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売れるネット広告 Research Memo(8):下期以降は既存事業の回復にM&Aなどの効果も

注目トピックス 日本株
*13:28JST 売れるネット広告 Research Memo(8):下期以降は既存事業の回復にM&Aなどの効果も
■業績動向

3. 2024年7月期業績見通し
売れるネット広告社<9235>は単体の2024年7月期業績見通しについて、売上高800百万円(増減率※16.5%減)、営業損失9百万円(前期は151百万円の営業利益)、経常損失15百万円(前期は166百万円の経常利益)、当期純損失15百万円(前期は113百万円の当期純利益)を見込んでおり、2023年10月に発表した当初予想よりも売上高で251百万円、営業利益で259百万円、経常利益で260百万円、当期純利益で167百万円の下方修正となっている。一方、新たに連結の業績見通しを、売上高1,150百万円(前期比19.9%増)、営業利益45百万円(同70.2%減)、経常利益12百万円(同92.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10百万円(同91.2%減)と見込んだ。新たに連結の業績見通しを行った理由は、2024年2月にWeb特化型広告代理/運用代行の(株)グルプスと、化粧品などのネット直販を行う(株)オルリンクス製薬の2社をM&A、D2C特化型M&A仲介事業を行う(株)売れるD2C業界M&A社と、越境ECを支援する(株)売れる越境EC社の2子会社を新設したことにより、第3四半期から連結決算に移行したためである。

※増減率については、単体、連結とも2023年7月期単体業績との比較とした。


当初単体で予定していた通期業績見通しは、「不正注文」対策の影響を主因とする第2四半期業績の低迷により下方修正となった。2024 年7月期下期についても、「不正注文」対策の影響が若干残る想定になっていること、売上原価及び販管費を当初予定どおり使用する方針であることから、やや厳しい見方となっている。しかし、グルプスへの運用広告委託による内製化に伴うマーケティング支援サービスの売上高拡大や、大規模有料セミナーの開催、「不正注文」対策の影響が若干残るとはいえコンバージョン率が改善していることを考慮すると、相当程度保守的な見通しと言えよう。

下期以降は、このような既存事業(単体)の回復に加え、M&Aや新規事業も併用した「投資による成長」を目指す。M&Aは既に、上場後5ヶ月でM&Aの提案が48件、進行中が12件、最終合意が2件という実績に加え、通期の目標として提案100件、進行25件、最終合意プラスオンを見込んでいる。また、2024年1月以降、2子会社を設立したほか、ライブコマースやSNSなどを利用したインフルエンサーマーケティング支援事業、顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上を目指すCRM事業、モール領域への事業拡大を目指したAmazonコンサルティング事業及びAmazon広告運用事業といった新規事業を開始。アメリカにおいて駐在員事務所開設に向けた準備も進めている。さらに、生成AIを用いた「AIライティング機能」を「売れるD2Cつくーる」に実装するための検証や、暗号資産ポイント還元プラットフォームを運営するSocialGood(株)への出資も行った。

この結果、通期の連結業績見通しは、単体の業績見通しにM&A子会社や新規事業子会社の業績がオンする形となった。連結売上高に関しては、グルプス(前期売上実績452 百万円)、オルリンクス製薬(前期売上実績340 百万円)、売れるD2C業界M&A社、売れる越境EC社の4社の売上高が加わり、前期比減収の見込みとなった単体売上高に3.5億円の売上高がオンすることになった。連結営業利益に関しても、グルプス(前期営業損益実績14百万円の損失)、オルリンクス製薬(前期営業利益実績34 百万円)、売れるD2C業界M&A社、売れる越境EC社の4社の営業利益54百万円が加わって単体の営業損失をカバー、黒字を確保する見込みとなった。ただし、連結経常利益については、第2四半期に計上した上場関連費用に加え、予算未設定であったM&Aによる株式取得関連費用が発生するため、黒字を確保する予定になったものの、連単営業利益の改善には及ばなかった。

なお、2025年7月期業績については、既存事業で当初は「不正注文」対策の影響が若干残るものの、その後はA/Bテストを着実に実行することで、もとの成長トレンドへの回帰が予想される。そのうえ、2024年7月期下期に加わった子会社や新規事業の収益貢献が継続するため、連結営業利益の増益率が高まる見込みで、業績本格回復〜新たな成長期入りが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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