ユニリタ Research Memo(2):顧客のデジタル変革を支援(1)
[24/06/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:42JST ユニリタ Research Memo(2):顧客のデジタル変革を支援(1)
■会社概要
1. 事業概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポート並びにそれらの事業に関わるコンサルティングやアウトソーシングサービスを手掛けている。
創業以来、金融機関や大手企業を中心としたメインフレーム向けの製品が安定収益源となっており、高い収益性を誇っている。また、過去においては、顧客のジョブ管理や帳票管理など、ITシステム運用の自動化、効率化に貢献することで同社の業績も着実な成長を遂げてきた。
システムのオープン化やダウンサイジング化の進展、クラウドの普及、ビッグデータの活用など外部環境の変化を受けて、それまでのITシステム運用の自動化、効率化に貢献する分野(生産性向上など)に加えて、顧客の企業価値向上に直接貢献する分野(市場拡大や競争力の向上など)へと事業領域を拡充する方向にある。特に、企業の情報システム部門だけでなく事業部門における各サービスの提供モデルにもデジタル変革(以下、DX)の流れが加速しており、ITの「攻め」と「守り」の両面において、顧客のDXニーズに対応するための事業体制の確立が同社の強みとなっている。最近では、同社自身のビジネスモデルのサービス化(クラウド活用により自社サービスを提供する継続課金型の収益モデルへの移行)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)ビジネスなどにも取り組んでいる。
事業セグメントは、「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の3つに区分される。創業以来の主力である「プロダクトサービス」の売上高構成比は約39%であるが、営業利益率が高いため収益源となっている。今後は、成長分野である「クラウドサービス」を大きく伸ばす戦略である。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) プロダクトサービス
システム運用領域に関わるプロダクト(自動化、帳票等)をオンプレミス型※1並びにサービス型で提供している。また、創業以来の主力事業であり、金融機関や生損保、大手製造業を中心としたメインフレーム向け製品(基幹業務システムの運用管理)の販売・サポートが含まれるほか、協業先であるアイネット<9600>※2のクラウド基盤上で、サーバの運用管理やセキュリティ対策、障害発生時の対応まで幅広くサポートするクラウド運用事業も展開している※3。主力製品には、ジョブ管理ツール「A-AUTO」(自動化事業)※4や帳票業務をまとめて支援する「まるっと帳票クラウドサービス」※5、「ユニリタクラウドサービス」(クラウド運用事業)などがある。
※1 サーバやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に設置して運用すること。
※2 2017年5月に資本業務提携を締結。
※3 2025年3月期より、クラウド運用事業はクラウドサービスに移行。
※4 「A-AUTO」は、異なるプラットフォームで稼働するシステムのジョブを統合管理し、自動実行制御を実現するバッチ処理のジョブ管理ツール。
※5 顧客の面倒な帳票の出力業務(帳票の印刷・郵送代行から、電子化・Web配信まで)をまとめて支援するサービス。
(2) クラウドサービス
サービス提供による課題解決領域を「IT課題」(IT活用クラウド事業)、「事業課題」(事業推進クラウド事業)、「社会課題」(ソーシャルクラウド事業)の3つのカテゴリに区分し、それぞれの特性に合わせたサービスを提供している。1) IT活用クラウド事業では、「LMIS」(サービスマネジメントプラットフォーム)※1や、「infoScoop × Digital Workforce」(リモートワーク推進サービス)、「まるっとデータ変換・加工クラウドサービス」(データ変換・加工処理・運用保守サービス)などを企業の情報システム部門向けに展開している。2) 事業推進クラウド事業では、「DigiSheet」(人材派遣業向け勤怠管理サービス)、「らくらくBOSS」(業務管理の統合ソリューション)、「CommuRing」(企業間コミュニケーションを支援するサービス)、「Growwwing」(カスタマーサクセスの立ち上げと成長支援サービス)などを企業の事業部門・管理部門向けに展開しており、今後の成長分野として位置付けている。また、3) ソーシャルクラウド事業では、移動体IoTサービス※2(バス検索、バスロケーション、接近情報サービス)、「MANALYZE」(運行状況分析レポートサービス)、アグリサービス(圃場の収支管理、生産管理など農業技術のサービス化)などを事業会社、自治体・公共機関向けに推進している。
