アートネイチャ Research Memo(5):商品開発力、技術力、接客力に加え、ブランドや財務体質も強み
[24/02/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*16:35JST アートネイチャ Research Memo(5):商品開発力、技術力、接客力に加え、ブランドや財務体質も強み
■事業概要
3. アートネイチャー<7823>の強み
新規顧客を獲得する「反響営業」とリピートにつなげる「リピート営業」というビジネスを回すうえでの原動力となっているのが、同社の顧客ニーズを先取りする商品開発力、顧客を満足させる技術力、顧客の信頼を得る接客力という3つの強みである。50年以上にわたる高品質な物づくりの歴史で培われた商品開発力は、時代や顧客ニーズへの素早い対応や、生え際や分け目の工夫、細い毛と太い毛のランダムな植毛といった細部のこだわりにも現れ、これまでも「マープ」シリーズや「ヘア・フォーライフ」シリーズ、「フィーリン」シリーズなど画期的な商品の開発につなげてきた。また、同社で従事する約1,800名の理・美容資格取得者は、職種や階層に応じて様々な研修を受けている。これにより、自毛とウィッグをセットするスキルやノウハウ、商品提案につながるコミュニケーション能力やカウンセリング力といった接客力を身につけて毛髪のプロとなったスタイリストたちが、くつろぎと安らぎを感じる店舗で心を込めてサービスを提供することで、顧客の定着を推し進めている。
付け加えて言えば、50年以上ウィッグビジネスを続けてきた信頼と業界唯一の上場企業としての社会的信用、コンスタントに投入してきた広告などに裏付けられたブランド力も、大きな差別化要因になっていると思われる。また、同社の強みは財務体質にもあると考えられる。同社は、コロナ禍の影響が長く続いた2023年3月期でさえ、自己資本比率(53.5%)やフリーキャッシュフロー(黒字を継続)など財務数値が良好だったうえ、売上高営業利益率(8.3%)など収益性も高位で安定している。商品開発力、技術力、接客力だけでなく、こうしたブランド力や財務体質の面においても、ライバル企業との差を一層広げていく原動力になっているといえる。
植毛の自動化や店舗のハイブリッド化などが進化中
4. 進化するビジネスモデル
同社は最新技術・手法を積極的に採用してビジネスモデルを進化させ、収益力強化につなげている。例えば、顧客とのコンタクトから商品提供に至るプロセスをより効率化するため、2021年10月にコンタクトセンター電話受付に「AI自動応答システム」を導入した。各種カタログの請求や希望の相談・来店日時の予約、その他問い合わせの電話にAIが会話内容を自動認識して応対するサービスで、早朝や深夜などオペレーターが不在の時間帯や電話が混雑している時でも対応が可能となり、問い合わせ業務の効率化が進んでいる。また、頭部の型取りでは、2022年1月にタブレット(iPad)を使用して頭部形状を計測する「ポータブル3Dスキャナ」を業界で初めて導入、オーダーメイドウィッグを取り扱う全店舗、及び全国の百貨店などで開催される展示会や試着会での運用を開始した。これにより、訪問先や催事会場など場所を選ぶことなく、ウィッグをつける部位の3Dデータを簡便かつ正確に計測できるようになったほか、型取り作業の大幅な効率化や、大型3Dスキャナからの入れ替えによる店舗の省スペース化などのメリットもあった。現在も、頭部形状の計測機器にあたってはさらなる正確性を追求すべく、改良・開発を続けている。
さらに同社は、2024年にウィッグ製作への「ウィッグ自動植毛機」試行導入を計画している。現在は熟練の職人が1本1本丁寧に手作業で植毛し、髪色から毛流れまで自然な仕上がりを実現しているが、1枚の製作期間に40〜50日を要するうえ年間60,000枚以上生産するため、職人の確保と育成、災害などによる納期問題、カントリーリスクといった課題を抱えている。「ウィッグ自動植毛機」を導入すれば、こうした課題を解消するとともに、品質と供給の安定化も実現できると期待されている。また、同社は2022年9月、銀座にレディースの旗艦店「レディースアートネイチャー 銀座プラチナガーデン」をオープンした。1階が既製品ウィッグの販売スペースで、2階はオーダーメイドサロンやラウンジ・イベントスペースになっており、従来別々の店舗で販売していたオーダーメイドウィッグと既製品ウィッグを1つの店舗で販売している。このような「レディースアートネイチャー」と「ジュリア・オージェ」によるハイブリッド店舗では、髪に関する悩みや相談にきめ細かく対応できる「エグゼクティブカウンセラー」が常駐して最適なウィッグ選びをサポートするほか、髪などに関するセミナーやウィッグの試着・相談会を実施しており、非常に好評となっている。ハイブリッド店舗は大宮そごう、広島そごう、帝国ホテルなどでも展開しており、直近では2023年8月に日本橋三越にオープンした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>
