富士ソフト Research Memo(5):2023年12月期は増収増益
[24/03/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:15JST 富士ソフト Research Memo(5):2023年12月期は増収増益
■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期連結業績は、売上高で前期比7.2%増の298,855百万円、営業利益で同13.2%増の20,684百万円、経常利益で同2.4%増の19,675百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.1%増の11,849百万円と、増収増益となった。売上高は主力のシステム構築分野において、業務系ソフトウェアの開発案件、特に製造業・金融業を中心にインフラ構築・基幹系開発案件等が好調であったことに加え、組込/制御系ソフトウェアの半導体製造装置関連やデジタル家電機器関連、自動車関連におけるEV・先進分野が好調に推移した。アウトソーシング分野は前期比で減収となったものの、プロダクト・サービスは他社ライセンス販売、自社プロダクトともに堅調に推移し、全体での増収に寄与した。
営業利益は、増収及び業務系ソフトウェアの生産性改善により増益を確保した。経常利益は上場子会社4社の株式公開買付けに係るアドバイザリー費用等の影響で前期比微増に留まったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券や固定資産の売却により増益となった。また、富士ソフト<9749>は従来より最重要KPIとして「一人当たり営業利益額」を設定しており、2023年12月期は1.56百万円(前期は1.33百万円)となった。販売費及び一般管理費は、従業員の処遇改善や体制強化に伴う人件費の増加、AI等の新技術に関する調査研究費の増加により前期比885百万円増加したものの、システム構築分野での増収や生産性向上による原価率改善などがそれをカバーした。特に生産性向上による効果が大きかったと同社では評価している。
2. 事業セグメント別の動向
(1) SI事業
a)システム構築
1) 組込系/制御系ソフトウェア
売上高は前期比5.5%増の78,553百万円、営業利益は同12.1%増の6,695百万円となった。モバイル系及び社会インフラ系は減少したものの、自動車関連でEV・先進分野、機械制御系で産業分野向け開発案件が好調に推移した。特に自動車関連では、今後「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」※分野での投資拡大が見込まれることから、積極的な受注が成果に結び付いたと同社では評価している。
※ 自動車に関する制御をソフトウェアで行い、さらにソフトウェアを更新することによって機能や性能を高めることが可能な自動車。
2) 業務系ソフトウェア
売上高は前期比14.5%増の103,174百万円、営業利益は同30.2%増の6,710百万円となった。製造業・金融業を中心に各分野向けのインフラ構築・基幹系開発案件等が好調に推移した。同社は、クラウド環境の豊富な構築経験を基に、クラウド化に対するセキュリティやリスク管理で高度な技術力や安全をサポートする多様なセキュリティソリューションを有している。この経験と培ったセキュリティソリューションを活かして、クラウド化に慎重な公共機関や金融サービス企業に対しても積極的な営業活動を展開し、ビジネス拡大を図ったことが増収に寄与した。また増益の要因としては、製造業や金融業をはじめとする企業でのDX化が背景にある。デジタル技術の導入やDX化による顧客サービスの向上等を目的とし、企業の投資意欲が引き続き旺盛であり、これらに強みを持つ同社にとっては業績拡大の好機となっている。そのようななか、同社は特に生産性の向上に取り組み、原価率の改善を目指している。従来より顧客提供価値の向上や直接取引の拡大に取り組んでおりその成果が表れてきていると考えられる。
b) プロダクト・サービス
1) プロダクト・サービス
売上高は前期比3.2%増の86,546百万円、営業利益は同4.1%増の4,806百万円となった。他社ライセンス販売及び子会社におけるPOS関連の自社プロダクト販売が堅調に推移した。このうち、他社ライセンス販売は、グローバルベンダーと連携したライセンスビジネス等で、販売が好調に推移した。
2) アウトソーシング
海外小売業向けITサービスの減少により、売上高は前期比3.5%減の14,144百万円となった。営業利益は、減収に加え、データセンターにおける電力価格高騰の影響等により、同32.7%減の691百万円となった。
(3) ファシリティ事業
売上高は前期比9.5%増の2,906百万円、営業利益は、同23.9%増の1,010百万円となった。テナントが増加したこと等を主因に、増収増益となった。
(4) その他
売上高は前期比4.2%増の13,530百万円、営業利益は同12.6%増の768百万円と、増収増益となった。コールセンターサービス及びBPOサービスともに2022年12月期に開始した年金関連業務が大きく寄与したことにより、増収増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
