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クリアル Research Memo(10):同社プラットフォームへのIT投資やホテル運営事業への参入により成長目指す

注目トピックス 日本株
*19:30JST クリアル Research Memo(10):同社プラットフォームへのIT投資やホテル運営事業への参入により成長目指す
■成長戦略

1. あらゆるニーズを叶える「資産運用のNo.1プラットフォーム」
クリアル<2998>では「CREAL」が全体の成長を牽引しており、今後もその役割に変化はなく、積極的なマーケティングとIT投資を継続する。また、SBIホールディングスとの提携がより活発化する状況を踏まえ、中期目標として2027年3月期に年間GMV800億円、累計投資家数18万人の達成を掲げた。目標に向け優良なアセットを確保するため、2024年5月にホテル運営事業への参入を決定した。

同社の競争優位性は、リピート投資率の高い、即ちロイヤリティの高いユーザーをオンラインで6万人超抱えていることにあり、その資産を最大限に活用することが成長のカギとなる。具体的には、まず成長原資となる投資経験層の「CREAL」ユーザー数をSBI証券との提携で拡大する。次に、「CREAL」をより大きなプラットフォームに成長させるため、投資未経験層(投資エントリー層)の獲得に向け、有用なマス広告に注力していく。富裕層や機関投資家などの大型投資家の取り込みについては、不特法に基づく3号及び4号事業のライセンス取得から始める。ライセンス取得により、SPCを利用したクラウドファンディングでの案件組成が可能となり、原則的に物件のオフバランス、アップフロント・フィー等の各種手数料の即時売上計上が可能となるため、同社の貸借対照表の軽量化、倒産隔離などが実現できる。これにより投資対象としての適格性が向上し、個人投資家に加えて金融機関や機関投資家などの参画が促進され、投資主体の幅と投資額が大きく拡大すると見込まれる。ほかにも、ノンリコースローンによるレバレッジ効果によって「CREAL」の投資家の利回りが向上し、同社の収益性向上も期待できる。

一方で、対面での取り組みにも注力している。これは「CREAL」で組成するファンドの対象物件をバルクで機関投資家に一括販売し、同社は引き続きアセットマネージャーとして関与することで、収益機会を継続させ「CREAL PRO」の売上を増加させる。また、オンライン投資家のためのより長期的な資産形成としての商品を「CREAL」の顧客に提案(クロスセル)し、「CREAL PB」の売上高の増加につなげる。

このように同社の特長である「CREAL」のプラットフォームを最大限に活用して、各事業の増収増益を図る。将来的には、投資エントリー層、投資経験層、資産形成層、富裕層、機関投資家といったあらゆる顧客層の投資家ニーズに応える資産運用会社として、DXプラットフォームを通じて効率的に提供・運営を行い、不動産を中心としたオルタナティブアセット全般を資産運用のニーズに応える形で顧客に提供する考えだ。

不動産関連の将来的な商品ラインナップについては、現在取り扱っている不特法1号及び2号型商品のほか、不特法3号及び4号型商品を用意する予定である。また、その後は対象不動産変更型商品、オープンエンド型商品を取り扱えるように引き続き許認可申請を進める。対象不動産変更型商品では、ファンドの中で不動産の追加と売却という対象アセットの変更が可能な商品を取り扱えるようになり、これまでは一旦取得した不動産を売却するとファンドは償還という形になるが、この商品は不動産を入れ替えながら運用し続けられるため、投資家は償還後の再投資を行うことなく投資を継続することが可能となる。オープンエンド型商品では、投資家はいつでも投資を開始し償還することが可能となる。現在と比較して長期投資、預けっぱなしに適した商品性となるため1,000兆円とも言われる預金の受け皿的役割を果たせると同社は考えている。また、富裕層向けに任意組合型の不特法3号4号に該当する商品を検討しており、実物不動産投資と同等の効果を得られる税制メリットのある商品として展開する予定である。さらに、プライベートクレジット型として企業やファンドに直接融資を行う商品を検討しており、特に海外案件として需要が見込まれるため、日本の市況に捉われず個人投資家に提供できる商品になると考えている。

また、同社では会員基盤の拡大、物件の発掘とオペレーション力の強化に加えて、海外での事業展開もにらみ、M&Aについても積極的に検討している。以上のような取り組みによって経営基盤の拡大を強力に推進できると弊社ではみている。

2. ホテル運営事業「CREAL HOTELS」への参入
同社は2024年5月14日にホテル運営事業「CREAL HOTELS」への参入を発表した。同社の成長継続にはGMVの伸長が不可欠であり、それには優良なアセットが必要とされる。訪日外国人数が2023年に2,500万人を突破し、新型コロナウイルス感染症拡大後の急速なインバウンド拡大でホテル需要も急増している。2030年には訪日外国人数は6,000万人にのぼると見込まれ、ホテル需要は一層高まると予想されるが、そうしたインバウンドニーズを的確に捉えたホテルは少ない。そのため、同社事業の第4の柱となりうるとして、ホテル運営事業に参入した。

同社にとって良質なホテルの供給は、ホテル運営事業の成長のみならず、GMVの増加にもつながる。既存事業である「CREAL」や「CREAL PRO」とのシナジーによりビジネスチャンスの拡大を見込んでおり、個人投資家への小口売却や、「CREAL PRO」でのファンドとして機関投資家への販売、そして継続的なアセットマネジメントに携わることによる収益の獲得を見据えている。特に、機関投資家や法人投資家の開拓余地は十分あると考えられるため、これまで進めてきた不特法に基づく3号及び4号事業者としての許可を取得し、倒産隔離されたSPCを活用したクラウドファンディングが可能になれば、大口の投資につながり、収益力の増強が視野に入る。

ホテル運営事業では、2つのソーシングパターンがある。1つめは、すでにあるホテルを購入し、インバウンド用に部屋を拡張するなどのリノベーションを行うパターンである。2つめは、土地を調達した上でホテルを建設するパターンである。いずれにしてもホテルを取得するためには資金調達が必要であり、同社は主業のクラウドファンディングによる資金調達が可能であるため、安定稼働までの資金的な問題をクリアし、さらにGMVを拡大させ、安定的にホテル運営を行える。そのため、クラウドファンディングが供給できる20〜30億円程度のホテルを取り扱い、スピーディーに事業を軌道に乗せる考えだ。同社では3年間で20棟のホテル運営を目標としている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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