テラスカイ Research Memo(4):クラウドインテグレーションなどのソリューション事業が売上高の90%以上に
[24/06/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:04JST テラスカイ Research Memo(4):クラウドインテグレーションなどのソリューション事業が売上高の90%以上に
■クラウド市場の動向と事業内容
2. 事業内容
テラスカイ<3915>の事業セグメントは、ソリューション事業と製品事業の2つに分類される。2024年2月期における構成比はソリューション事業が売上高で91.3%、営業利益で110.1%を占める主力事業となっている。セグメント利益率ではソリューション事業が10%台と比較的安定した水準で推移している。同事業についてはクラウドシステムの開発・導入支援が中心で、ストック売上となる運用・保守の売上比率は15%程度となっている。開発・導入案件の受注動向とプロジェクトの生産性やエンジニアの稼働状況が利益率の変動要因となるが、Salesforce関連の案件に関しては国内トップクラスのエンジニアを抱えており、難易度の高い案件も手掛けられるため、比較的安定した収益性を確保している。ここ1〜2年は利益率がやや低下しているが、タイの子会社やQuemixなど新設した子会社の先行投資コストや、積極的な人材採用による教育研修費や戦力化までの未稼働コストの増加が要因として挙げられる。
一方、製品事業の利益率は2022年2月期以降、マイナスが続いている。大手自動車メーカー向けの大型案件が一巡したことや「mitoco」関連の開発費やプロモーション費用など先行投資が続いていることが要因だ。償却前利益率では2024年2月期で5.1%となっており、売上高の9割強はストック売上で占められるため、契約社数の増加で売上規模が拡大していけば、黒字化して収益性もいずれはソリューション事業を上回ってくるものと予想される。
売上構成比をクラウド別で分けると2024年2月期はSalesforce関連が59%、IaaS関連(AWS、GCPなど)が41%となった。Salesforce関連の売上構成比は2020年2月期の69%から10ポイント低下したが、これは製品事業において2020年2月期に売上貢献したSalesforce関連の大型導入案件が一巡したこと、BeeXを中心に子会社で展開するIaaS関連の売上高が順調に成長していることが要因であり、実額ベースではSalesforce関連の売上高も2ケタ成長が続いている。
(1) ソリューション事業
ソリューション事業では、クラウドを活用したシステムを顧客企業のニーズに応じて開発し、導入支援を行っている。具体的には、フロントシステムや基幹システムなどの要件定義から設計・開発・テスト・運用・効果検証・改善策立案・システム化計画までを行う。フロントシステムとしてはSalesforceの開発が多く、Salesforceとライセンス販売契約を締結し、導入支援を展開している。Salesforceを中心としたクラウドシステムの累計導入実績は同社単体で7,000件超(グループで18,000件超)と国内トップクラスとなっている。トヨタ自動車<7203>や日立製作所<6501>、みずほフィナンシャルグループ<8411>、小田急電鉄<9007>グループ、KDDI<9433>など業種・業態・企業規模を問わず多くの企業に導入されているが、SalesforceがCRM分野で強いことから大企業の営業/サービス/マーケティング部門向け大規模案件の比率が高くなっている。また、売上高の5割超は既存顧客からの保守・運用料や継続・追加開発案件で占められる。Salesforceを導入した場合、新機能の追加も含めて開発が継続するケースが大半であり、その場合は最初に導入支援を行ったクラウド・インテグレーターが継続して受注することになる。
なお、子会社のBeeXではSAPのクラウド移行支援やAWSの開発・導入支援(Microsoft Azureも顧客要望があれば対応可能)を展開している。特に、SAPのクラウド移行支援に関しては高い技術力を背景に多くの実績を持つ。また、スカイ365でSalesforceやAWSなどのクラウド導入案件に関するMSPサービスを提供している。そのほか、テラスカイ・テクノロジーズやCuon、リベルスカイ、Quemix、DiceWorks、タイ子会社の事業がソリューション事業に含まれる。
(2) 製品事業
