MSOL Research Memo(5):PMO支援専門会社として培ってきた豊富なナレッジとノウハウ、人材育成力が強み
[24/01/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:35JST MSOL Research Memo(5):PMO支援専門会社として培ってきた豊富なナレッジとノウハウ、人材育成力が強み
■会社概要
3. 競合状況と強み・特長
マネジメントソリューションズ<7033>の強み・特長は、PMO支援専門会社という独自の事業モデルを生かして確立した戦略的ポジショニングと人材育成力にあると言えるだろう。
(1) 競合状況
日本においてPMO支援事業を専門的に展開している企業は、ここ数年で未上場企業などが出てきてはいるものの、同社の脅威とはなっていない。また、上場企業ではSHIFT<3697>やシグマクシス・ホールディングス<6088>なども手掛けているが、今のところ現場レベルでは競合していないようだ。これは、同社が独自性の高いビジネスモデルをPMOの草創期から展開し、豊富な実績によって確固たるブランド力を構築してきたことが背景にある。また、競合先としてコンサルティング企業やシステムインテグレータ(以下、SIer)、顧客企業自身が想定されるが、いずれのケースでも専門事業者と兼任担当者という大きな差があり、脅威となるリスクは低いと弊社では見ている。
主要な競合相手の1つであるコンサルティング会社は、コンサルタントとしてのキャリアが中心で、PMOの実行支援の領域では必ずしも経験が豊富というわけではない。コンサルタントとPMOプロフェッショナルとでは求められる資質やスキルも異なる。結果的に、コンサルティング企業においてはPMO支援の人材が不足(もしくは、“十分ではない”)という状況となっている。また、営業体制の項で述べたように、同社のようにPMO支援の専門企業として顧客企業に100%寄り添って業務に臨むのと、コンサルティングの後工程という位置付けで臨むのとでは、“温度差”的なものが生じやすいと考えられ、PMO支援専門企業の強みであるとも言える。
企業においてITシステムの開発・導入に関するプロジェクトは数多い。この領域ではSIerもまた競合相手となる。ITシステムに関してはコンサルティング(提案)だけでなく実際にシステムが稼働して初めて意味を成すためだ。この点に関してはコンサルティングとの競合と同じことが当てはまる。SIer業界においてはエンジニアとしてのキャリアが中心で、PMO支援について豊富な知識・経験を有する人材は限られている。なお、IT領域に関しては成長を加速すべく2024年1月に事業分割して新設した子会社のMSOL Digitalで展開していくことになる。
顧客企業自身がPMOを運営するケースは、同社の事業機会が減少するという点では競合関係に当たると言える。顧客企業が自社でPMOを運営すれば直接的なコスト削減につながるように見えるため、こうした傾向が増えていくことは充分想定し得る。しかしながら、一般的にプロジェクトマネージャーに部長・課長クラスの人材が投入されるように、PMOの役割を担う事務局の立場には部員・課員が配置されることは想像に難くない。彼らは日常業務も持っておりPMOに専念できるわけではなく、PMO支援の知識・スキルの点でも専門事業者のPMOプロフェッショナルに比べて低いケースが多い。このため、総合的に考えれば、同社のような専門企業にアウトソースするほうが効率良くプロジェクトを運営できることになり、脅威となるリスクは低いと考えられる。実際、米国ではPMOのアウトソーシング市場が拡大基調にある。
(2) 人材育成力
同社は直近5期間で年率42%の売上成長を遂げてきた。日本市場におけるPMOの需要が拡大することを見越して、PMOコンサルタントの採用・育成に積極的に取り組んできたことが高成長の一因となっている。人材採用を積極的に実施してきたため、短期的に採用教育費が膨らみ、利益に影響を与えた時期もあったが、目先の利益に固執することなく戦略的に人材投資を実行してきたことが高成長につながった。PMOコンサルタントの推移を見れば、2018年10月期末の158人から2023年10月期末は967人と6.1倍に増加し、この間に売上高は5.8倍に成長したことになる。
同社の強みの1つとして、こうして採用した人材をPMOコンサルタントとして育成する研修プログラムを確立していることが挙げられる。研修プログラムは殆どが独自開発したもので、年に200回程度の社内研修を実施し、個々の社員のスキルアップを図っている。新卒採用は2ヶ月の研修後、中途採用は約1週間のオリエンテーション後にプロジェクトにアサインメントするなど早期戦力化を実現している。また、評価制度についても4つの職種をさらに9つの職級に分類して、それぞれの職級に必要なスキルを詳細に定義しており、個々人で目標を設定して半期に1度のペースでマネージャーによる評価、フィードバックを行うなど納得感のある人事評価を実施している。さらに、キャリアの多様性やスキルアップを支援する各種制度も充実させており、離職率が9.7%(2023年8月期実績)と低いことも強みの1つと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■会社概要
