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CAICAD Research Memo(8):安定したキャッシュ・フローを生み出す「ITサービス事業」に集中する(2)

注目トピックス 日本株
*12:48JST CAICAD Research Memo(8):安定したキャッシュ・フローを生み出す「ITサービス事業」に集中する(2)
■中期経営計画の方向性

4. 中期経営計画達成に向けた主な施策
(1) 既存Web3事業の拡大
・カイカコイン(CICC)の資産価値向上
CAICA DIGITAL<2315>が発行するカイカコインについては、GameFiとして注目されるゲーム内決済通貨としての活用をはじめ、活用シーンを増やすことで資産価値の向上を図る。

・「Zaif INO」におけるサービスの拡充
NFTローンチパッド「Zaif INO」については、クリエイターが制作した作品のNFT化からマーケティングまで包括して行っているが、2023年11月に「Zaif INO」でのカイカコイン決済を実装するとともに、12月にはカイカコインで決済可能なNFTの第1弾販売を実現した※。2024年1月にはクレジットカード決済も可能となったほか、2024年5月からはTOPPANとの連携により、NFCタグ機能を活用したNFT配布サービス(NFTカード)の提供を開始するなど、ユーティリティの向上を図っている。

※カイカコインで「Zaif INOデジタルプレミアムチケット」を購入すると、通常価格よりもディスカウントで購入できる特典がついている。


・Web3型のデータ保管サービスの展開
同社ではブロックチェーン技術を活用した次世代のストレージサービスを展開しているが、従来のストレージサービスはデータセンターのセキュリティに関する潜在的なリスクをはらんでおり、分散台帳技術の活用によりセキュリティ向上を図っていく考えだ。また、決済にカイカコインを用いることでユースケースの拡大にも寄与していく※。今後は事業ドメインの拡大とユーザビリティの向上を継続して行うことでシェアの拡大を図る戦略である。

※BtoB決済にカイカコインが利用される事例として、カイカコイン、及びブロックチェーンの分散型ストレージ技術を活用し、改ざん不可能かつ永続的な運用が可能な電子帳簿保存サービスを開始している。


(2) DXコンサルティングによるSI事業の伸長
これまでの暗号資産交換所「Zaif」の運営やNFTローンチパッド「Zaif INO」の運用実績を生かし、CtoCプラットフォームやIPを保有する企業に対してWeb3事業開発のノウハウを提供していく※1。また、主力の「ITサービス事業」については、従来、開発案件の二次請け受注業務が中心であったが、新しい体制を構築することで、上流工程の高単価案件獲得により収益構造の抜本的な改革を目指していく方針である。その一環として、従来のウォーターフォール型の開発体制と併せて、アジャイル型の開発チームにて新たなスクラム体制を組織した※2。

※1 Web3の事業化に対するコンサルティングとして、「CAICA Web3 For Biz」の提供を開始。
※2 アジャイル開発は、「計画→設計→実装→テスト」といった開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すところに最大の特徴がある。仕様変更に強いうえ、サービスインまでの期間を短縮することができる。


(3) M&Aによる事業拡大
引き続き、M&Aも重要な戦略の1つとして位置付けており、以下のような対象企業を想定している。

・ブロックチェーン関連企業
ブロックチェーンを活用したサービスを展開する企業を対象とし、同社のノウハウを注入することでさらなる事業拡大を図る。

・Web3と親和性の高い企業
ゲーム開発会社や、独自のIPを所有する会社を対象とし、同社とのシナジー創出により高い収益性を目指す。

・システム開発企業
旺盛なシステム投資意欲を背景とする需要過多な状況に対応するため、M&Aにより獲得したリソース(人的資本等)を活用するとともに、新規顧客の開拓により事業拡大を図る。

5. 人材の確保
上記の施策を進めていくうえでの課題は、専門分野に特化した人材及びハイスペックな人材の確保であるとの認識に立ち、人材の獲得にも注力していく方針である。具体的には、ヘッドハンティング会社や専門分野に特化した紹介会社の利用による採用活動に加え、現状の社員紹介制度を充実させていく考えだ。中期経営計画最終年度の2026年10月期までに「ITサービス事業」の人員(パートナーを含む)を725名(2023年10月期末比57名増)に増やす計画であり、1人当たりの売上高は8.5%増加する想定である。

6. 弊社による注目点
弊社でも、好調な受注環境の下、安定したキャッシュを稼げる「ITサービス事業」への集中を図るとともに、ブロックチェーン技術の活用やWeb3ビジネスとの連携により、ほかのシステム開発会社との差別化(高成長及び高付加価値化)を図る方向性は、同社の強みを生かす理にかなった戦略と評価している。一方、中期経営計画(数値目標)については、成長領域をリードする同社にとってやや物足りなさを感じる印象を受けるが、弊社ではあくまでも既存の延長線上にあるベースラインとして捉えており、いかにWeb3ビジネスの拡大(「Zaif INO」やWeb3コンサルティングなど)や高付加価値案件の獲得、さらにはM&Aを通じた業容拡大などにより、アップサイドを目指していくのかがポイントになると判断している。とりわけ今後に向けては、Web3ビジネスの拡大が同社の収益構造や成長モデルにどのような変化を及ぼすのかに注目している。Web3の世界ではユーティリティ性の高いコイン(トークン)が活用され、手数料収入が収益源となるため、同社が目指す相場の影響を受けにくい収益構造への転換(収益の安定化)が一段と進むことになるだろう。その上、アライアンスパートナーの成長が同社自身の成長につながるため、いかに有力なタイトルやスタートアップを探り出し、成長を支援していけるかが重要なカギを握る。いくつもの成長の種をプラットフォーム上(「Zaif INO」など)に囲い込み、そこから成功事例を輩出できれば、アップサイドの利益を存分に享受できる成長モデルとして高い評価を得ることもできるだろう。また、新たな取り組みとして韓国市場への参入も気になるところである。暗号資産やNFTが活発な韓国市場で先に成功事例を積み上げることができれば、国内の展開スピードにも拍車がかかる可能性がある。いずれにしても、需要が拡大しているDXコンサルティングの伸び、さらには中長期的なWeb3ビジネスのポテンシャルの両方を取り込むためには、人材の確保が最大のテーマであることは明らかであり、M&Aを含めた人的資本の強化にも注意を払う必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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