製品事業では、同社がSaaSベンダーとしてクラウドに特化したサービスの開発及び提供を行っているほか、子会社のエノキで開発するAIプラットフォーム事業が含まれる。主な製品としては、「mitoco X(旧DataSpider Cloud)」、「SkyVisualEditor」、「mitoco」などがある。売上高は導入時に計上されるフロー売上と月額課金のストック売上(サブスクリプション売上)に分けられ、2024年2月期のストック売上比率は9割強となっており、内訳をサービス別で見ると「mitoco X」が43%、「SkyVisualEditor」が24%、「mitoco」が25%と3製品で90%を超えている。
「mitoco X」は顧客企業が自社で所有するオンプレミスのシステムと、Salesforceなど各種クラウドサービスのデータを自動連携するツールとなる。2023年9月より自社ブランドによる単独販売になったことで、今後は共同開発先のセゾン情報システムとのレベニューシェアがなくなるほか、独自の機能開発と製品力の強化が可能となった。また、「SkyVisualEditor」は各企業が業務内容に合わせてSalesforceの画面を使い勝手の良いように簡単にカスタマイズできるツールで業界のデファクト製品としての地位を確立している。
注力製品として開発を強化している「mitoco」は、社内のコミュニケーションを円滑にするワークフローやカレンダー、掲示板機能などをSalesforce上で利用できるグループウェア製品でモバイルデバイスにも対応している。また、Salesforceのライセンスを追加購入しなくても、Salesforceのカレンダーや取引先、取引先責任者などの情報を共有できるほか、営業部門が利用するSalesforceと全社員が利用するスケジュールやワークフローシステムなどの情報の分断がなくなり、顧客を中心とした情報の一元管理によって業務が効率化され、Salesforceの活用が一段と促進されることが最大の特徴となっている。2021年12月に経費清算、2022年8月に勤怠管理、2023年9月に財務会計、2024年3月に債務管理と、各種機能を相次いでリリースしている。IT製品・クラウドサービスのユーザーレビュープラットフォーム「ITreview」の投稿をもとに評価の高かった製品・サービスを表彰する「ITreview Grid Award」の「Salesforce拡張機能部門」で最高評価の「Leader」を、「グループウェア部門」で「High Performer」を連続受賞するなどユーザー評価も極めて高い製品となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■クラウド市場の動向と事業内容
2. 事業内容
テラスカイ<3915>の事業セグメントは、ソリューション事業と製品事業の2つに分類される。2024年2月期における構成比はソリューション事業が売上高で91.3%、営業利益で110.1%を占める主力事業となっている。セグメント利益率ではソリューション事業が10%台と比較的安定した水準で推移している。同事業についてはクラウドシステムの開発・導入支援が中心で、ストック売上となる運用・保守の売上比率は15%程度となっている。開発・導入案件の受注動向とプロジェクトの生産性やエンジニアの稼働状況が利益率の変動要因となるが、Salesforce関連の案件に関しては国内トップクラスのエンジニアを抱えており、難易度の高い案件も手掛けられるため、比較的安定した収益性を確保している。ここ1〜2年は利益率がやや低下しているが、タイの子会社やQuemixなど新設した子会社の先行投資コストや、積極的な人材採用による教育研修費や戦力化までの未稼働コストの増加が要因として挙げられる。
一方、製品事業の利益率は2022年2月期以降、マイナスが続いている。大手自動車メーカー向けの大型案件が一巡したことや「mitoco」関連の開発費やプロモーション費用など先行投資が続いていることが要因だ。償却前利益率では2024年2月期で5.1%となっており、売上高の9割強はストック売上で占められるため、契約社数の増加で売上規模が拡大していけば、黒字化して収益性もいずれはソリューション事業を上回ってくるものと予想される。
売上構成比をクラウド別で分けると2024年2月期はSalesforce関連が59%、IaaS関連(AWS、GCPなど)が41%となった。Salesforce関連の売上構成比は2020年2月期の69%から10ポイント低下したが、これは製品事業において2020年2月期に売上貢献したSalesforce関連の大型導入案件が一巡したこと、BeeXを中心に子会社で展開するIaaS関連の売上高が順調に成長していることが要因であり、実額ベースではSalesforce関連の売上高も2ケタ成長が続いている。
(1) ソリューション事業
