ギグワークス Research Memo(1):2024年10月期第2四半期は減収も利益回復傾向
[24/07/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*16:01JST ギグワークス Research Memo(1):2024年10月期第2四半期は減収も利益回復傾向
■要約
ギグワークス<2375>は、10万人を超える登録ギグワーカー(登録スタッフ)の空いた時間やスキルに合わせて、IT関連の機器サポートやコンタクトセンターなどの多様な業務をマッチングするビジネスモデルで成長する企業である。毎月1,000社以上の企業からのオンデマンド性が高い業務(単発短期業務)に即時対応できることが同社の強みとなっている。2019年8月に「スリープログループ(株)」から「ギグワークス(株)」に商号変更し、次代に向けてギアチェンジをした。傘下に日本最大の拠点を持つシェアオフィス事業や日本直販などの通販事業を持つのは、ギグワーカーの働き方や仕事の獲得に関連している。同社の最大の経営資源はヒトであり、女性の活躍や健康経営において先進的で内外からの評価も高い。東京証券取引所(以下、東証)2部に市場変更した2015年からはM&Aを積極化し、事業規模を急速に拡大しており、2022年7月には日本直販(株)及び(株)悠遊生活を子会社化した(同年10月に合併。以下、日本直販)。同年4月の東証市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、将来的にはさらに上を目指している。
1. ビジネスモデル
同社のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特長がある。同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在はIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増え、依頼を受ける仕事は多岐にわたる。IT関連での事例としては、パソコン(以下、PC)やタブレットのキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。大手通信会社や大手SI(システムインテグレーション)会社、外資系PC会社など大企業からの依頼が多く、継続的なパイプを持つ。特に全国規模での短期集中(単発短期・即時対応)の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多く、同社の存在価値を高めている。2021年には、ギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注が直接できるプラットフォーム「GiGWorks Basic」を本格稼働し、利用者が拡大している。創業以来、累計で6,426社、751万件を超えるのマッチングを行い、2024年10月期第2四半期は3,404名が稼働した。
2. 業績動向
2024年10月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.8%減の13,041百万円、営業利益が同564.7%増の184百万円となった。期初の計画通り、減収増益となった。売上面では、オンデマンドエコノミー事業とデジタルマーケティング事業が低調に推移し減収となった。利益面では、シェアリングエコノミー事業での稼働率向上やWeb3領域のSnap to Earnアプリ写真を撮って稼ぐ「SNPIT」の利益貢献などにより増益となった。
2024年10月期の連結業績は、売上高が前期比7.7%減の24,400百万円、営業利益が同84.6%増の205百万円と、収益を着実に改善する予想である(期初予想通り)。売上高の通期予想に対する第2四半期進捗率は53.5%であり、全体として順調に推移している。オンデマンドエコノミー事業では、販売支援業務やIT機器の設置設定業務などのフィールドサービスは、引き続き厳しい状況が継続する見通しである。この需要落ち込みをコンタクトセンター、システムソリューション、シェアオフィス、Web3アプリなどの成長分野で補えるかが鍵となる。利益面では着実な回復を見込んでいる。通期予想に対する営業利益の第2四半期進捗率は90.2%であり、進捗は順調である。弊社では、シェアリングエコノミー事業の黒字転換により4事業中3事業が利益体質となり、事業ポートフォリオはより安定感を増したと見ている。デジタルマーケティング事業での秋元康氏との新規取り組み、Web3領域の新事業など成長と業績への寄与に注目したい。
3. 成長戦略・トピック
