ポラリスHD Research Memo(1):2024年3月期は、国内外の運営ホテルの好業績等により大幅増収増益
[24/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*17:31JST ポラリスHD Research Memo(1):2024年3月期は、国内外の運営ホテルの好業績等により大幅増収増益
■要約
ポラリス・ホールディングス<3010>は、世界ブランド「Best Western(R) Hotels & Resorts」の国内展開権利を持ち、自社ブランドである「KOKO HOTELS(ココホテルズ)」「バリュー・ザ・ホテル」、2023年10月に子会社化したフィリピンのホテルチェーン「Red Planet Hotels」を含め国内外で47棟、8,205室(2024年3月末現在)のホテルを運営するホテルオペレーター(ホテル運営会社)である。創業は1912年と古く、製糸業で業界大手の一角を占めていたが、繊維不況を契機に不動産業に参入、2008年に(株)フィーノホテルズを子会社化したことで「ベストウェスタンホテル」のエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築いた。リーマンショックで不動産市況が悪化してからは事業主体をホテル事業にシフトし、2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループと資本業務提携し、新たなマネジメント体制の下、成長を加速している。なお、2021年5月に「価値開発株式会社」から「ポラリス・ホールディングス株式会社」へ社名変更した。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の売上高は22,545百万円(前期比221.3%増)、営業利益3,382百万円(前期は3百万円の利益)、経常利益2,608百万円(前期は215百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益3,297百万円(前期比517.2%増)となった。2018年のスターアジアグループ参画以降で最高の売上高及び各利益を達成した。売上高については、主力のホテル事業の売上高が14,507百万円(前期比107.3%増)と2倍以上に拡大した。国内宿泊需要が回復するなか、既存ホテルのRevPAR改善や運営ホテル数及び客室数の増加、子会社化した海外ホテル(Red Planet Hotels)の業績を連結計上したこと等が、大幅な増収に貢献した。また、2024年3月期は不動産事業において、2件の販売用不動産(ベストウェスタンプラス福岡天神南、フィーノホテル札幌大通)のスターアジアグループが資産運用を行うJリートへの売却があり、ワンタイムの売上高として8,039百万円(前期は19百万円)が計上された。営業利益については、ホテル事業のレベニューマネジメント強化などに加え、固定+変動賃料契約を組み込んだ運営ストラクチャーの変更を積極的に行い、収益性を向上させた。また、不動産売却による営業利益は2,044百万円(同300百万円の損失)と全社の増益に大きく寄与した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の売上高は20,078百万円(前期比10.9%減)、営業利益1,891百万円(同44.1%減)、経常利益1,315百万円(同49.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,473百万円(同55.3%減)を予想する。減収減益ではあるが、前期は不動産売却分の業績が上乗せされているためであり、それを除く同社の主力事業であるホテル事業だけの前期比では、大幅な増収増益となる。2025年3月期の事業環境については、国内ホテルにおいて特に都心部でホテル市場の成長が継続し、その他エリアにおいても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の水準まで回復するものと見込んでいる。同社運営ホテルにおいても、平均客室単価や稼働率の向上の余地が大きいと考えられる。特に、前期に開業した5棟に関しては、今期は通年寄与による本格的な業績貢献が期待できる。海外ホテル事業においても順調に業績が回復しており、2024年3月期にマニラ市内にオープンした海外事業におけるフラッグシップとなる新築ホテルも業績に貢献するものと見込んでいる。なお、不動産事業において進行期は売却は見込まれていないものと見ている。営業利益に関しては、水道光熱費や人件費などの上昇が見込まれるものの、それらを吸収して余りある売上増を計画する。ホテルの数や地域内での運営ホテルの密度も上がっており、効率的な人員配置によるコストの適正化や運営ストラクチャーの変更(運営委託型から固定+変動賃料型及び固定賃料型への移行など)も、需要拡大期には、収益性にプラスに働く。弊社では、足元の良好な事業環境とこれまでの事業再生の実績を踏まえた、説得力のある成長プランであると見ている。
3. 成長戦略
同社は、新たに2027年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画(以下、新中計)を発表した。新たな経営理念としては、「変革・創造・挑戦」を掲げ、コロナ禍中の“守り”から“攻め”の経営姿勢へのシフトし、第二の創業の意気込みを宣言した。また長期ビジョンは、「ホテルオペレーターのTop Tierとしてステークホルダーから選ばれる企業へ」とし、顧客、従業員、投資家・オーナーからの視点を強調している。2027年3月期の定量財務目標としては、連結売上高で250億円、連結営業利益で29億円、連結当期利益で25億円、ROE(自己資本利益率)で15%、営業利益平均成長率で30%を目指す。2024年3月期には一時的に不動産売却益などの貢献で新中計目標を超えた指標もあったが、新中計では安定した成長による目標の達成を目指す。その他のKPIとしては、運営客室数10,000室、運営ホテル数60店舗、配当性向30%とした。
4. 株主還元策
同社は株主への還元手段として配当を行うことが重要であると認識しており、財務体質の安定性を維持しつつ株主価値に配慮した施策を実施する方針である。ここ数年は無配が続いたが、中計では2025年3月期に復配を実現し、2027年3月期までの定量目標として配当性向30%を目指すとしている。2025年3月期の年配当金は3円、配当性向は25.3%を予想する。
■Key Points
・独自ブランド「KOKO HOTELS」、世界ブランド「Best Western(R) Hotels & Resorts」等を展開するホテルオペレーター。スターアジアグループとして成長加速
・2024年3月期は、国内外の運営ホテルの好業績及び所有ホテル売却により、スターアジアグループ参画以降で最高の売上高・利益を達成
・3年後の2027年3月期に売上高250億円、営業利益29億円を目指す“攻め”の中期経営計画を発表。国内ホテル39店舗を運営するミナシア社へ共同出資
