MDNT Research Memo(2):「がん免疫細胞治療」領域のバイオベンチャー。企業変革を推進
[24/07/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:22JST MDNT Research Memo(2):「がん免疫細胞治療」領域のバイオベンチャー。企業変革を推進
■会社概要
1. 沿革
(1) 創業
メディネット<2370>は、「がん免疫細胞治療」領域の先駆けであり、バイオベンチャーである。
現 代表取締役会長の木村氏は(株)保谷硝子(現 HOYA<7741>)でコンタクトレンズや医療機器の販売を担当したことをきっかけに、1995年にがん免疫細胞治療を開発・実用化する同社を創業した。木村氏は子どものころから重度の小児ぜん息を患っていたため、免疫の領域で新しい事業を始めたいという思いがあったと言う(免疫疾患であるぜん息は薬での根治は難しく、体の免疫力のバランスを整えることで快方に向かう病気である)。
その後、木村氏は東京大学医科学研究所でがんの免疫療法を研究してきた医師の江川滉二教授と出会い、がん免疫細胞治療法として血液内の免疫細胞に着目し、患者の血液から採取した免疫細胞を体外で培養し機能を強化して体内に戻すことで、がんに対する免疫力を引き上げる仕組みを開発した。以降は、木村氏と江川氏(相談役として)は二人三脚で同社をけん引した。
当時はまだ再生・細胞医療の認知度は高くはなかったが、「免疫細胞療法総合支援サービス」という新しい事業モデルで事業化するに至った。1999年には、江川氏が開院した国内初のがん免疫細胞治療を専門とする「瀬田クリニック(現 医療法人社団滉志会瀬田クリニック東京)」へサービスの提供を開始した。
(2) 売上高半減の苦況期
2014年11月に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」及び「医薬品医療機器等法」が施行されたことにより、従来事業のコアを成していた「免疫細胞療法総合支援サービス」から細胞加工業へ転換した。細胞加工業の売上高は、最盛時の2016年9月期には1,876百万円まで拡大したが、その後激減し、2018年9月期に994百万円と半減した。その背景にはがん治療分野での免疫チェックポイント阻害剤の普及などが挙げられるが、最大の要因は自費診療となるがん免疫細胞治療への風当たりが強かったことだ。主治医は患者の治療計画を立てる際に、標準治療(手術、放射線治療、抗がん剤など)をベースに自分が専門とする治療以外に、患者からの要望を取り入れた治療も検討することができる。しかし標準治療以外は行わないという主治医は多く、一般的に自費診療の肯定派、否定派は半々のようだ。否定派の医師は「保険で認められていない治療は用いるべきではない」という見解であり、同社のがん免疫細胞治療の適用が見送られたケースが多発したという。
(3) 中期経営計画「ACCEPT2021戦略」を掲げ事業構造改革で黒字転換
同社は2018年9月期から2021年9月期にかけて中期経営計画「ACCEPT2021戦略」を掲げ、同社の収益構造などの改善・改革に乗り出した。目指したのは細胞加工業における製造体制の効率化及び2019年9月期の収支均衡、そして再生医療等製品のパイプライン拡充と早期収益化である。
「ACCEPT2021戦略」による事業構造改革では、2018年9月期から全国4拠点あった細胞培養加工施設を統合集約し、連結子会社2社を吸収合併、早期退職募集の実施や研究開発投資の大幅抑制に取り組んだ。この結果、2019年9月期はセグメント利益89百万円となり、わずか1年間で黒字化することができた。
(4) 新しい経営体制
同社は、2022年4月より木村氏から久布白兼直(くぶしろかねなお)氏へ経営トップを交代した。久布白氏は、田辺三菱製薬を経て2020年12月に同社取締役に就任し、前職の医薬品マーケティング・営業実務の経験を生かして営業・開発・製造現場を取りまとめてきた。木村氏は、代表取締役会長に就任した。こうした経営体制の下、同社は企業ビジョン「VISION2030」を構築し、中期経営計画を推進している。成長戦略に基づいた自己変革とスピード経営の加速が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
<SO>
■会社概要
1. 沿革
(1) 創業
メディネット<2370>は、「がん免疫細胞治療」領域の先駆けであり、バイオベンチャーである。
現 代表取締役会長の木村氏は(株)保谷硝子(現 HOYA<7741>)でコンタクトレンズや医療機器の販売を担当したことをきっかけに、1995年にがん免疫細胞治療を開発・実用化する同社を創業した。木村氏は子どものころから重度の小児ぜん息を患っていたため、免疫の領域で新しい事業を始めたいという思いがあったと言う(免疫疾患であるぜん息は薬での根治は難しく、体の免疫力のバランスを整えることで快方に向かう病気である)。
その後、木村氏は東京大学医科学研究所でがんの免疫療法を研究してきた医師の江川滉二教授と出会い、がん免疫細胞治療法として血液内の免疫細胞に着目し、患者の血液から採取した免疫細胞を体外で培養し機能を強化して体内に戻すことで、がんに対する免疫力を引き上げる仕組みを開発した。以降は、木村氏と江川氏(相談役として)は二人三脚で同社をけん引した。
当時はまだ再生・細胞医療の認知度は高くはなかったが、「免疫細胞療法総合支援サービス」という新しい事業モデルで事業化するに至った。1999年には、江川氏が開院した国内初のがん免疫細胞治療を専門とする「瀬田クリニック(現 医療法人社団滉志会瀬田クリニック東京)」へサービスの提供を開始した。
(2) 売上高半減の苦況期
2014年11月に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」及び「医薬品医療機器等法」が施行されたことにより、従来事業のコアを成していた「免疫細胞療法総合支援サービス」から細胞加工業へ転換した。細胞加工業の売上高は、最盛時の2016年9月期には1,876百万円まで拡大したが、その後激減し、2018年9月期に994百万円と半減した。その背景にはがん治療分野での免疫チェックポイント阻害剤の普及などが挙げられるが、最大の要因は自費診療となるがん免疫細胞治療への風当たりが強かったことだ。主治医は患者の治療計画を立てる際に、標準治療(手術、放射線治療、抗がん剤など)をベースに自分が専門とする治療以外に、患者からの要望を取り入れた治療も検討することができる。しかし標準治療以外は行わないという主治医は多く、一般的に自費診療の肯定派、否定派は半々のようだ。否定派の医師は「保険で認められていない治療は用いるべきではない」という見解であり、同社のがん免疫細胞治療の適用が見送られたケースが多発したという。
(3) 中期経営計画「ACCEPT2021戦略」を掲げ事業構造改革で黒字転換
同社は2018年9月期から2021年9月期にかけて中期経営計画「ACCEPT2021戦略」を掲げ、同社の収益構造などの改善・改革に乗り出した。目指したのは細胞加工業における製造体制の効率化及び2019年9月期の収支均衡、そして再生医療等製品のパイプライン拡充と早期収益化である。
「ACCEPT2021戦略」による事業構造改革では、2018年9月期から全国4拠点あった細胞培養加工施設を統合集約し、連結子会社2社を吸収合併、早期退職募集の実施や研究開発投資の大幅抑制に取り組んだ。この結果、2019年9月期はセグメント利益89百万円となり、わずか1年間で黒字化することができた。
(4) 新しい経営体制
同社は、2022年4月より木村氏から久布白兼直(くぶしろかねなお)氏へ経営トップを交代した。久布白氏は、田辺三菱製薬
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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