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ディーエムソリュ Research Memo(7):2つの事業の強みを重ね合わせ、EC関連サービスという新領域を開拓

注目トピックス 日本株
*15:07JST ディーエムソリュ Research Memo(7):2つの事業の強みを重ね合わせ、EC関連サービスという新領域を開拓
■事業概要

5. 強みと新領域
(1) ダイレクトメール事業の強み
ダイレクトメールの市場規模は3,400億円程度あるが、微減傾向にあると言われている。また、依然として小規模な印刷業者が印刷のついでに郵便の発送を代行していることが多く、大手のディーエムソリューションズ<6549>でさえシェアが5〜6%程度しかない。このため、近年になってようやく集約化が進み始めたニッチな業界ということができる。ところで、ダイレクトメールが微減傾向にある理由は、年賀状や請求書がインターネットの普及などにより減少傾向にあるからで、同社が扱っている商用のダイレクトメールは言われるほどに縮小していない。また、開封率の高さから高単価商材や好景気業種に利用されることが多い。ダイレクトメール市場は魅力的に見えないが、その市場で確保している同社のポジションは強みといえ、同社のダイレクトメール事業が市場のトレンドに反して毎年増収で推移している要因でもある。

さらに、そのような業界において、90人の営業スタッフを抱え全国規模で営業展開していることも強みで、発送代行の同業大手でさえ同社ほどに営業スタッフを抱えている企業はないようだ。このため同社は、5,000社近い様々な業種の企業と取引し、年間45,000件を超える案件を取り扱っており、結果的に景気に左右されにくい体質を構築した。また、ダイレクトメールの発送で全国屈指のスケールがあるため、ゆうメールなどの発送費において強い価格競争力を有している。カスタマイズの必要性が多い中小規模の案件をメインターゲットとしているが、こうしたニーズに対して自社デザイナーや商品企画部門による企画やデザインから発送まで、どのプロセスでもワンストップでサービスを提供できることも強みとなっている。フルフィルメントサービスは、成長が続くEC市場のなかで、こうしたDM発送のノウハウを生かしたソリューションや保管〜受注〜発送まで一貫した管理、受託能力の高いフルフィルメントセンターの運営といった強みを有している。さらに、上場企業の資金力による余裕あるキャパシティを背景に積極的に投資を行えることも強みといえよう。なにはともあれ、物流インフラとフルフィルメントサービスを併せ持ち、直営ECを支援している企業は同社以外に見当たらない。

(2) インターネット事業の強み
インターネット事業の強みは、SEOに関するノウハウをベースにメディアとデジタルマーケティングの2つを運営している点にある。また、自社内で完結するバーティカルメディア運営や、的確なメディア選定によるマーケティング戦略、運用型広告やWebサイト制作の実績も強みといえる。ところで、インターネット事業の課題は、インターネット広告市場の成長は続いているものの進化のスピードが速いうえレッドオーシャン化していること、グーグルにより定期的に行われるアルゴリズム変更への対応が難化していることにある。レッドオーシャン化に対しては、日進月歩で開発される新しい技術を不断に導入することで、同社は優位性を保ち続けている。アルゴリズムの変更に対しては、対応を継続しアルゴリズムを熟知することで、的確な対策や柔軟な対応といったノウハウの形成・蓄積につなげている。インターネット広告もバーティカルメディアも検索技術の優位性が決め手となるため、こうして構築してきたSEOノウハウは同社にとって大きな強みとなっている。

(3) 新領域への展開
このようにダイレクトメール事業とインターネット事業それぞれに強みがあり、そうした強みを具体的に重ね合わせることで、常に意識的にアプローチしてきたEC関連サービスという新領域を取り込むことができた。このうちECに関しては、「BeeMe」で直営ECをすでに実験的にスタートしていたが、ビアトランスポーツの子会社化によって拡大に踏み出している。また、物流インフラとネットの知見を生かすべくEC支援も強化しており、同社はEC関連サービスへの関与を強めていく方針である。この際、物流インフラやフルフィルメントサービス、営業力、SEOノウハウといった、もともと持っていた強みを通じて得た新たな直営ECやEC支援のノウハウは、ECのソリューションとして唯一無二の強みといえる。ほかにもDtoCなどEC周辺領域を新規事業として育成・拡大していくことは、ECのソリューションカンパニーとして独自のポジションを獲得する原動力になっていくと思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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