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FB Research Memo(10):10ヶ年計画を策定。3つの局面に分け、成長戦略を実施

注目トピックス 日本株
*13:10JST FB Research Memo(10):10ヶ年計画を策定。3つの局面に分け、成長戦略を実施
■中期経営計画

1. 中期経営計画「SiLK VISION 2024」
フリービット<3843>は、2021年から2030年の10ヶ年の長期計画を策定した。これを基に2021年4月期は、「SiLK VISION 2024」に向けて戦略の方向性を明確にするとともに、移行期として大規模なオフバランス化を断行するなど財務的な改善策も実行した。2022年4月期以降については、2024年4月期までを世の中が5G/web3に移行する” Pre 5G/web3”である「SiLK VISION 2024」、2025年4月期〜2027年4月期までを5G/web3の世界が本格化する “Core 5G/web3”である「SiLK VISION 2027」、2028年4月期〜2030年4月期までを6G/web4への準備を図る”6G/web4 Standby”である「SiLK VISION 2030」として、連続して進化する3つの局面を設定した。そのなかで最初の2024年4月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「SiLK VISION 2024」から、事業セグメントをモバイル革命領域の「5Gインフラ支援事業」、生活革命領域の「5G生活様式支援事業」、生産革命領域の「企業・クリエイター5G DX支援事業」の3事業に再編し、各サービスのライフサイクルによって収益獲得期のパフォーマンスゾーン、成長期のトランスフォーメーションゾーン、揺籃期のインキュベーションゾーンに分けてゾーンマネジメントを行う成長戦略を展開している。

5Gインフラ支援事業では、環境問題や高齢化社会、低成長など様々な社会問題を解決して持続可能な社会を実現することを目的に、人々の生活の効率化と知の生産革命の基盤となるインフラを提供するモバイル革命領域を対象とした。そこで同社は、5GとeSIM(SIMのソフトウエア化)、AI、Blockchainを活用して、「ヒト」だけでなく膨大な「モノ」を安心・安価につなげ、その先にある「コト(消費)」市場の創出までも支援するプラットフォームを提供する。具体的には、5G関連市場やIoT市場といった巨大市場において、安定かつ安心・安全なインターネット通信インフラサービスを継続的に提供する一方で、5G時代に対応する次世代ネットワークやデータセンターを構築し、5GやeSIMを活用した新サービスの展開を進めている。

5G生活様式支援事業では、持続可能な社会への移行に必要な人々の働き方や学び方、生活の仕方などの進化を促進して社会問題を解決する、新しい社会と価値を創造する生活革命領域を対象としている。そこで同社は、「安心安全な生活」「健康」「働き方」「住まい」など、5G時代ならではの様々な「コト」市場の創造を支援する事業プラットフォームを構築・提供を進めている。具体的には、コロナ禍によってモノを対象とする「安全欲求」まで低下していた「ヒト」の欲求が、社会経済活動の制限緩和を背景にモノ→サービス→コト消費と徐々に高次の「自己実現欲求」に向けて復活していることを受け、ITの生活への浸透を5Gによって加速することで、より高次の市場創出につなげていくものである。

企業・クリエイター5G DX支援事業では、社会問題の解決のために膨大な知識の中から適切な知識を動員する「知の構造化」を行い、それによる「知の生産革命」によってイノベーションを起こす生産革命領域を対象とする。そこで同社は、企業というより、5G時代のモノづくりの中心となるクリエイターやインフルエンサーに対し、彼らが市場創出から価値創造、検証、市場投入、顧客関係維持までを可能にするプラットフォームを構築することを、独自のDX技術により支援している。その際、クリエイターやインフルエンサーが単純にモノやサービスだけでなく、それらを利用することで得られる自己実現まで含めて提案できるよう、「マーケティング4.0」の支援も行っている。

2. 同社グループの成長戦略
先述したとおり、同社は各サービスのライフサイクルに合わせたゾーンマネジメントによる事業管理を行っている。収益獲得期のパフォーマンスゾーンでは、継続課金型のビジネスが大半を占めており、MVNO向け事業支援(MVNE)、集合住宅向けインターネットサービス、インターネット広告サービス等を展開し、売上高・ベース利益※ともに成長を継続している。このパフォーマンスゾーンで稼ぎ出した売上高・ベース利益の一部を、今後の成長戦略や5G/web3の本格化を見据え、戦略投資として投下している。

※ベース利益:ベース利益は一時的な投資を除いた事業利益数値で、未監査の参考数値。


(1) インターネット広告事業
インターネット広告領域においては、3rd Party Cookie廃止や1st Party Cookieを大量に保有する大手プラットフォーマーによる寡占化と寡占化の懸念による個人情報の取り扱いの厳格化、景品表示法の広告への適用強化といった昨今のインターネット広告市場の環境変化によるリスクの顕在化がある一方、生成AI等の新しいAIの登場で広告モデルが抜本的に変化するところにチャンスが出ると同社は考えている。このため同社グループでは、2022年4月にフルスピードを完全子会社化したうえで、アフィリエイターを活用したインフルエンサーマーケティングの拡大や出資先を含めたNFTプラットフォームなどweb3におけるさらなる提携強化など、フルスピード子会社のフォーイットの事業拡大を図った。また、マーケティング4.0に向けたDXサービスの集中、MaaS関連などインキュベーションゾーンへの技術リソースの統合、「StandAlone」の多面展開、専門組織化、事業の選択と集中によって、「ココロ∞テクノロジー」というフルスピードのビジョンをさらに深化した。

(2) 集合住宅向けインターネットサービス事業
マンションインターネット領域においては、今後の成長継続が期待できる一方、通信の高速・大容量化によるコスト上昇やセキュリティコスト上昇のほか、5Gの本格化に向け固定網の競合や衛星インターネットサービスの台頭に備えた準備が必要だと同社は考えている。これに対し、集合住宅向けインターネットサービス事業を行うギガプライズ単独ではなく、フリービットグループ一丸となって課題解決に取り組み、10GB化やマルチギガビットによる高速化、光回線方式の大型集合住宅への提供、機器導入など施工体制の強化、戸建て住宅へのISP提供(スマートシティ)などにより、集合住宅向けインターネットサービス事業の強化を図る。併せて、同社グループのショールームとして「LIVING TOWN みなとみらい」施設内で5G/web3環境を使った5G Homestyleの提案、「SiLK VISION 2027」に向けて集合住宅向けインターネットサービス以外の新規サービスの確立を進めている。

(3) TONE事業
B2C事業における成長を目指し、DTIは同社独自のMVNOサービスとして「トーンモバイル」を展開している。同サービスの大半は同社グループのコアコンポーネントサービスで構築されており、これを組み合わせてできているモバイル事業であるため、同社の1つのショールームとしての役割も果たしている。また、インキュベーション事業のテストベッドとして様々な実証実験を展開しており、トーンモバイルユーザーに対しユーザー協力型実証実験プロジェクト「TONE Labo」を行っている。なかでも「TONE Coin」は同社が2017年から開発を進めてきたレイヤ1ブロックチェーン「freebit web3 Blocks」を使った第1号案件であり、充電時にアプリを裏側で動かすだけでブロックチェーンネットワークが稼働しコインが貯まるサービスを提供しており、運用開始約1年でノード数において世界トップ4位規模に拡大した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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