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ナック Research Memo(2):2024年3月期は減収減益、主力のクリクラ事業は堅調に推移(1)

注目トピックス 日本株
*15:42JST ナック Research Memo(2):2024年3月期は減収減益、主力のクリクラ事業は堅調に推移(1)
■業績動向

1. 2024年3月期の業績概要
ナック<9788>の2024年3月期の業績は、売上高54,433百万円(前期比4.6%減)、営業利益2,298百万円(同28.9%減)、経常利益2,390百万円(同26.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,436百万円(同28.2%減)となった。期初計画に対しては売上高が9.3%減、営業利益は34.3%減、経常利益は31.7%減、親会社株主に帰属する当期純利益は34.7%減での着地だった。売上高については、主力事業の1つであるクリクラ事業が、2023年夏の猛暑や消費促進施策を背景とした1顧客当たり消費量の増加や、クリクラボトルの値上げ効果、並びに新規に販売開始した小型の浄水型ウォーターサーバー「putio」における順調な顧客獲得もあり、前期比3.4%の増収を記録した。一方、レンタル事業においてはアーネストが手掛けていたコロナ関連事業の受注減少により同6.7%の減収となった。建築コンサルティング事業については、建築原価の高騰やコロナ対策融資の返済開始を背景とした地場工務店の経営改善に向けた投資意欲の低下を原因として、同16.2%の減収となった。利益面については、クリクラ事業が増収効果から増益を確保したほか、住宅事業においてジェイウッドが住宅1棟あたりの販売価格を見直したことで利益率を改善し、営業利益の黒字化を達成した。美容・健康事業は、一部事業の増収に加え、事業を構成する会社間でのオフィス共用や広告宣伝費、販売促進費の抑制などのコスト削減策が奏功し、増益となった。一方でレンタル事業や建築コンサルティング事業は減収が影響し大幅な減益となり、全社の営業利益は減益で着地した。損益面を概観すると、売上総利益が前期比808百万円減(前期比2.9%減)となっており、その要因は売上総利益率の高い建築コンサルティング事業やレンタル事業の大幅な減収が背景である。営業利益の減益については、前期比126百万円増(同0.5%増)の販管費の影響もあるが、売上総利益の減少が大きく響いたと言える。

2. セグメント別の動向
(1) クリクラ事業
クリクラ事業の売上高は15,239百万円(前期比3.4%増)、営業利益は1,706百万円(同5.4%増)となった。計画比では売上高は1.6%増、営業利益は26.4%増と達成した。宅配水市場は、定額かつ安価で利用できる浄水型ウォーターサーバーの需要拡大に伴い異業種も参入するなど顧客獲得競争が激化している。また、物価高騰による既存顧客のボトルの買い控えや、巣ごもり需要の解消により1件当たりのボトル消費量は減少傾向にある。ただし、同社では、浄水サーバーへの需要拡大に対応すべく、2023年7月に単身者や高齢者に向けた小型の浄水型ウォーターサーバー「putio(プティオ)」をリリースし、顧客獲得が順調に推移した。ショッピングモールなどでのイベント営業を強化し、販促活動強化に取り組んだ結果、直営部門では顧客件数が増加し、解約率も改善傾向を辿った。次亜塩素酸水溶液「ZiACO(ジアコ)」は新型コロナウイルス感染症の5類移行の影響から売上減少となったものの、2023年夏の猛暑の影響や、コーヒーなど副商材の消費促進策を併せて実施したことでボトル消費量が拡大したほか、2023年3月期に実施したクリクラボトルの値上げ効果もあり、直営部門の売上高は前期比3.0%増となった。加盟店部門では顧客件数は前期比で減少したものの、加盟店へのサーバー販売数が増加したことに加え、クリクラボトルの値上げ効果もあり、売上高は前期比3.9%増となった。利益面では円安に伴うウォーターサーバーの仕入コストが増加したが、増収効果によって前期比5.4%の増益となった。

(2) レンタル事業
レンタル事業の売上高は17,463百万円(前期比6.7%減)、営業利益は1,597百万円(同22.1%減)となった。計画比では売上高は5.8%増、営業利益は0.2%減とほぼ達成で着地した。主力のダスキン事業では、ダストコントロール部門において、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、これまで衛生管理の観点から利用者が増加していた空気清浄機の新規契約が減少し減収となった。一方で家事代行や害虫駆除、花や庭木の管理といった包括的な役務サービスを提供するケアサービス部門、並びに介護用品や福祉用具のレンタル・販売を行うヘルスレント部門の事業成長により、ダスキン事業の売上高は同4.6%増の12,969百万円となった。ケアサービス部門及びヘルスレント部門の増収は、サービス拠点数に加えて販促人員も増強したことによる営業活動の拡大や、猛暑によるエアコン需要の高まりを受けたクリーニング受注の増加が主因だ。

害虫駆除器「with」を主力とするウィズ事業は、主要顧客である飲食店向けの納品率が向上したことに加え、新規顧客獲得のための販促活動を強化し、売上高は前期比1.3%増の2,106百万円となった。一方で法人向けの定期清掃サービスを提供するアーネストは新型コロナウイルス感染症の5類移行の影響で、前期の売上高に貢献した水際対策支援事業関連の受注が減少し、売上高は前期比49.5%減の2,176百万円となった。利益面ではダスキン事業やウィズ事業の増収効果があったものの、アーネストの減収が響き、大幅な減益となった。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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