「SNPIT」は、スマートフォンカメラを活用した画期的なGame-Fi※1体験を提供する、全く新しいSnap to Earnサービスである。2024年10月期第2四半期に、この初期段階のプロジェクトは、既に売上高で約200百万円を計上し、オンデマンドエコノミー事業の利益を押し上げるのに寄与した。Snap to Earn「SNPIT」の独自トークン※2である「SNPIT Token」が、2024年6月20日より、海外暗号資産取引所「Gate.io」及び「MEXC」に上場し、取引が開始された。両取引所は銘柄数や利用者が多く、トップクラスの暗号資産取引所である。この上場によりユーザーは、ゲームの報酬として得たSNPIT POINTS(STP)をアプリ内で活用するだけでなく、暗号資産に交換して活用することが可能となり、まさにアプリを通じて稼ぐことができるようになる。まさに、同社が目指す“働き方の選択肢が広がる”ことになる。
※1 ゲーム(Game)と金融(Finance)を組み合わせた造語。ゲームにDeFi(分散型金融)の要素を掛け合わせたブロックチェーンゲーム全般を指す
※2 従来の硬貨や紙幣の代わりに使うデジタルマネー
4. 株主還元策
同社は、重点分野への積極的な投資などにより確固たる競争力を早期に築くことを重要な課題と認識しつつ、同時に株主に対する利益還元についても重要な経営の課題として認識している。2024年10月期の配当は年5.00円(前期比1.00円増配)、配当性向116.0%を予想する(期初予想通り)。同社は株主還元の1つの指標としてDOEを重視している。過去のDOE実績は、4.1%(2021年10月期)、4.0%(2022年10月期)、2.3%(2023年10月期)と一定水準を維持している。DOEは配当性向×ROEに分解することができ、DOEを維持・向上する政策は、2023年10月期のようにROEが下がった局面においても配当が維持され、株主還元の視点では業績下振れの影響が緩和されたと言えるだろう。同社は、株主優待制度を導入しており、日本直販のWebサイトで1年間利用可能な割引クーポン(30%割引、割引金額の上限は累計(合算)で30万円(税抜))を贈呈する。
■Key Points
・2024年10月期第2四半期は減収も利益回復傾向。シェアリングエコノミー事業、Web3サービスが利益貢献
・2024年10月期の売上高は24,400百万円、営業利益は205百万円を予想(期初予想通り)。上期の営業利益の進捗率は90%。対面型フィールドサービスの需要落ち込みを成長分野で補う方針
・Snap to Earn「SNPIT」のマネタイズが始動。独自トークンが暗号資産取引所に上場
・2024年10月期の配当金は年5.00円(前期比1.00円増)を予想。DOEを重視する政策により、業績下振れ時も配当を継続
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<AS>
■要約
ギグワークス<2375>は、10万人を超える登録ギグワーカー(登録スタッフ)の空いた時間やスキルに合わせて、IT関連の機器サポートやコンタクトセンターなどの多様な業務をマッチングするビジネスモデルで成長する企業である。毎月1,000社以上の企業からのオンデマンド性が高い業務(単発短期業務)に即時対応できることが同社の強みとなっている。2019年8月に「スリープログループ(株)」から「ギグワークス(株)」に商号変更し、次代に向けてギアチェンジをした。傘下に日本最大の拠点を持つシェアオフィス事業や日本直販などの通販事業を持つのは、ギグワーカーの働き方や仕事の獲得に関連している。同社の最大の経営資源はヒトであり、女性の活躍や健康経営において先進的で内外からの評価も高い。東京証券取引所(以下、東証)2部に市場変更した2015年からはM&Aを積極化し、事業規模を急速に拡大しており、2022年7月には日本直販(株)及び(株)悠遊生活を子会社化した(同年10月に合併。以下、日本直販)。同年4月の東証市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行し、将来的にはさらに上を目指している。
1. ビジネスモデル
同社のビジネスモデルは、“IT関連の仕事を中心としたマッチングプラットフォーム”に特長がある。同社は“パソコン家庭教師”から出発した経緯もありIT関連(設置、トラブル対応、システム開発など)を得意とするが、現在はIT関連以外(販売、コールセンター、調査など)も増え、依頼を受ける仕事は多岐にわたる。IT関連での事例としては、パソコン(以下、PC)やタブレットのキッティング、アンテナ基地局設置、バス停工事(IoT対応)などがある。大手通信会社や大手SI(システムインテグレーション)会社、外資系PC会社など大企業からの依頼が多く、継続的なパイプを持つ。特に全国規模での短期集中(単発短期・即時対応)の依頼は同社でなければ受け手がいない場合が多く、同社の存在価値を高めている。2021年には、ギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注が直接できるプラットフォーム「GiGWorks Basic」を本格稼働し、利用者が拡大している。創業以来、累計で6,426社、751万件を超えるのマッチングを行い、2024年10月期第2四半期は3,404名が稼働した。
