1stコーポ Research Memo(1):建築事業は順調に進捗し、さらに受注残高は過去最高を更新
[24/02/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:31JST 1stコーポ Research Memo(1):建築事業は順調に進捗し、さらに受注残高は過去最高を更新
■要約
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化した建設会社である。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。その後、2022年4月に東証の再編により東証プライム市場へ移行し、2023年10月には選択申請により東証スタンダード市場へ移行した。
「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。主要事業エリアをマーケットの将来性が高い首都圏(1都3県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、再開発事業、アクティブシニア向け分譲マンション事業に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の展開にも注力し、初の開発案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上るCANVAS南大沢を建設した。「ウェルビーイングシティ構想」とは、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちにとって終の住処になるような分譲マンションを開発していくというものである。将来的にはこのコンセプトに基づく街づくりも計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」という事業モデルである。この方式は開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い、事業主に提案し、特命で工事を受注して施工し引き渡すという事業モデルだ。主体的な企画提案ができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなるという特徴がある。そのため、事業運営の効率化と安定した利益確保を可能としている。
同社には、ゼネコンとして土地開発の専任部隊を有している強みがある。加えて、スピーディーな決裁プロセスが、競合他社に対する優位性を高めている。同社が主戦場としている首都圏は将来的にも市場開拓の余地が大きいことから、この「造注方式」によって、中長期的な成長が見込まれると弊社は考えている。近年は、ニーズが強い東京圏郊外に力点を置いた受注拡大を図っており、2024年5月期第2四半期には、新たに神奈川県相模原市緑区、東京都町田市などで分譲マンションを着工した。
2024年5月期第2四半期は、売上高が13,591百万円(前年同期※は10,177百万円)、営業利益が670百万円(同652百万円)となった。2023年5月期末から連結決算に移行しているため、単純比較はできないが、建築事業と不動産事業が売上高を押し上げた。建築事業に関しては、前期から続く施工中の案件に加えて、新たな案件が順調に着工した。さらに、建築資材価格の上昇などの影響もあり、完成工事高が堅調な推移を見せた。期中の受注に関しては、新たに5件を受注した。これにより、受注残高は過去最高に積み上がった。不動産事業に関しては、前年同期は実績がなかったが、2024年5月期第2四半期においては、神奈川県海老名市、東京都足立区などの不動産を売却した。利益に関しては、造注による特命工事案件の減少に加えて、建築資材価格が上昇したことなどが影響し、収益性がわずかに低下した。
※同社は、2020年11月に設立した子会社ファーストエボリューション(株)(分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の企画、販売代理並びに施設運営及び居住者への各種サービス提供を実施)を連結子会社とする連結決算を2023年5月期末より開始している。そのため前年同期の数値は参考値として記載した。
2024年5月期通期の見通しは、売上高が前期比27.6%増の32,600百万円、営業利益が同5.7%減の1,870百万円を見込んでおり、期初予想からの変更はない。建築事業に関しては、受注残高が過去最高に積み上がっており、期末に向けて受注残高が順次、完成工事高に振り替わり売上に貢献してくる見込みである。不動産事業に関しては、現在商談中の案件が複数あり、期末に向けて売却交渉に注力していく。また、共同事業に関しても期末に向けて複数案件の竣工・引き渡しを予定しており、売上と利益がともに積み上がっていく。利益面に関しては建築資材価格の高止まりなどの影響を受けるほか、造注比率の低下も減益要因になると見込んでいる。中長期的には事業用地の確保に注力して造注比率を上昇させることで、利益率を高める方針だ。
また、同社の新マンションブランド1号案件である「CANVAS南大沢」は2022年4月に分譲を開始して以来、堅調な販売を継続している。販売価格にサービス利用料が加算される高価格帯物件であるにもかかわらず販売が堅調に推移していることは、同社の「ウェルビーイングシティ構想」に対して顧客の支持が高いことの証左と言える。
■Key Points
・マンション建設特化型のゼネコンであり、造注方式が強み
・2024年5月期第2四半期も建築事業が好調で、受注残高は過去最高を更新
・2024年5月期通期は増収予想も、建築資材価格の高止まりなどにより減益を見込む
・分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の分譲は堅調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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■要約
