三機工業 Research Memo(1):2024年3月期は受注残を順調に消化し、営業利益は前期比114.2%増
[24/06/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:21JST 三機工業 Research Memo(1):2024年3月期は受注残を順調に消化し、営業利益は前期比114.2%増
■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力と信用力である。
1. 2024年3月期:受注残を順調に消化し営業利益は前期比114.2%増。次期繰越高も高水準
2024年3月期の業績は、売上高が221,920百万円(前期比16.3%増)、営業利益が11,586百万円(同114.2%増)、経常利益が12,750百万円(同104.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が8,951百万円(同88.4%増)となった。前期の売上高が一部工事の工程見直し等により低水準であったことに加え、手持ち工事を順調に消化したことから売上高は大幅増となった。売上総利益率は、利益率改善に向けた内部努力に加えて好採算工事が進捗したことで15.6%(前期14.2%)と大きく改善した。一方で販管費は、ほぼ予算どおりの6.7%増に留まったことから営業利益は前期比で大幅増となった。受注高も232,396百万円(前期比1.7%増)と堅調であり、期末の次期繰越高は198,902百万円(同5.6%増)と高水準を維持した。
2. 2025年3月期の業績見通し:営業利益は前期比7.9%増を見込む
2025年3月期については、受注高が210,000百万円(前期比9.6%減)、次期繰越高が183,902百万円(前期末比7.5%減)、売上高が225,000百万円(前期比1.4%増)、営業利益が12,500百万円(同7.9%増)、経常利益が13,000百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が8,800百万円(同1.7%減)と予想している。売上総利益率は15.8%(同0.2ポイント上昇)の見込みで、販管費は同0.2%減を予想している。同社は、「予想売上高の約70%は現在の手持ち工事で計上できる見込み」と述べていることから、この予想が達成される可能性は高く、今後の期中受注や工事の進捗状況によっては上方修正の可能性もあると弊社では見ている。
3. 中期経営計画“Century 2025”Phase3は順調に進捗
同社は2016年3月に、創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)は、ステークホルダーからもっと「選ばれる」会社と定めている。定量目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としており、現時点でこの目標は変えていないが、2024年3月期で目標をほぼ達成しつつあることから、同社は「計画の見直しを検討中」と述べた。重要なことは、施工品質・生産性の向上、働き方改革、成長投資など目に見えないところで同社が質的にもどのように変わっていくかだと弊社は考えている。今後の同社のさらなる「質的な変化」に注目したい。
4. 株主還元にも前向きで2025年3月期の配当性向は51.3%を予定
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施してきた。年間配当については、2023年3月期75円(特別配当5.0円含む)、2024年3月期85.0円(同15.0円含む)を行った。自己株式取得では、2022年3月期に1,000千株を取得したことに続き、2023年3月期に1,500千株、2024年3月期に1,420千株を取得した。この結果、過去10年間(2015年3月期から2024年3月期まで)の総還元性向(加重平均)は79.4%に達している。進行中の2025年3月期は、普通配当で85.0円(予想配当性向51.3%)を予定している。今後の自己株式取得については、中期経営計画に基づいて今後2年間で208万株を取得する予定だ。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実施中
・2024年3月期の営業利益は前期比114.2%増、2025年3月期も同7.9%増益を目指す
・株主還元に前向きで2025年3月期は85円配当(配当性向51.3%)を予定。自社株買いにも前向き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力と信用力である。
1. 2024年3月期:受注残を順調に消化し営業利益は前期比114.2%増。次期繰越高も高水準
2024年3月期の業績は、売上高が221,920百万円(前期比16.3%増)、営業利益が11,586百万円(同114.2%増)、経常利益が12,750百万円(同104.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が8,951百万円(同88.4%増)となった。前期の売上高が一部工事の工程見直し等により低水準であったことに加え、手持ち工事を順調に消化したことから売上高は大幅増となった。売上総利益率は、利益率改善に向けた内部努力に加えて好採算工事が進捗したことで15.6%(前期14.2%)と大きく改善した。一方で販管費は、ほぼ予算どおりの6.7%増に留まったことから営業利益は前期比で大幅増となった。受注高も232,396百万円(前期比1.7%増)と堅調であり、期末の次期繰越高は198,902百万円(同5.6%増)と高水準を維持した。
2. 2025年3月期の業績見通し:営業利益は前期比7.9%増を見込む
2025年3月期については、受注高が210,000百万円(前期比9.6%減)、次期繰越高が183,902百万円(前期末比7.5%減)、売上高が225,000百万円(前期比1.4%増)、営業利益が12,500百万円(同7.9%増)、経常利益が13,000百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が8,800百万円(同1.7%減)と予想している。売上総利益率は15.8%(同0.2ポイント上昇)の見込みで、販管費は同0.2%減を予想している。同社は、「予想売上高の約70%は現在の手持ち工事で計上できる見込み」と述べていることから、この予想が達成される可能性は高く、今後の期中受注や工事の進捗状況によっては上方修正の可能性もあると弊社では見ている。
3. 中期経営計画“Century 2025”Phase3は順調に進捗
同社は2016年3月に、創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)は、ステークホルダーからもっと「選ばれる」会社と定めている。定量目標は、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としており、現時点でこの目標は変えていないが、2024年3月期で目標をほぼ達成しつつあることから、同社は「計画の見直しを検討中」と述べた。重要なことは、施工品質・生産性の向上、働き方改革、成長投資など目に見えないところで同社が質的にもどのように変わっていくかだと弊社は考えている。今後の同社のさらなる「質的な変化」に注目したい。
4. 株主還元にも前向きで2025年3月期の配当性向は51.3%を予定
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施してきた。年間配当については、2023年3月期75円(特別配当5.0円含む)、2024年3月期85.0円(同15.0円含む)を行った。自己株式取得では、2022年3月期に1,000千株を取得したことに続き、2023年3月期に1,500千株、2024年3月期に1,420千株を取得した。この結果、過去10年間(2015年3月期から2024年3月期まで)の総還元性向(加重平均)は79.4%に達している。進行中の2025年3月期は、普通配当で85.0円(予想配当性向51.3%)を予定している。今後の自己株式取得については、中期経営計画に基づいて今後2年間で208万株を取得する予定だ。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実施中
・2024年3月期の営業利益は前期比114.2%増、2025年3月期も同7.9%増益を目指す
・株主還元に前向きで2025年3月期は85円配当(配当性向51.3%)を予定。自社株買いにも前向き
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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