※1 企業のサービスデスク機能(システムの不具合や、技術サポートなどユーザーの問い合わせに対応する窓口)を中心としたサービスマネジメントプラットフォーム。
※2 子会社の(株)ユニ・トランドが、IoT技術を活用したバス事業者向けソリューションを展開。バス位置検索システム(路線検索、運行位置情報検索等)のほか、バス乗降者数をリアルタイムで計測できるシステムも開発している。
(3) プロフェッショナルサービス
グループ企業を主体とし、データ・サービスマネジメント領域における専門性を活かしたコンサルティングからシステム導入支援、システムインテグレーション、アウトソーシングまでのサービスをワンストップで提供している。
顧客数(同社製品の導入実績数)は1,700社を超え、大手企業による導入実績が多く見られる。業種別売上構成比では、幅広い業種に対応しているが、製造、小売・流通、金融・保険の比率が高い。
販売チャネルは、従来、直販を中心に提供してきたが、最近では、パートナー企業(販売代理店)との協業によるソリューション提供力の強化(協業モデル推進)に取り組んでおり、パートナー企業数も100社を突破している。また、Webマーケティングにも注力しており、Webマーケティングからの案件化の仕組みも確立している。
主な連結子会社は、システム運用コンサルティング事業を展開する(株)ビーエスピーソリューションズと中国の販売拠点である備実必(上海)軟件科技有限公司のほか、(株)ヒューアップテクノロジー(人材ビジネス業界向けサービス)※1、(株)ビーティス(BCPサービスの構築・運用・保守のサポート)※2、(株)データ総研(データ活用に関するコンサルティング事業)、(株)ユニ・トランド(地方公共交通向け移動体IoTサービスの提供)、(株)ユニリタプラス(西日本地域の顧客への販売強化及びパートナー企業との連携)、(株)無限(システムインテグレーション事業、自社パッケージソフトの開発・販売など)、(株)ユニリタエスアール(システム運用代行業務及び技術支援サービスの提供)の計9社となっている。
※1 2022年4月1日付で、連結子会社の(株)アスペックスと(株)ビジネスアプリケーションの合併により商号を変更した。
※2 100%子会社であった(株)ビーティス(BCPサービスの構築・運用・保守のサポート)については、2024年7月1日付けで吸収合併予定。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<HN>
■会社概要
1. 事業概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポート並びにそれらの事業に関わるコンサルティングやアウトソーシングサービスを手掛けている。
創業以来、金融機関や大手企業を中心としたメインフレーム向けの製品が安定収益源となっており、高い収益性を誇っている。また、過去においては、顧客のジョブ管理や帳票管理など、ITシステム運用の自動化、効率化に貢献することで同社の業績も着実な成長を遂げてきた。
システムのオープン化やダウンサイジング化の進展、クラウドの普及、ビッグデータの活用など外部環境の変化を受けて、それまでのITシステム運用の自動化、効率化に貢献する分野(生産性向上など)に加えて、顧客の企業価値向上に直接貢献する分野(市場拡大や競争力の向上など)へと事業領域を拡充する方向にある。特に、企業の情報システム部門だけでなく事業部門における各サービスの提供モデルにもデジタル変革(以下、DX)の流れが加速しており、ITの「攻め」と「守り」の両面において、顧客のDXニーズに対応するための事業体制の確立が同社の強みとなっている。最近では、同社自身のビジネスモデルのサービス化(クラウド活用により自社サービスを提供する継続課金型の収益モデルへの移行)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)ビジネスなどにも取り組んでいる。
事業セグメントは、「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の3つに区分される。創業以来の主力である「プロダクトサービス」の売上高構成比は約39%であるが、営業利益率が高いため収益源となっている。今後は、成長分野である「クラウドサービス」を大きく伸ばす戦略である。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) プロダクトサービス
システム運用領域に関わるプロダクト(自動化、帳票等)をオンプレミス型※1並びにサービス型で提供している。また、創業以来の主力事業であり、金融機関や生損保、大手製造業を中心としたメインフレーム向け製品(基幹業務システムの運用管理)の販売・サポートが含まれるほか、協業先であるアイネット<9600>※2のクラウド基盤上で、サーバの運用管理やセキュリティ対策、障害発生時の対応まで幅広くサポートするクラウド運用事業も展開している※3。主力製品には、ジョブ管理ツール「A-AUTO」(自動化事業)※4や帳票業務をまとめて支援する「まるっと帳票クラウドサービス」※5、「ユニリタクラウドサービス」(クラウド運用事業)などがある。
