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アップル Research Memo(3):中古車輸出事業と中古車買取販売事業の2本柱を展開(2)

注目トピックス 日本株
*16:03JST アップル Research Memo(3):中古車輸出事業と中古車買取販売事業の2本柱を展開(2)
■アップルインターナショナル<2788>の会社概要及び事業内容

3. 事業内容
同社グループは、本体での中古車輸出事業及び連結子会社での中古車買取販売事業のフランチャイズチェーン本部の2本柱で事業を展開しており、自動車販売関連事業の単一セグメントとなる。本体の中古車輸出事業は単体決算で、これに中古車買取販売事業のフランチャイズチェーン本部であるアップルオートネットワークと、中古車の買取及び販売を行うカーコンサルタントメイプルを加えたものが連結決算となる。タイで自動車オークション会場運営を行うApple Auto Auction (Thailand)の業績は、営業外収益に持分法による投資損益として計上される。

(1) 中古車輸出事業
中古車輸出事業は輸出先の経済状況、税制改正及び排ガス規制、為替レートの変動、モデルチェンジの時期などが販売に影響を及ぼすことから、業績の変動が大きい。主力販売先のタイでは、過去に自動車税増税に伴う駆け込み需要の発生と反動減、前国王の崩御、新国王の戴冠式などの国家イベントの影響を受けており、2020年12月期以降は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う行動制限の影響を受けている。外国人の入国制限により観光業が打撃を受け、タイの実質GDP成長率は2020年にマイナス6.2%と大きく落ち込み、2021年に1.5%のプラスに転じ、2022年に2.6%となった。国際通貨基金(IMF)は2023年の成長率を2.5%、2024年を4.4%と予測している。

(2) 中古車買取販売事業
中古車買取販売事業では、連結子会社のアップルオートネットワークがフランチャイズチェーン本部を、グループ会社が加盟店として買取店舗「アップル」直営店を運営している。2024年2月時点の256店舗の地域別内訳は、北海道・東北が9.8%、関東が36.3%、甲信越・北陸が6.6%、東海が32.8%、近畿が5.9%、中国・四国が3.5%、九州・沖縄が5.1%であった。今後は手薄な地域のネットワークを強化する。なお、これまでは同業者が加盟することが多かったが、最近では同業者以外の自動車関連事業者からの問い合わせも増えているようだ。

(3) タイのオートオークション事業(持分法適用関連会社)
持分法適用会社のApple Auto Auction (Thailand)は、タイでオートオークション会場を運営している。出品料、落札料、成約料を徴収するフィービジネスであるため、安定的に高収益を上げている。今後は成長分野で自社の強みが生かせるオートオークション事業の海外展開にも注力する。

Apple Auto Auction (Thailand)は2022年9月に、バンコクの基幹オークション会場を移転するとともに、地方のサテライト会場を新たに5ヶ所開設して26ヶ所にした。基幹オークション会場は敷地面積を15,000坪から25,000坪に拡大したことで、3万台の搬入が可能になった。普通車用に4レーン、データ連携されたサテライト会場とのコネクト用に1レーンを設けた。一度に車5台とバイクを競りに掛けることが可能だ。コンピュータのキャパシティでは20台まで対応できる。タイ全土の26サテライト会場とデータ連係をし、コンダクター(せり人)ルームを基幹会場に集中し、サービスのムラを排除した。インターネットを活用した競りシステムは、コロナ禍中において成約率の維持に貢献した。同業他社と比べると、拠点数が多い企業はIT化が進んでおらず、IT化している企業は拠点が少ない傾向にあり、Apple Auto Auction (Thailand)は両方の機能を併せ持つ点で優位性が高い。

同社グループ企業のタイにおける中古車オートオークション事業では、不透明な中古車の品質を数値化し、安心して競りに参加できる環境を提供する「日本式インスペクション基準」を導入し、業界トップの地位を築いている。タブレット端末を利用した査定登録システムの開発により、1台当たりの登録時間を大幅に短縮しただけでなく、オークション参加者は専用アプリを用いたスマートフォンやパソコン、タブレット画面で検索、入札、落札までワンストップで行えるため、省人化、効率化、利用者の便利性に優れている。オートオークション事業のIT化では、日本のシステムを凌駕するレベルに発達している。競りの参加は会場よりもインターネット経由が主流となり、落札の8割を占めるまでに至った。さらに、画像AI技術を導入、実証中であり、人工知能(AI)に、月3万台のオークションデータベースを学習させている。本格導入となればデータ登録の時間短縮、人的リソースの極小化、個人のノウハウに依存しない査定品質が実現できる。速い変化にも対応できるよう、システム開発はタイで行っている。

タイにおけるEVの普及が日本より早いことから、同社グループはEV中古車の評価査定業務に係わる知見を先行して得られるため、PHEVやEVのバッテリー再生事業に関してもビジネスチャンスをうかがう意向だ。

タイで提供を開始したワンストップサービス「APPLE SERVICE PLUS」は、買取・販売・整備を同社グループが、ファイナンスと保険を銀行系のパートナー企業が担うことで、収益リソースの多様化と安定化を図る。将来は、タイで構築したシステムと実績をもとに、日本及びアジア各国への展開を検討している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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