・2025年3月期は復配(年3円、配当性向25.3%)を予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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■要約
ポラリス・ホールディングス<3010>は、世界ブランド「Best Western(R) Hotels & Resorts」の国内展開権利を持ち、自社ブランドである「KOKO HOTELS(ココホテルズ)」「バリュー・ザ・ホテル」、2023年10月に子会社化したフィリピンのホテルチェーン「Red Planet Hotels」を含め国内外で47棟、8,205室(2024年3月末現在)のホテルを運営するホテルオペレーター(ホテル運営会社)である。創業は1912年と古く、製糸業で業界大手の一角を占めていたが、繊維不況を契機に不動産業に参入、2008年に(株)フィーノホテルズを子会社化したことで「ベストウェスタンホテル」のエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築いた。リーマンショックで不動産市況が悪化してからは事業主体をホテル事業にシフトし、2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループと資本業務提携し、新たなマネジメント体制の下、成長を加速している。なお、2021年5月に「価値開発株式会社」から「ポラリス・ホールディングス株式会社」へ社名変更した。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の売上高は22,545百万円(前期比221.3%増)、営業利益3,382百万円(前期は3百万円の利益)、経常利益2,608百万円(前期は215百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益3,297百万円(前期比517.2%増)となった。2018年のスターアジアグループ参画以降で最高の売上高及び各利益を達成した。売上高については、主力のホテル事業の売上高が14,507百万円(前期比107.3%増)と2倍以上に拡大した。国内宿泊需要が回復するなか、既存ホテルのRevPAR改善や運営ホテル数及び客室数の増加、子会社化した海外ホテル(Red Planet Hotels)の業績を連結計上したこと等が、大幅な増収に貢献した。また、2024年3月期は不動産事業において、2件の販売用不動産(ベストウェスタンプラス福岡天神南、フィーノホテル札幌大通)のスターアジアグループが資産運用を行うJリートへの売却があり、ワンタイムの売上高として8,039百万円(前期は19百万円)が計上された。営業利益については、ホテル事業のレベニューマネジメント強化などに加え、固定+変動賃料契約を組み込んだ運営ストラクチャーの変更を積極的に行い、収益性を向上させた。また、不動産売却による営業利益は2,044百万円(同300百万円の損失)と全社の増益に大きく寄与した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の売上高は20,078百万円(前期比10.9%減)、営業利益1,891百万円(同44.1%減)、経常利益1,315百万円(同49.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,473百万円(同55.3%減)を予想する。減収減益ではあるが、前期は不動産売却分の業績が上乗せされているためであり、それを除く同社の主力事業であるホテル事業だけの前期比では、大幅な増収増益となる。2025年3月期の事業環境については、国内ホテルにおいて特に都心部でホテル市場の成長が継続し、その他エリアにおいても新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の水準まで回復するものと見込んでいる。同社運営ホテルにおいても、平均客室単価や稼働率の向上の余地が大きいと考えられる。特に、前期に開業した5棟に関しては、今期は通年寄与による本格的な業績貢献が期待できる。海外ホテル事業においても順調に業績が回復しており、2024年3月期にマニラ市内にオープンした海外事業におけるフラッグシップとなる新築ホテルも業績に貢献するものと見込んでいる。なお、不動産事業において進行期は売却は見込まれていないものと見ている。営業利益に関しては、水道光熱費や人件費などの上昇が見込まれるものの、それらを吸収して余りある売上増を計画する。ホテルの数や地域内での運営ホテルの密度も上がっており、効率的な人員配置によるコストの適正化や運営ストラクチャーの変更(運営委託型から固定+変動賃料型及び固定賃料型への移行など)も、需要拡大期には、収益性にプラスに働く。弊社では、足元の良好な事業環境とこれまでの事業再生の実績を踏まえた、説得力のある成長プランであると見ている。
3. 成長戦略
同社は、新たに2027年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画(以下、新中計)を発表した。新たな経営理念としては、「変革・創造・挑戦」を掲げ、コロナ禍中の“守り”から“攻め”の経営姿勢へのシフトし、第二の創業の意気込みを宣言した。また長期ビジョンは、「ホテルオペレーターのTop Tierとしてステークホルダーから選ばれる企業へ」とし、顧客、従業員、投資家・オーナーからの視点を強調している。2027年3月期の定量財務目標としては、連結売上高で250億円、連結営業利益で29億円、連結当期利益で25億円、ROE(自己資本利益率)で15%、営業利益平均成長率で30%を目指す。2024年3月期には一時的に不動産売却益などの貢献で新中計目標を超えた指標もあったが、新中計では安定した成長による目標の達成を目指す。その他のKPIとしては、運営客室数10,000室、運営ホテル数60店舗、配当性向30%とした。
4. 株主還元策
同社は株主への還元手段として配当を行うことが重要であると認識しており、財務体質の安定性を維持しつつ株主価値に配慮した施策を実施する方針である。ここ数年は無配が続いたが、中計では2025年3月期に復配を実現し、2027年3月期までの定量目標として配当性向30%を目指すとしている。2025年3月期の年配当金は3円、配当性向は25.3%を予想する。
■Key Points
・独自ブランド「KOKO HOTELS」、世界ブランド「Best Western(R) Hotels & Resorts」等を展開するホテルオペレーター。スターアジアグループとして成長加速
・2024年3月期は、国内外の運営ホテルの好業績及び所有ホテル売却により、スターアジアグループ参画以降で最高の売上高・利益を達成
・3年後の2027年3月期に売上高250億円、営業利益29億円を目指す“攻め”の中期経営計画を発表。国内ホテル39店舗を運営するミナシア社へ共同出資
・2025年3月期は復配(年3円、配当性向25.3%)を予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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