、2024年10月期からは事業セグメントから除外される。

(3) その他の事業
売上高は616百万円(前期比0.9%減)、営業損失は19百万円(前期は59百万円の損失)となった。コロナ禍における世界的な入国出国規制の影響により、同社の運営する日本語学校事業では、長期間にわたり待機留学生の発生や受け入れ時期の遅延が発生していたが、当該規制の大幅な緩和から従来の受け入れ体制を取り戻したことにより事業収益は大幅に改善した。一方、第0新卒事業(大学生、大学院生を対象に、新卒入社で社会に出た後に必要なビジネススキルやヒューマンスキルの教育を行うサービス)を運営するスタイルガーデンは、当初は順調なペースで事業収益の伸長はあったものの、物価高騰をはじめとした市況変化への対応が遅れたこともあり、運営体制の見直しが必要となった。学生支援に係る同社グループの従来事業とのグループシナジー創出も含め、運営体制の見直しに一定程度の時間を要する見込みであることから、同社に係るのれん等の減損損失を計上した。その他の事業の売上高・利益の貢献は小さいが、主力事業に対する後方支援的な位置付けを担っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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