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化した建設会社である。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。その後、2022年4月に東証の再編により東証プライム市場へ移行し、2023年10月には選択申請により東証スタンダード市場へ移行した。
「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是とし、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。主要事業エリアをマーケットの将来性が高い首都圏(1都3県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、再開発事業、アクティブシニア向け分譲マンション事業に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の展開にも注力し、初の開発案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上るCANVAS南大沢を建設した。「ウェルビーイングシティ構想」とは、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちにとって終の住処になるような分譲マンションを開発していくというものである。将来的にはこのコンセプトに基づく街づくりも計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」という事業モデルである。この方式は開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い、事業主に提案し、特命で工事を受注して施工し引き渡すという事業モデルだ。主体的な企画提案ができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなるという特徴がある。そのため、事業運営の効率化と安定した利益確保を可能としている。
同社には、ゼネコンとして土地開発の専任部隊を有している強みがある。加えて、スピーディーな決裁プロセスが、競合他社に対する優位性を高めている。同社が主戦場としている首都圏は将来的にも市場開拓の余地が大きいことから、この「造注方式」によって、中長期的な成長が見込まれると弊社は考えている。近年は、ニーズが強い東京圏郊外に力点を置いた受注拡大を図っており、2024年5月期第2四半期には、新たに神奈川県相模原市緑区、東京都町田市などで分譲マンションを着工した。
2024年5月期第2四半期は、売上高が13,591百万円(前年同期※は10,177百万円)、営業利益が670百万円(同652百万円)となった。2023年5月期末から連結決算に移行しているため、単純比較はできないが、建築事業と不動産事業が売上高を押し上げた。建築事業に関しては、前期から続く施工中の案件に加えて、新たな案件が順調に着工した。さらに、建築資材価格の上昇などの影響もあり、完成工事高が堅調な推移を見せた。期中の受注に関しては、新たに5件を受注した。これにより、受注残高は過去最高に積み上がった。不動産事業に関しては、前年同期は実績がなかったが、2024年5月期第2四半期においては、神奈川県海老名市、東京都足立区などの不動産を売却した。利益に関しては、造注による特命工事案件の減少に加えて、建築資材価格が上昇したことなどが影響し、収益性がわずかに低下した。
※同社は、2020年11月に設立した子会社ファーストエボリューション(株)(分譲マンションブランド「CANVAS(キャンバス)」の企画、販売代理並びに施設運営及び居住者への各種サービス提供を実施)を連結子会社とする連結決算を2023年5月期末より開始している。そのため前年同期の数値は参考値として記載した。
2024年5月期通期の見通しは、売上高が前期比27.6%増の32,600百万円、営業利益が同5.7%減の1,870百万円を見込んでおり、期初予想からの変更はない。建築事業に関しては、受注残高が過去最高に積み上がっており、期末に向けて受注残高が順次、完成工事高に振り替わり売上に貢献してくる見込みである。不動産事業に関しては、現在商談中の案件が複数あり、期末に向けて売却交渉に注力していく。また、共同事業に関しても期末に向けて複数案件の竣工・引き渡しを予定しており、売上と利益がともに積み上がっていく。利益面に関しては建築資材価格の高止まりなどの影響を受けるほか、造注比率の低下も減益要因になると見込んでいる。中長期的には事業用地の確保に注力して造注比率を上昇させることで、利益率を高める方針だ。
また、同社の新マンションブランド1号案件である「CANVAS南大沢」は2022年4月に分譲を開始して以来、堅調な販売を継続している。販売価格にサービス利用料が加算される高価格帯物件であるにもかかわらず販売が堅調に推移していることは、同社の「ウェルビーイングシティ構想」に対して顧客の支持が高いことの証左と言える。
■Key Points
・マンション建設特化型のゼネコンであり、造注方式が強み
・2024年5月期第2四半期も建築事業が好調で、受注残高は過去最高を更新
・2024年5月期通期は増収予想も、建築資材価格の高止まりなどにより減益を見込む
・分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の分譲は堅調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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