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ギックス Research Memo(3):データインフォームドな判断の実現に向け各事業部門で高い専門性と技術力を発揮

注目トピックス 日本株
*13:33JST ギックス Research Memo(3):データインフォームドな判断の実現に向け各事業部門で高い専門性と技術力を発揮
■事業概要

ギックス<9219>は、「DIコンサルティング」「DIプラットフォーム」「DIプロダクト」の3つのサービスを通じて、データに基づく論理的思考や合理的判断により、人間の判断が効率化・高度化していく社会の実現を目指している。

1. DIコンサルティング
DIコンサルティングでは、顧客の業務上の判断をデータインフォームドに変革するためのサービスを提供する。同サービスは、「顧客理解」「解法模索」「解決策発見」の3つのフェーズに分かれ、顧客理解のフェーズではデータインフォームドな判断を行うために何が必要であるかを顧客と一緒に検討する。解法模索のフェーズでは、実施したい判断のために、活用可能なデータを用いた最適な分析方法を模索する。解決策発見のフェーズでは、分析結果をどのように業務に組み込んでいくべきかを見極め業務設計を行う。データ分析では、仮説検証型・試行錯誤型の2種類のスタイルによって、全件・全量データを用いた全粒度分析を行い、顧客の業務知識にデータという裏付けを与える。仮説検証スタイルでは、勘・経験に基づく仮説に対してデータによる検証・補強を行い、試行錯誤スタイルでは、顧客の興味・仮説に応じた動的な追加分析を行う。顧客理解から解決策発見のフェーズまでは、短くて3〜4週間、平均6〜7週間で到達する。同社に蓄積されたノウハウ・モジュール・ツールを活用し、顧客と併走しながら高速で分析を進めることで短期間での解決策発見が可能となる。顧客の蓄積されたデータを分析するだけではなく、物事を適切に判断していくためのアプローチを顧客とともに模索する点に、同サービスの価値が凝縮されていると弊社では考える。

2. DIプラットフォーム
DIプラットフォームでは、DIコンサルティングで得られた分析要件を仕組み化し、データを用いる思考態度を日々の業務に浸透させる。DIプラットフォームとはデータ処理基盤であり、必要なデータを必要な形で蓄積・処理する仕組みである。具体的には、他システムからのデータ連携により取得したデータを、「ダッシュボード」「業務システム」「リアルタイム処理」などのシステム・機能で蓄積・処理し、継続的な分析処理を安定的に実行する。GCP(Google Cloud platform)やAWS(Amazon Web Services)などを主体とするクラウドベースのデータ基盤を採用しているため、可用性と拡張性の高いプラットフォームが実現されている。また、システムの構築手法にはアジャイル型アプローチを採用しており、開発するシステムを小さな単位に分け、計画・設計・実装・テストを繰り返すことで、迅速かつ柔軟な対応を可能としている。

3. DIプロダクト
DIプロダクトでは、「個別課題解決」プロジェクトで培った分析ノウハウを用いて、「共通課題解決」に役立つ複数のプロダクトを開発・提供している。「個別課題解決」プロジェクトで抽出された、業界特有の課題や分析ノウハウ、ツール・モジュールを汎用化し、プロダクト化することで、より幅広い層におけるデータインフォームドな判断を促進する。主なDIプロダクトとしては、商業施設や観光エリアにおける買い回りや回遊を促進するキャンペーンを提供する、スマートフォン向けWebアプリ「マイグル」がある。利用施設やサービスに関して、「マイグルAI」により利用者の趣味・嗜好に合わせた選択肢が表示され、利用者がミッションを選択することで自分だけのスタンプラリーシートを作成できる。また、利用者が実際に選択した内容を「マイグルAI」が学習することで、提示内容が最適化される。顧客は、スタンプラリーの実施によって得られたデータを用いることで、一過性のキャンペーンで終わらせることなく、継続的なキャンペーンの検討・実施に活用できる。また、リアルタイムで状況を把握できるため、キャンペーン実施期間中も集客や告知面での追加対応を検討することが可能だ。主要顧客は、商業施設や地方自治体、鉄道やバスなどの公共交通事業者で、料金はスタンプラリーの規模や期間に応じて使った分だけ払う方式と、利用期間中は同時に複数のキャンペーンの実施が可能となる月額固定料金制がある。

4. 市場環境
同社決算説明資料によると(出所はデロイトトーマツミック経済研究所「ビジネス・アナリティクス市場展望2022年版」)同社がターゲットとする国内ビジネス・アナリティクス市場規模は、2020年度で3,764億円であった。今後はデータ駆動型の経営・マーケティングや、需要予測に取り組むユーザーの増加を背景に、2028年度まで年平均成長率12.0%、市場規模は2028年度に9,341億円に達すると予測されている。DIの考え方を取り入れる対象となるビジネス判断は、「経営判断」「業務判断」「個人判断」に分類される。「経営判断」は年に数回程度の極めて大きな意思決定を、「業務判断」は現場で日常的に行われている判断を、「個人判断」は各自の自由意志に任される資料作成や上申などの判断を指している。同社ではこれらのうち「業務判断」市場を、BPRやRPAによる業種・業態別の業務効率改善の余地が大きいと捉えている。現場で日常的に行われている判断は、組織全体で膨大な無駄の温床となりやすいが顕在化していないためだ。「個別課題解決」の領域では、戦略コンサルティングのニーズに加え、データによる日々の業務判断のDI化を推進することで、経営判断・業務判断市場シェアを獲得していく。「共通課題解決」の領域では、個別課題を解決するなかで検知された共通課題を、同社が提供するプロダクトによって一気に刈り取る。事業判断にデータを活用する機運の高まりにより、企業各社も様々な取り組みを行っている。同社は、戦略コンサルティングと、高度なアナリティクスのケイパビリティを強みとしており、自社で取り組むだけでは得ることが難しい最適解を、クライアントに合わせて提供することが可能である。市場環境を鑑みれば、同社のデータインフォームド思想(以下、DI思想)は、より一層受け入れられていくものと弊社では見ている。

加えて、DI市場の顕在化によりデータ活用・AI市場のさらなる拡大を見込んでいる。再現性の高い業務判断を行うためには、勘・経験・度胸をデータの活用により検証・補強する必要がある。従来のデータ提供の仕組みでは、ビジネス判断に耐え得る速度・品質のデータが提供されないという課題があった。同社は、データの蓄積・加工・判断への活用を一気通貫でサポートすることにより、データにより検証・補強された再現性の高い業務判断を実現する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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