3. 競合状況と強み・特長
マネジメントソリューションズ<7033>の強み・特長は、PMO支援専門会社という独自の事業モデルを生かして確立した戦略的ポジショニングと人材育成力にあると言えるだろう。
(1) 競合状況
日本においてPMO支援事業を専門的に展開している企業は、ここ数年で未上場企業などが出てきてはいるものの、同社の脅威とはなっていない。また、上場企業ではSHIFT<3697>やシグマクシス・ホールディングス<6088>なども手掛けているが、今のところ現場レベルでは競合していないようだ。これは、同社が独自性の高いビジネスモデルをPMOの草創期から展開し、豊富な実績によって確固たるブランド力を構築してきたことが背景にある。また、競合先としてコンサルティング企業やシステムインテグレータ(以下、SIer)、顧客企業自身が想定されるが、いずれのケースでも専門事業者と兼任担当者という大きな差があり、脅威となるリスクは低いと弊社では見ている。
主要な競合相手の1つであるコンサルティング会社は、コンサルタントとしてのキャリアが中心で、PMOの実行支援の領域では必ずしも経験が豊富というわけではない。コンサルタントとPMOプロフェッショナルとでは求められる資質やスキルも異なる。結果的に、コンサルティング企業においてはPMO支援の人材が不足(もしくは、“十分ではない”)という状況となっている。また、営業体制の項で述べたように、同社のようにPMO支援の専門企業として顧客企業に100%寄り添って業務に臨むのと、コンサルティングの後工程という位置付けで臨むのとでは、“温度差”的なものが生じやすいと考えられ、PMO支援専門企業の強みであるとも言える。
企業においてITシステムの開発・導入に関するプロジェクトは数多い。この領域ではSIerもまた競合相手となる。ITシステムに関してはコンサルティング(提案)だけでなく実際にシステムが稼働して初めて意味を成すためだ。この点に関してはコンサルティングとの競合と同じことが当てはまる。SIer業界においてはエンジニアとしてのキャリアが中心で、PMO支援について豊富な知識・経験を有する人材は限られている。なお、IT領域に関しては成長を加速すべく2024年1月に事業分割して新設した子会社のMSOL Digitalで展開していくことになる。
顧客企業自身がPMOを運営するケースは、同社の事業機会が減少するという点では競合関係に当たると言える。顧客企業が自社でPMOを運営すれば直接的なコスト削減につながるように見えるため、こうした傾向が増えていくことは充分想定し得る。しかしながら、一般的にプロジェクトマネージャーに部長・課長クラスの人材が投入されるように、PMOの役割を担う事務局の立場には部員・課員が配置されることは想像に難くない。彼らは日常業務も持っておりPMOに専念できるわけではなく、PMO支援の知識・スキルの点でも専門事業者のPMOプロフェッショナルに比べて低いケースが多い。このため、総合的に考えれば、同社のような専門企業にアウトソースするほうが効率良くプロジェクトを運営できることになり、脅威となるリスクは低いと考えられる。実際、米国ではPMOのアウトソーシング市場が拡大基調にある。
(2) 人材育成力
同社は直近5期間で年率42%の売上成長を遂げてきた。日本市場におけるPMOの需要が拡大することを見越して、PMOコンサルタントの採用・育成に積極的に取り組んできたことが高成長の一因となっている。人材採用を積極的に実施してきたため、短期的に採用教育費が膨らみ、利益に影響を与えた時期もあったが、目先の利益に固執することなく戦略的に人材投資を実行してきたことが高成長につながった。PMOコンサルタントの推移を見れば、2018年10月期末の158人から2023年10月期末は967人と6.1倍に増加し、この間に売上高は5.8倍に成長したことになる。
同社の強みの1つとして、こうして採用した人材をPMOコンサルタントとして育成する研修プログラムを確立していることが挙げられる。研修プログラムは殆どが独自開発したもので、年に200回程度の社内研修を実施し、個々の社員のスキルアップを図っている。新卒採用は2ヶ月の研修後、中途採用は約1週間のオリエンテーション後にプロジェクトにアサインメントするなど早期戦力化を実現している。また、評価制度についても4つの職種をさらに9つの職級に分類して、それぞれの職級に必要なスキルを詳細に定義しており、個々人で目標を設定して半期に1度のペースでマネージャーによる評価、フィードバックを行うなど納得感のある人事評価を実施している。さらに、キャリアの多様性やスキルアップを支援する各種制度も充実させており、離職率が9.7%(2023年8月期実績)と低いことも強みの1つと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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