アジア投資 Research Memo(1):2024年3月期は損失幅が拡大。第三者割当増資及び経営体制の刷新を公表
[24/06/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:21JST アジア投資 Research Memo(1):2024年3月期は損失幅が拡大。第三者割当増資及び経営体制の刷新を公表
■要約
1. 会社概要
日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は15,497百万円(8ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は12,152百万円となっている(2024年3月期末時点)。PE投資については、ベンチャーキャピタル(VC)業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高も減少傾向にある。ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも一定の成果を上げてきたが、事業推進の遅れ等により中期経営計画には未達となった。それに伴い同社は2024年5月24日付けで第三者割当増資と経営体制の刷新を公表し、新体制の下、組織改正を進め、投資事業の強化と事業の再生に取り組む。
2. 2024年3月期の業績
2024年3月期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前期比36.9%減の2,444百万円、営業損失が1,150百万円(前期は11百万円の利益)となった。
※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。なお、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。
従来連結基準では、営業収益が前期比68.0%減の964百万円、営業損失が1,522百万円(前期は185百万円の損失)と大幅な減収となり損失幅が拡大した。上場株式の売却は進捗したものの、予定していた投資金額の比較的多額な未上場株式の売却が未達となったことや、プロジェクトの売却が1件に留まったことで大幅な減収となった。損益面でも売却益の減少に加え、評価損・引当金の前倒し計上により損失幅が拡大した。一方、財政状態については、損失計上等により自己資本が減少したものの、有利子負債の返済も着実に進んでおり、自己資本比率は54.0%の水準を確保している。活動面では、事業承継ファンドの増額組成や障がい者グループホームへの投資実行などで成果を上げることができた。
3. 2025年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難な事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2025年3月期については、ある一定の前提を基に策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。
「従来連結基準による見込値」によれば、2025年3月期の営業収益を1,600百万円〜2,650百万円、営業利益を150百万円〜850百万円とレンジ内での着地を見込んでいる。前期から持ち越しとなった未上場株式の売却が実現した場合が上限、その売却がなかった場合が下限となっている。また、下限となった場合でも、プロジェクトの売却により黒字転換を実現する想定である。
4. 中期経営計画の振り返りと今後の方向性
2022年3月期よりスタートした3ヶ年の中期経営計画では、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指してきた。ただ、事業推進の遅れ等により数値目標は未達となり、戦略面でも一部を除いて、十分な成果を上げることはできなかった。なお、今後の方向性及び具体的な戦略については、新体制の下での中期経営計画の公表が待たれるが、投資事業(ファンドビジネス)の強化と事業再生が基本路線となりそうだ。
■Key Points
・2024年3月期は予定していた株式売却の未達等に伴い大幅な減収となり損失幅が拡大
・3ヶ年の中期経営計画についても、事業推進の遅れ等により数値目標は未達で着地
・2025年3月期は株式及びプロジェクトの売却により黒字転換を見込む
・第三者割当増資と経営体制の刷新を公表。新体制の下、投資事業の強化と事業再生に取り組む方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<SO>
■要約
1. 会社概要
日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、プライベートエクイティ投資(以下、PE投資)や再生可能エネルギー等のプロジェクト投資を手掛けている。1981年に(公社)経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は15,497百万円(8ファンド)、同社グループの自己資金及び運用ファンドによる投融資残高は12,152百万円となっている(2024年3月期末時点)。PE投資については、ベンチャーキャピタル(VC)業界を取り巻く環境が変化するなかで、新たなファンド設立に苦戦しており、投資残高も減少傾向にある。ここ数年はプロジェクト投資に積極的に取り組み、パートナー企業への戦略投資(PE投資)でも一定の成果を上げてきたが、事業推進の遅れ等により中期経営計画には未達となった。それに伴い同社は2024年5月24日付けで第三者割当増資と経営体制の刷新を公表し、新体制の下、組織改正を進め、投資事業の強化と事業の再生に取り組む。
2. 2024年3月期の業績
2024年3月期の業績(ファンド連結基準※)は、営業収益が前期比36.9%減の2,444百万円、営業損失が1,150百万円(前期は11百万円の利益)となった。
※同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。なお、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。
従来連結基準では、営業収益が前期比68.0%減の964百万円、営業損失が1,522百万円(前期は185百万円の損失)と大幅な減収となり損失幅が拡大した。上場株式の売却は進捗したものの、予定していた投資金額の比較的多額な未上場株式の売却が未達となったことや、プロジェクトの売却が1件に留まったことで大幅な減収となった。損益面でも売却益の減少に加え、評価損・引当金の前倒し計上により損失幅が拡大した。一方、財政状態については、損失計上等により自己資本が減少したものの、有利子負債の返済も着実に進んでおり、自己資本比率は54.0%の水準を確保している。活動面では、事業承継ファンドの増額組成や障がい者グループホームへの投資実行などで成果を上げることができた。
3. 2025年3月期の業績見通し
同社は、業績予想(ファンド連結基準)について、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難な事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2025年3月期については、ある一定の前提を基に策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示している。
「従来連結基準による見込値」によれば、2025年3月期の営業収益を1,600百万円〜2,650百万円、営業利益を150百万円〜850百万円とレンジ内での着地を見込んでいる。前期から持ち越しとなった未上場株式の売却が実現した場合が上限、その売却がなかった場合が下限となっている。また、下限となった場合でも、プロジェクトの売却により黒字転換を実現する想定である。
4. 中期経営計画の振り返りと今後の方向性
2022年3月期よりスタートした3ヶ年の中期経営計画では、戦略投資とプロジェクト投資によりバランスシートの早期改善と安定した収益の造成を図るとともに、ベンチャー投資により高い収益性の確保を目指してきた。ただ、事業推進の遅れ等により数値目標は未達となり、戦略面でも一部を除いて、十分な成果を上げることはできなかった。なお、今後の方向性及び具体的な戦略については、新体制の下での中期経営計画の公表が待たれるが、投資事業(ファンドビジネス)の強化と事業再生が基本路線となりそうだ。
■Key Points
・2024年3月期は予定していた株式売却の未達等に伴い大幅な減収となり損失幅が拡大
・3ヶ年の中期経営計画についても、事業推進の遅れ等により数値目標は未達で着地
・2025年3月期は株式及びプロジェクトの売却により黒字転換を見込む
・第三者割当増資と経営体制の刷新を公表。新体制の下、投資事業の強化と事業再生に取り組む方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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