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アドバンクリエ Research Memo(2):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」運営の独立系保険代理店大手(1)

注目トピックス 日本株
*15:52JST アドバンクリエ Research Memo(2):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」運営の独立系保険代理店大手(1)
■事業概要

1. 事業の内容
アドバンスクリエイト<8798>は保険代理店事業、ASP事業、メディア事業、メディアレップ事業、再保険事業の5つの事業を展開している。2020年9月期以降、2024年9月期第2四半期累計までの事業セグメント別売上構成比の推移を見ると、保険代理店事業が74.3%から61.4%に低下し、逆にメディア事業が10.4%から19.3%に上昇するなどその他の事業の構成比が上昇傾向にある。保険代理店事業が2023年9月期以降、一時的に落ち込んでいる影響もあるが、収益ポートフォリオの分散化が進んでいることが窺える。連結子会社としては、メディア事業とメディアレップ事業を展開する(株)保険市場、再保険事業を展開するAdvance Create Reinsurance Inc.の2社がある。

(1) 保険代理店事業
保険代理店事業では、同社の保険選びサイト「保険市場」を通じて資料請求や問い合わせなどがあった見込み客に対して、通信販売やネット完結型の非対面販売、同社直営店である「保険市場 コンサルティングプラザ」や提携代理店など多様なチャネルを通じて、保険商品の販売を行っている。直営店での販売については、従来の対面販売に加えて2020年3月からビデオ通話システムを用いたオンライン保険相談を開始しており、得られた知見をベースに保険相談に特化したビデオ通話システム「Dynamic OMO」を独自開発し、2021年11月より本社内にオンライン専門の営業拠点「保険市場 スマートコンサルティングプラザ」を開設した。また、アバターシステムを組み合わせたオンライン接客ツールの外販も開始するなど先進技術を積極的に取り入れているのが特徴だ。

販売する保険商品は生命保険や損害保険、少額短期保険など個人が利用する保険商品のほか、法人向け保険商品も取り扱っている。2024年6月末時点の取扱保険会社数は96社(生命保険31社、損害保険27社、少額短期保険38社)、保険商品数では340点を超え業界最大規模となっている。

保険代理店事業における主な売上は、保険会社から支払われる手数料収入である。保険契約者が保険会社に支払った保険料に対して、定められた手数料率を乗じたものが保険会社から同社へ支払われる。生命保険など支払いが複数年にわたるものは、将来の手数料債権を現在価値に割り引いたPV収入として売上計上している。割引率は10年物国債の利率をリスクフリーレートとし、これに保険会社ごとの商品解約率を加味して算出している。このため、解約率が外部環境の変化等により上昇した場合には過去に売上計上した部分について戻入(減収要因)が発生するリスクがある。手数料率に関しては会社ごと、保険商品ごとに様々だが傾向的には貯蓄性の高い商品の手数料率が低く、逆に掛け捨て型の商品は高くなる。提携代理店で販売契約したものについては手数料収入を約半分にシェアする格好となるが、販売契約のための人件費等がかからないため、利益額としては直営店で販売した場合と比較して大幅に劣後することはない。また、メディア事業との内部取引高として、保険選びサイト「保険市場」に掲載される広告収入を計上している。

販売拠点は、2024年6月20日時点で直営12店舗、提携代理店が714店舗となっている。直営店は金融商品に対するリテラシーの高い30〜50代のアッパーミドル層を主たる顧客ターゲットとしていることから、交通至便な都市部のランドマークビルに出店している。営業スタッフは2024年3月末時点で100名程度となっており、直営店でカバーしきれないエリアの見込み顧客を提携代理店に送客している。提携代理店に関しては、各社のガバナンスやコンプライアンス体制、セキュリティ管理体制等のチェックを定期的に実施することで、代理店の質を維持している。

オンライン保険相談に特化した「スマートコンサルティングプラザ」は、提携代理店のなかでオンライン保険相談を実施していない代理店が多くあり、オンラインの利便性を全国に届けられないといった課題を解消するため立ち上げたものである。オンライン相談によって実面談が必要となった場合には、直営店または提携代理店に送客する。また、「スマートコンサルティングプラザ」には全国のコンサルティングプラザで行われるオンライン保険相談をモニタリングする本部機能を有しており、オンライン保険相談のノウハウを共有し、コミュニケーションの深化を図ることでさらなる生産性向上に取り組んでいる。

2024年9月期からは、オンラインによる顧客との面談について、初回はアバターで接客し2回目以降は顧客にアバターか生身のコンサルタントを指名予約できる仕組みとした。初回については、アバターで面談するほうが顧客の心理的な障壁が下がり、商談が進みやすくなると言ったデータが確認されているためだ。アバターによる接客は国内でも初の取り組みであり、保険業界だけでなく他の業界でも関心が高まっている。アバターの研究開発を行ってきた大阪大学基礎工学研究科の石黒教授がアバターの活用事例として海外の講演で発表し反響を呼んだほか、2025年4月には大阪で開催される国際博覧会でも同教授がプロデュースしたシグネチャーパビリオン「いのちの未来」のなかで取り上げられる予定だ。

(2) ASP事業
ASP事業は、Salesforceのクラウドサービスを活用して社内用に開発・利用してきた顧客管理システム「御用聞き」(2018年11月販売開始)や申込共通プラットフォームシステム「丁稚(DECHI)」(2019年6月販売開始)、オンラインビデオ通話システム「Dynamic OMO」(2021年3月販売開始)などを保険代理店向け等に外販する事業である。また、2023年2月にAVITAと販売代理店契約を締結し、AVITAが提供するアバターサービスと同社の「Dynamic OMO」を組み合わせたアバター接客システムの提供を開始している。

「御用聞き」の特徴は、クラウドサービスにより低コストで利用が可能なこと、保険業法や個人情報保護法等の関係法令に準拠しておりスムーズな顧客情報の管理・共有が可能なこと、各保険商品の手数料データの取り込みと比較・分析ができること、歩合外務員の歩合率を設定する機能や報酬計算機能などを備えていることなどが挙げられる。乗合代理店では多くの保険商品を取り扱っており、保険商品ごとに手数料やインセンティブが異なるなど複雑な仕組みとなっており、業務効率の向上を支援するツールとして導入が進んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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