2. 業績動向
2024年10月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.8%減の13,041百万円、営業利益が同564.7%増の184百万円となった。期初の計画通り、減収増益となった。売上面では、オンデマンドエコノミー事業とデジタルマーケティング事業が低調に推移し減収となった。利益面では、シェアリングエコノミー事業での稼働率向上やWeb3領域のSnap to Earnアプリ写真を撮って稼ぐ「SNPIT」の利益貢献などにより増益となった。
2024年10月期の連結業績は、売上高が前期比7.7%減の24,400百万円、営業利益が同84.6%増の205百万円と、収益を着実に改善する予想である(期初予想通り)。売上高の通期予想に対する第2四半期進捗率は53.5%であり、全体として順調に推移している。オンデマンドエコノミー事業では、販売支援業務やIT機器の設置設定業務などのフィールドサービスは、引き続き厳しい状況が継続する見通しである。この需要落ち込みをコンタクトセンター、システムソリューション、シェアオフィス、Web3アプリなどの成長分野で補えるかが鍵となる。利益面では着実な回復を見込んでいる。通期予想に対する営業利益の第2四半期進捗率は90.2%であり、進捗は順調である。弊社では、シェアリングエコノミー事業の黒字転換により4事業中3事業が利益体質となり、事業ポートフォリオはより安定感を増したと見ている。デジタルマーケティング事業での秋元康氏との新規取り組み、Web3領域の新事業など成長と業績への寄与に注目したい。
3. 成長戦略・トピック
「SNPIT」は、スマートフォンカメラを活用した画期的なGame-Fi※1体験を提供する、全く新しいSnap to Earnサービスである。2024年10月期第2四半期に、この初期段階のプロジェクトは、既に売上高で約200百万円を計上し、オンデマンドエコノミー事業の利益を押し上げるのに寄与した。Snap to Earn「SNPIT」の独自トークン※2である「SNPIT Token」が、2024年6月20日より、海外暗号資産取引所「Gate.io」及び「MEXC」に上場し、取引が開始された。両取引所は銘柄数や利用者が多く、トップクラスの暗号資産取引所である。この上場によりユーザーは、ゲームの報酬として得たSNPIT POINTS(STP)をアプリ内で活用するだけでなく、暗号資産に交換して活用することが可能となり、まさにアプリを通じて稼ぐことができるようになる。まさに、同社が目指す“働き方の選択肢が広がる”ことになる。
※1 ゲーム(Game)と金融(Finance)を組み合わせた造語。ゲームにDeFi(分散型金融)の要素を掛け合わせたブロックチェーンゲーム全般を指す
※2 従来の硬貨や紙幣の代わりに使うデジタルマネー
4. 株主還元策
同社は、重点分野への積極的な投資などにより確固たる競争力を早期に築くことを重要な課題と認識しつつ、同時に株主に対する利益還元についても重要な経営の課題として認識している。2024年10月期の配当は年5.00円(前期比1.00円増配)、配当性向116.0%を予想する(期初予想通り)。同社は株主還元の1つの指標としてDOEを重視している。過去のDOE実績は、4.1%(2021年10月期)、4.0%(2022年10月期)、2.3%(2023年10月期)と一定水準を維持している。DOEは配当性向×ROEに分解することができ、DOEを維持・向上する政策は、2023年10月期のようにROEが下がった局面においても配当が維持され、株主還元の視点では業績下振れの影響が緩和されたと言えるだろう。同社は、株主優待制度を導入しており、日本直販のWebサイトで1年間利用可能な割引クーポン(30%割引、割引金額の上限は累計(合算)で30万円(税抜))を贈呈する。
■Key Points
・2024年10月期第2四半期は減収も利益回復傾向。シェアリングエコノミー事業、Web3サービスが利益貢献
・2024年10月期の売上高は24,400百万円、営業利益は205百万円を予想(期初予想通り)。上期の営業利益の進捗率は90%。対面型フィールドサービスの需要落ち込みを成長分野で補う方針
・Snap to Earn「SNPIT」のマネタイズが始動。独自トークンが暗号資産取引所に上場
・2024年10月期の配当金は年5.00円(前期比1.00円増)を予想。DOEを重視する政策により、業績下振れ時も配当を継続
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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