■事業概要
3. アートネイチャー<7823>の強み
新規顧客を獲得する「反響営業」とリピートにつなげる「リピート営業」というビジネスを回すうえでの原動力となっているのが、同社の顧客ニーズを先取りする商品開発力、顧客を満足させる技術力、顧客の信頼を得る接客力という3つの強みである。50年以上にわたる高品質な物づくりの歴史で培われた商品開発力は、時代や顧客ニーズへの素早い対応や、生え際や分け目の工夫、細い毛と太い毛のランダムな植毛といった細部のこだわりにも現れ、これまでも「マープ」シリーズや「ヘア・フォーライフ」シリーズ、「フィーリン」シリーズなど画期的な商品の開発につなげてきた。また、同社で従事する約1,800名の理・美容資格取得者は、職種や階層に応じて様々な研修を受けている。これにより、自毛とウィッグをセットするスキルやノウハウ、商品提案につながるコミュニケーション能力やカウンセリング力といった接客力を身につけて毛髪のプロとなったスタイリストたちが、くつろぎと安らぎを感じる店舗で心を込めてサービスを提供することで、顧客の定着を推し進めている。
付け加えて言えば、50年以上ウィッグビジネスを続けてきた信頼と業界唯一の上場企業としての社会的信用、コンスタントに投入してきた広告などに裏付けられたブランド力も、大きな差別化要因になっていると思われる。また、同社の強みは財務体質にもあると考えられる。同社は、コロナ禍の影響が長く続いた2023年3月期でさえ、自己資本比率(53.5%)やフリーキャッシュフロー(黒字を継続)など財務数値が良好だったうえ、売上高営業利益率(8.3%)など収益性も高位で安定している。商品開発力、技術力、接客力だけでなく、こうしたブランド力や財務体質の面においても、ライバル企業との差を一層広げていく原動力になっているといえる。
植毛の自動化や店舗のハイブリッド化などが進化中
4. 進化するビジネスモデル
同社は最新技術・手法を積極的に採用してビジネスモデルを進化させ、収益力強化につなげている。例えば、顧客とのコンタクトから商品提供に至るプロセスをより効率化するため、2021年10月にコンタクトセンター電話受付に「AI自動応答システム」を導入した。各種カタログの請求や希望の相談・来店日時の予約、その他問い合わせの電話にAIが会話内容を自動認識して応対するサービスで、早朝や深夜などオペレーターが不在の時間帯や電話が混雑している時でも対応が可能となり、問い合わせ業務の効率化が進んでいる。また、頭部の型取りでは、2022年1月にタブレット(iPad)を使用して頭部形状を計測する「ポータブル3Dスキャナ」を業界で初めて導入、オーダーメイドウィッグを取り扱う全店舗、及び全国の百貨店などで開催される展示会や試着会での運用を開始した。これにより、訪問先や催事会場など場所を選ぶことなく、ウィッグをつける部位の3Dデータを簡便かつ正確に計測できるようになったほか、型取り作業の大幅な効率化や、大型3Dスキャナからの入れ替えによる店舗の省スペース化などのメリットもあった。現在も、頭部形状の計測機器にあたってはさらなる正確性を追求すべく、改良・開発を続けている。
さらに同社は、2024年にウィッグ製作への「ウィッグ自動植毛機」試行導入を計画している。現在は熟練の職人が1本1本丁寧に手作業で植毛し、髪色から毛流れまで自然な仕上がりを実現しているが、1枚の製作期間に40〜50日を要するうえ年間60,000枚以上生産するため、職人の確保と育成、災害などによる納期問題、カントリーリスクといった課題を抱えている。「ウィッグ自動植毛機」を導入すれば、こうした課題を解消するとともに、品質と供給の安定化も実現できると期待されている。また、同社は2022年9月、銀座にレディースの旗艦店「レディースアートネイチャー 銀座プラチナガーデン」をオープンした。1階が既製品ウィッグの販売スペースで、2階はオーダーメイドサロンやラウンジ・イベントスペースになっており、従来別々の店舗で販売していたオーダーメイドウィッグと既製品ウィッグを1つの店舗で販売している。このような「レディースアートネイチャー」と「ジュリア・オージェ」によるハイブリッド店舗では、髪に関する悩みや相談にきめ細かく対応できる「エグゼクティブカウンセラー」が常駐して最適なウィッグ選びをサポートするほか、髪などに関するセミナーやウィッグの試着・相談会を実施しており、非常に好評となっている。ハイブリッド店舗は大宮そごう、広島そごう、帝国ホテルなどでも展開しており、直近では2023年8月に日本橋三越にオープンした。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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