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ホットリンク Research Memo(6):各事業の売上高は過去最高を更新し、営業利益も計画比で大幅に上振れ(2)

注目トピックス 日本株
*16:06JST ホットリンク Research Memo(6):各事業の売上高は過去最高を更新し、営業利益も計画比で大幅に上振れ(2)
■ホットリンク<3680>の業績動向

(2) DaaS事業
売上高は前期比17.9%増の2,555百万円と過去最高売上を更新した。企業のデータに対する底堅い需要が続いており売上高・営業利益共に計画上振れ、既存顧客のアップセルや新規獲得に加えて、円安ドル高による為替の影響も売上に寄与した。一方、SNS企業の方針変更とSaaS業界の再編に伴うリスクに備えた施策も推進した。

ソーシャルリスニング市場の成長が停滞する一方、デジタルリスク市場からの需要が着実に成長しており、生成AI市場からの需要の取り込みも模索している。生成AIの作成や継続的な改善には大量のデータ収集が不可欠であり、データの収集には特定のメディアやサービスに限定してデータを収集する方法や、インターネット上で広く公開されているデータをクローリングする方法が挙げられる。特に、業界特有の情報などは特定企業がクローズドで保有しているケースもあり、データ提供元を増やし同社自身もデータをクローリングし蓄積していくことで、新たなデータ提供サービスが生まれる可能性もあると弊社では見ている。

同事業は米ドルで収益計上しているため、急激な円安も売上増加の一因である。期初想定レート130.00円から、第4四半期には147.86円と大幅に円安が進行した。為替影響を除いた米ドルベースにおいても着実に成長しており、同社の米国子会社であるEffyisでは引き続き、世界中のソーシャルビッグデータを保有するメディアとの間で良好な関係を維持し、安定したデータ提供や新規メディアからのデータアクセス権取得契約の獲得に注力する。

(3) Web3関連事業
業界リサーチを主な目的とした、パイロット・ファンド(プロジェクト)として運用しているため売上高は発生していない。Web3関連市場のボラティリティの高まりを好機と捉え、2023年12月期はNonagon Capitalを通じて7社、累計10社への投資が行われた。クロスバウンド事業の一部売却によりキャッシュを確保し、今後の高成長が期待されるWeb3領域への投資を加速していく。また、2023年12月には博報堂キースリーとの協業を公表、日米企業の海外進出支援事業を開始した。なおWeb3関連事業で行われている投資は、ブロックチェーン・スタートアップ企業を対象とした海外投資ファンドへのLP出資である。出資先ファンドが投資前のアセットを仮想通貨で保有している場合、同社の経営成績・財務状況に限定的ではあるものの影響を及ぼす可能性がある。しかし、短期的な目線ではなく、国内外の動向を綿密に調査したうえで中長期的な投資を行っているため、出資額に対して着実に資産は増加しており、ボラティリティに対して攻めと安定の両立を図る事業展開をしていることからも、大きな懸念はないものと弊社では見ている。

3. 財務状況と経営指標
2023年12月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比19百万円増加の8,490百万円となった。流動資産は、前期末比68百万円減少の4,240百万円となった。主な変動要因を見ると、営業債権及びその他の債権が296百万円増加、その他の流動資産が18百万円増加した一方で、現金及び現金同等物が101百万円減少、未収法人所得税が283百万円減少した。非流動資産は、前期末比87百万円増加の4,250百万円となった。主な変動要因を見ると、その他の金融資産が231百万円減少、使用権資産が76百万円減少した。一方、事業譲受に伴いのれんが317百万円増加、その他の無形資産が71百万円増加した。なお、Web3関連事業における海外投資ファンドを通じた投資分は、非流動資産に含まれている。

負債合計は前期末比170百万円減少の2,353百万円となった。流動負債は、前期末比126百万円増加の1,019百万円となった。主な変動要因を見ると、借入金が25百万円増加、営業債務及びその他の債務が86百万円増加、リース負債が11百万円増加、未払法人所得税が39百万円増加した一方で、その他の流動負債が35百万円減少した。非流動負債は、前期末比297百万円減少の1,333百万円となった。主な変動要因は、借入金が132百万円減少、リース負債が74百万円減少、繰延税金負債が96百万円減少、その他の非流動負債が7百万円減少した。

資本合計は、前期末比189百万円増加の6,137百万円となった。主な変動要因を見ると、利益剰余金が226百万円増加した一方で、海外子会社の財務諸表の為替換算調整等によるその他の資本の構成要素が59百万円減少した。

経営の安全性を示す親会社所有者帰属持分比率は前期末の70.2%から72.3%へと上昇し、改善が見られた。有利子負債比率は14.8%から12.6%へと下降し、クロスバウンド事業の売却による増益を背景に資本合計が大幅に増加したため、財務体質はより強固となった。良好な財務体質を基盤にM&Aや新規事業立ち上げについても引き続き検討している。収益性が向上するなかで利益の積み上げが今後期待できるため、当面の財務的懸念は少ないと弊社は考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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