<SO>
■業績動向
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期連結業績は、売上高で前期比7.2%増の298,855百万円、営業利益で同13.2%増の20,684百万円、経常利益で同2.4%増の19,675百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.1%増の11,849百万円と、増収増益となった。売上高は主力のシステム構築分野において、業務系ソフトウェアの開発案件、特に製造業・金融業を中心にインフラ構築・基幹系開発案件等が好調であったことに加え、組込/制御系ソフトウェアの半導体製造装置関連やデジタル家電機器関連、自動車関連におけるEV・先進分野が好調に推移した。アウトソーシング分野は前期比で減収となったものの、プロダクト・サービスは他社ライセンス販売、自社プロダクトともに堅調に推移し、全体での増収に寄与した。
営業利益は、増収及び業務系ソフトウェアの生産性改善により増益を確保した。経常利益は上場子会社4社の株式公開買付けに係るアドバイザリー費用等の影響で前期比微増に留まったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券や固定資産の売却により増益となった。また、富士ソフト<9749>は従来より最重要KPIとして「一人当たり営業利益額」を設定しており、2023年12月期は1.56百万円(前期は1.33百万円)となった。販売費及び一般管理費は、従業員の処遇改善や体制強化に伴う人件費の増加、AI等の新技術に関する調査研究費の増加により前期比885百万円増加したものの、システム構築分野での増収や生産性向上による原価率改善などがそれをカバーした。特に生産性向上による効果が大きかったと同社では評価している。
2. 事業セグメント別の動向
(1) SI事業
a)システム構築
1) 組込系/制御系ソフトウェア
売上高は前期比5.5%増の78,553百万円、営業利益は同12.1%増の6,695百万円となった。モバイル系及び社会インフラ系は減少したものの、自動車関連でEV・先進分野、機械制御系で産業分野向け開発案件が好調に推移した。特に自動車関連では、今後「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」※分野での投資拡大が見込まれることから、積極的な受注が成果に結び付いたと同社では評価している。
※ 自動車に関する制御をソフトウェアで行い、さらにソフトウェアを更新することによって機能や性能を高めることが可能な自動車。
2) 業務系ソフトウェア
売上高は前期比14.5%増の103,174百万円、営業利益は同30.2%増の6,710百万円となった。製造業・金融業を中心に各分野向けのインフラ構築・基幹系開発案件等が好調に推移した。同社は、クラウド環境の豊富な構築経験を基に、クラウド化に対するセキュリティやリスク管理で高度な技術力や安全をサポートする多様なセキュリティソリューションを有している。この経験と培ったセキュリティソリューションを活かして、クラウド化に慎重な公共機関や金融サービス企業に対しても積極的な営業活動を展開し、ビジネス拡大を図ったことが増収に寄与した。また増益の要因としては、製造業や金融業をはじめとする企業でのDX化が背景にある。デジタル技術の導入やDX化による顧客サービスの向上等を目的とし、企業の投資意欲が引き続き旺盛であり、これらに強みを持つ同社にとっては業績拡大の好機となっている。そのようななか、同社は特に生産性の向上に取り組み、原価率の改善を目指している。従来より顧客提供価値の向上や直接取引の拡大に取り組んでおりその成果が表れてきていると考えられる。
b) プロダクト・サービス
1) プロダクト・サービス
売上高は前期比3.2%増の86,546百万円、営業利益は同4.1%増の4,806百万円となった。他社ライセンス販売及び子会社におけるPOS関連の自社プロダクト販売が堅調に推移した。このうち、他社ライセンス販売は、グローバルベンダーと連携したライセンスビジネス等で、販売が好調に推移した。
2) アウトソーシング
海外小売業向けITサービスの減少により、売上高は前期比3.5%減の14,144百万円となった。営業利益は、減収に加え、データセンターにおける電力価格高騰の影響等により、同32.7%減の691百万円となった。
(3) ファシリティ事業
売上高は前期比9.5%増の2,906百万円、営業利益は、同23.9%増の1,010百万円となった。テナントが増加したこと等を主因に、増収増益となった。
(4) その他
売上高は前期比4.2%増の13,530百万円、営業利益は同12.6%増の768百万円と、増収増益となった。コールセンターサービス及びBPOサービスともに2022年12月期に開始した年金関連業務が大きく寄与したことにより、増収増益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)
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