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ダイコク電 Research Memo(4):2024年3月期上期はスマート遊技機に必要な主力製品群が計画大きく上回る

注目トピックス 日本株
*16:04JST ダイコク電 Research Memo(4):2024年3月期上期はスマート遊技機に必要な主力製品群が計画大きく上回る
■決算動向

1. 2024年3月期上期の業績概要
ダイコク電機<6430>の2024年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比158.4%増の29,168百万円、営業利益が同953.6%増の7,899百万円、経常利益が同810.9%増の7,938百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同864.6%増の5,502百万円と大きく拡大した。

「情報システム事業」の大幅な拡大が業績の伸びをけん引した。2022年11月より市場導入されたスマートパチスロの稼動が好調に推移するなかで、パチンコホールでは「スマート遊技機」に対応するための設備投資が活発化し、それに伴って、「スマート遊技機」のデータ管理に最適なAIホールコンピュータ「X(カイ)」へのシステムアップが進んだほか、スマート遊技機専用を含むカードユニット「VEGASIA」や、情報公開端末「REVOLA」「BiGMO PREMIUM」等の製品販売台数が計画を大幅に上回った。また、サービス売上についてもMGサービスなどが堅調に推移した。一方、「アミューズメント事業」については、市場全体でパチンコ販売台数が伸び悩んだ影響を受け、遊技機向けの表示ユニット及び制御ユニット販売、部品販売ともに前年同期を下回った。

利益面でも、「情報システム事業」の拡大が収益を大きく押し上げた。特に、利益率の高い主力製品が伸びたことで大幅な営業増益を実現し、営業利益率も27.1%(前年同期は6.6%)と大きく改善した。

財政状態については、自己資本が内部留保の積み増しにより前期末比13.8%増の38,016百万円に増加した一方、総資産は売上増に伴う現金及び預金並びに売上債権の増加や設備投資需要に備えた製品在庫の増加により、同16.9%増の56,477百万円に拡大し、自己資本比率は67.3%(前期末は69.2%)に若干低下した。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) 情報システム事業
売上高は前年同期比220.8%増の27,286百万円、セグメント利益は同537.4%増の8,964百万円と大きく拡大し、過去最高業績(上期ベース)を更新した。2022年11月より市場導入されたスマートパチスロの稼動が好調に推移したことにより、同社顧客であるパチンコホールにおいて「スマート遊技機」に対応する設備投資が活発化し、それに伴って、AIホールコンピュータ「X(カイ)」へのシステムアップが進んだほか、スマート遊技機専用を含むカードユニット「VEGASIA」※1や情報公開端末「REVOLA」「BiGMO PREMIUM」等の製品販売台数が計画を大幅に上回った。また、サービス売上についても、「スマート遊技機」登場による市場変化への対応に関連したMGサービスの加盟店数が増加したこともあり、前年同期を上回った。特に商圏分析サービス「Market-SIS」及びチェーン店管理サービス「ClarisLink」に、省力化ツール「楽らく入替運用オプション」(遊技機の入替設定を1分間で完了可能)を加えた3つの経営支援サービスの強化に取り組んだ※2。利益面でも、クラウド等への先行費用が増加したものの、利益率の高い主力製品の伸びやMGサービスによるストック収益の積み上げにより大幅な増益を達成し、セグメント利益率は32.9%(前年同期は16.5%)と大きく改善した。

※1 カードユニット「VEGASIA」シリーズについては、2013年に後発で市場参入して以来、順調にシェアを拡大(2023年9月末は16.7%)してきたが、今後も「スマート遊技機」へのシフトとともにシェア拡大に拍車がかかる可能性が高いと弊社では見ている。
※2 2019年4月にリリースした「Market-SIS」の2023年9月末の掲載店舗数は4,238店舗(2020年9月末比1,209店舗増)、2021年11月にリリースした「ClarisLink」の契約店舗数は661店舗(2022年9月末比530店舗増)とともに順調に伸びている。


なお、市場全体の動きに目を向けると、スマートパチスロは2023年9月末までに累計20機種が導入され、パチスロ機全体における設置割合は23.8%(2023年3月末は8.2%)とハイペースで普及が進んできた※1。2024年3月機上期(4〜9月)におけるパチスロ機販売台数は約40万台(前年同期は約24万台)に伸び、そのうちスマートパチスロが約60%を占めている※2。また、遊技機全体の稼動状況についても第1四半期(4〜6月)が前年同期比106.1%、第2四半期(7〜9月)が同106.4%と好調に推移したが、パチスロ機だけで見ると、スマートパチスロの登場とともに第1四半期が同132.5%、第2四半期が同123.3%と稼動全体の伸びをけん引しており、パチンコホールの設備投資需要を高める要因となっている※3。

※1 一方、2023年4月より市場導入されたスマートパチンコについては2023年9月末までに累計7機種が導入されたが、パチンコ機全体における設置割合は未だ3.0%にとどまっている。
※2 一方、2024年3月期上期におけるパチンコ機販売台数は、稼動をけん引する新たなタイトルがなかったことやスマートパチスロへのシフトを優先する動きから約50万台(前年同期は約53万台)と伸び悩んだ。
※3 稼動状況(前年同期比)については同社「DK-SIS」データ比較によるもの。


(2) アミューズメント事業
売上高は前年同期比32.2%減の1,890百万円、セグメント損失は105百万円(前年同期は48百万円の利益)と大幅な減収となり、セグメント損失を計上した。市場全体でパチンコ機販売台数が伸び悩んだ影響を受け、遊技機向けの表示ユニット及び制御ユニット販売、部品販売ともに前年同期を下回った。利益面でも、大幅な減収に伴う収益の押し下げのほか、自社ブランドによるスマートパチスロ機の開発費用(2025年3月期の市場投入を目指す)などにより、セグメント損失を計上した。

2. 2024年3月期上期の総括
2024年3月期上期を総括すると、大幅な業績の伸びを実現できたのは、スマートパチスロが遊技機全体の稼動の伸びをけん引しながら、順調に設置台数を伸ばしたこと(外部要因)、そして「スマート遊技機」の普及に伴う設備投資需要をしっかりと取り込むことができたこと(内部要因)の2点につきる。特に後者については、「スマート遊技機」時代を迎えるにあたって同社の優位性を改めて実証するものと言えるだろう。また、「スマート遊技機」に必要な主力製品群の伸びが利益率の向上に貢献しているところも評価すべきポイントである。一方、スマートパチンコについては本格的な普及に至っていないものの、足元では稼動の良い機種も出始めており、同社にとっては今後の伸びしろとして捉えることもできる。活動面では、最新技術を活用した新たなサービスの基盤となるクラウド開発や、自社ブランドによるスマートパチスロ機の市場投入(2025年3月期の市場投入を目指す)に向けて着実な進展を図ることができた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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