※1 サーバやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に設置して運用すること。
※2 2017年5月に資本業務提携を締結。
※3 2025年3月期より、クラウド運用事業はクラウドサービスに移行。
※4 「A-AUTO」は、異なるプラットフォームで稼働するシステムのジョブを統合管理し、自動実行制御を実現するバッチ処理のジョブ管理ツール。
※5 顧客の面倒な帳票の出力業務(帳票の印刷・郵送代行から、電子化・Web配信まで)をまとめて支援するサービス。
(2) クラウドサービス
サービス提供による課題解決領域を「IT課題」(IT活用クラウド事業)、「事業課題」(事業推進クラウド事業)、「社会課題」(ソーシャルクラウド事業)の3つのカテゴリに区分し、それぞれの特性に合わせたサービスを提供している。1) IT活用クラウド事業では、「LMIS」(サービスマネジメントプラットフォーム)※1や、「infoScoop × Digital Workforce」(リモートワーク推進サービス)、「まるっとデータ変換・加工クラウドサービス」(データ変換・加工処理・運用保守サービス)などを企業の情報システム部門向けに展開している。2) 事業推進クラウド事業では、「DigiSheet」(人材派遣業向け勤怠管理サービス)、「らくらくBOSS」(業務管理の統合ソリューション)、「CommuRing」(企業間コミュニケーションを支援するサービス)、「Growwwing」(カスタマーサクセスの立ち上げと成長支援サービス)などを企業の事業部門・管理部門向けに展開しており、今後の成長分野として位置付けている。また、3) ソーシャルクラウド事業では、移動体IoTサービス※2(バス検索、バスロケーション、接近情報サービス)、「MANALYZE」(運行状況分析レポートサービス)、アグリサービス(圃場の収支管理、生産管理など農業技術のサービス化)などを事業会社、自治体・公共機関向けに推進している。
※1 企業のサービスデスク機能(システムの不具合や、技術サポートなどユーザーの問い合わせに対応する窓口)を中心としたサービスマネジメントプラットフォーム。
※2 子会社の(株)ユニ・トランドが、IoT技術を活用したバス事業者向けソリューションを展開。バス位置検索システム(路線検索、運行位置情報検索等)のほか、バス乗降者数をリアルタイムで計測できるシステムも開発している。
(3) プロフェッショナルサービス
グループ企業を主体とし、データ・サービスマネジメント領域における専門性を活かしたコンサルティングからシステム導入支援、システムインテグレーション、アウトソーシングまでのサービスをワンストップで提供している。
顧客数(同社製品の導入実績数)は1,700社を超え、大手企業による導入実績が多く見られる。業種別売上構成比では、幅広い業種に対応しているが、製造、小売・流通、金融・保険の比率が高い。
販売チャネルは、従来、直販を中心に提供してきたが、最近では、パートナー企業(販売代理店)との協業によるソリューション提供力の強化(協業モデル推進)に取り組んでおり、パートナー企業数も100社を突破している。また、Webマーケティングにも注力しており、Webマーケティングからの案件化の仕組みも確立している。
主な連結子会社は、システム運用コンサルティング事業を展開する(株)ビーエスピーソリューションズと中国の販売拠点である備実必(上海)軟件科技有限公司のほか、(株)ヒューアップテクノロジー(人材ビジネス業界向けサービス)※1、(株)ビーティス(BCPサービスの構築・運用・保守のサポート)※2、(株)データ総研(データ活用に関するコンサルティング事業)、(株)ユニ・トランド(地方公共交通向け移動体IoTサービスの提供)、(株)ユニリタプラス(西日本地域の顧客への販売強化及びパートナー企業との連携)、(株)無限(システムインテグレーション事業、自社パッケージソフトの開発・販売など)、(株)ユニリタエスアール(システム運用代行業務及び技術支援サービスの提供)の計9社となっている。
※1 2022年4月1日付で、連結子会社の(株)アスペックスと(株)ビジネスアプリケーションの合併により商号を変更した。
※2 100%子会社であった(株)ビーティス(BCPサービスの構築・運用・保守のサポート)については、2024年7月1日付けで吸収合併予定。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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