ソリューション事業では、クラウドを活用したシステムを顧客企業のニーズに応じて開発し、導入支援を行っている。具体的には、フロントシステムや基幹システムなどの要件定義から設計・開発・テスト・運用・効果検証・改善策立案・システム化計画までを行う。フロントシステムとしてはSalesforceの開発が多く、Salesforceとライセンス販売契約を締結し、導入支援を展開している。Salesforceを中心としたクラウドシステムの累計導入実績は同社単体で7,000件超(グループで18,000件超)と国内トップクラスとなっている。トヨタ自動車<7203>や日立製作所<6501>、みずほフィナンシャルグループ<8411>、小田急電鉄<9007>グループ、KDDI<9433>など業種・業態・企業規模を問わず多くの企業に導入されているが、SalesforceがCRM分野で強いことから大企業の営業/サービス/マーケティング部門向け大規模案件の比率が高くなっている。また、売上高の5割超は既存顧客からの保守・運用料や継続・追加開発案件で占められる。Salesforceを導入した場合、新機能の追加も含めて開発が継続するケースが大半であり、その場合は最初に導入支援を行ったクラウド・インテグレーターが継続して受注することになる。
なお、子会社のBeeXではSAPのクラウド移行支援やAWSの開発・導入支援(Microsoft Azureも顧客要望があれば対応可能)を展開している。特に、SAPのクラウド移行支援に関しては高い技術力を背景に多くの実績を持つ。また、スカイ365でSalesforceやAWSなどのクラウド導入案件に関するMSPサービスを提供している。そのほか、テラスカイ・テクノロジーズやCuon、リベルスカイ、Quemix、DiceWorks、タイ子会社の事業がソリューション事業に含まれる。
(2) 製品事業
製品事業では、同社がSaaSベンダーとしてクラウドに特化したサービスの開発及び提供を行っているほか、子会社のエノキで開発するAIプラットフォーム事業が含まれる。主な製品としては、「mitoco X(旧DataSpider Cloud)」、「SkyVisualEditor」、「mitoco」などがある。売上高は導入時に計上されるフロー売上と月額課金のストック売上(サブスクリプション売上)に分けられ、2024年2月期のストック売上比率は9割強となっており、内訳をサービス別で見ると「mitoco X」が43%、「SkyVisualEditor」が24%、「mitoco」が25%と3製品で90%を超えている。
「mitoco X」は顧客企業が自社で所有するオンプレミスのシステムと、Salesforceなど各種クラウドサービスのデータを自動連携するツールとなる。2023年9月より自社ブランドによる単独販売になったことで、今後は共同開発先のセゾン情報システムとのレベニューシェアがなくなるほか、独自の機能開発と製品力の強化が可能となった。また、「SkyVisualEditor」は各企業が業務内容に合わせてSalesforceの画面を使い勝手の良いように簡単にカスタマイズできるツールで業界のデファクト製品としての地位を確立している。
注力製品として開発を強化している「mitoco」は、社内のコミュニケーションを円滑にするワークフローやカレンダー、掲示板機能などをSalesforce上で利用できるグループウェア製品でモバイルデバイスにも対応している。また、Salesforceのライセンスを追加購入しなくても、Salesforceのカレンダーや取引先、取引先責任者などの情報を共有できるほか、営業部門が利用するSalesforceと全社員が利用するスケジュールやワークフローシステムなどの情報の分断がなくなり、顧客を中心とした情報の一元管理によって業務が効率化され、Salesforceの活用が一段と促進されることが最大の特徴となっている。2021年12月に経費清算、2022年8月に勤怠管理、2023年9月に財務会計、2024年3月に債務管理と、各種機能を相次いでリリースしている。IT製品・クラウドサービスのユーザーレビュープラットフォーム「ITreview」の投稿をもとに評価の高かった製品・サービスを表彰する「ITreview Grid Award」の「Salesforce拡張機能部門」で最高評価の「Leader」を、「グループウェア部門」で「High Performer」を連続受賞するなどユーザー評価も極めて高い製品となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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