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城南進研 Research Memo(5):「りんご塾」導入効果により個別指導部門のうち小学生の生徒数は増加(2)

注目トピックス 日本株
*13:05JST 城南進研 Research Memo(5):「りんご塾」導入効果により個別指導部門のうち小学生の生徒数は増加(2)
■城南進学研究社<4720>の業績動向

(4) デジタル教材・ソリューション部門(単体)
デジタル教材・ソリューション部門(単体)では、オンライン学習教材「デキタス」「デキタス・コミュ(演習問題)」を学校・学習塾及びスポーツクラブなどに提供しており、ビジネスモデルとしてはBtoBtoC型となるが、BtoC型でのサービス提供も行っている。小中学生を対象としたオンライン教材で、教科書の内容に沿った授業や演習問題が5教科すべてラインナップされている。オンライン環境とパソコンまたはタブレットがあれば自分のペースでいつでも学習できることや、同社グループの講師陣が監修を行っていることが特長である。

2024年3月期の売上高は前期比31.4%減の233百万円と減収に転じた。経済産業省主催のEdTech導入補助金対象事業(「未来の教室」実証事業)の終了に伴い関連売上1億円強がなくなったためで、同要因を除けばほぼ横ばい水準であった。学校向けでは横浜市に加えて新たに奈良市や名古屋市、大分県など複数の自治体で、不登校生徒への学習サポート用教材として導入が進んだほか、2023年10月よりサービスを開始した「みんなのまなびライブラリー※」として、大手企業向けに従業員向け福利厚生サービスの1メニューとして導入が進んだが、売上へのインパクトは軽微に留まった。

※BtoBtoCのデジタル学習ポータルサイト。グループが開発・運営する4つのオンラインサービスを利用可能で、法人企業の顧客に向けたサービスの1つとして拡販を進めている。売上高は発行ID数のレンジごとに定められた月額利用料金を計上する。


(5) グループ会社
a) 児童教育関連
児童教育関連のうち、千葉県を中心に「星のおうち」「あっとほーむママ」「ルミナ保育園」など認可保育園8園(千葉県6園、東京都1園、神奈川県1園)を運営している城南ナーサリーの売上高は、前期比6.4%増の422百万円と増収基調が続いた。運営園数は変わりなかったものの園児数が増加したほか、新たな取り組みとして2023年6月に児童発達支援教室「フォレストキッズ」(神奈川県川崎市1教室)を開設したことが増収要因となった。「フォレストキッズ」は専門の資格を持ったスタッフが児童の特性に合わせた個別支援計画を作成し、療育(治療と保育・教育)サービスを提供する教室である。現状、発達障害児童※の数に対して児童発達支援施設が不足しており、潜在的なニーズがあると見て新規参入した。専門スタッフの欠員が発生したため、11〜12月は休園していたが、スタッフを確保し2024年1月から再開している(スタッフ数3名)。生徒数は10数名程度で損益分岐点に達していないが、収益化の目途が立てば教室数を増やす予定だ。利用料金は障害福祉サービスの1つとして提供するため、国の補助金で大半が賄われる(3〜5歳児は無償)。自治体によって教室の設置基準などが変わってくるため、各地域の条件に合わせて開設していくことになる。

※「対人関係が苦手」「言葉の遅れ」「行動や興味の偏り」「落ち着きがない」「読み書きの習得の遅れ」など生まれつき脳の機能に偏りがあることで、発達に障害が生じている児童のこと。


埼玉県内で認可保育園「ふぇありぃ保育園」を14園運営している城南フェアリィーの売上高は、同3.4%増の584百万円となった。運営園数に変わりなかったものの園児数の増加が増収要因となった。両子会社ともに売上高は過去最高を更新し、既存園の定員充足率も、少子化で競合が苦戦するなかで高水準で推移している。両園ともに「くぼた式育児法」を採り入れており、サービス面で差別化を図っていることが主因と考えられる。

一方、神奈川県内でネイティブ英語環境下での学童保育施設「城南Kids After School」を6校運営していた城南KIDSの売上高は、同4.7%減の185百万円と減収に転じた。同業他社との生徒獲得競争が激化しており、既存校の生徒数減少が減収要因となった。このため、同社は2024年3月末で定員充足率の低かった鹿島田校を近隣校に統合し、5校体制とした。

b) 英語教育関連
英語教育関連のうち、TOEFL(R)TESTやIELTS対策など留学試験対策専門予備校を1校運営するリンゴ・エル・エル・シーの売上高は前期比22.7%増の59百万円と6期ぶりの増収に転じた。新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、留学を希望する生徒が増加し始めたことが増収要因である。ただ、オンラインサービスを低廉な料金で提供する競合先も増加しているようで、ピーク時売上高(2018年3月期76百万円)に対しては8割弱の水準に留まっている。

企業向けビジネス英語研修及び英会話スクールを運営するアイベックの売上高は、同14.3%減の100百万円と2期連続の減収となった。大口案件の失注が響いたようだ。国内での売上が低迷するなかで、今後は中国や韓国にも対象市場を広げるべく営業活動を行っており、複数の現地企業と交渉を進めている。「iBEC(アイベック)メソッド」は、異文化対応能力やクリティカルシンキングなどグローバルビジネス環境に対応できるリーダーの養成メソッドとして定評があり、対象市場・販路を広げることで収益回復を目指す。

c) その他
スポーツ関連では、スイミングスクールなどの運営を行う久ケ原スポーツクラブの売上高が前期比2.0%増の366百万円と若干ながら増収に転じた。前期に施設改修工事に伴う一時的な休館(2週間)があったため、実質的には横ばい水準だったと見られる。水泳の授業を行う学校が少なくなり習いごとの多様化が進むなかで、スイミングスクールに通う小学生が減少、または通う頻度が減少しているが、「デキタス」など学習サービスを付加することで売上水準を確保している。

一方、イオマガジンの売上高は同26.9%増の112百万円と増収に転じた。同子会社は「デキタス」のシステム開発やコンテンツ制作などを担っているほか、大企業や大学などで利用されているオンライン学習管理システム「Moodle(ムードル)」※の国内における正式パートナーとして導入支援・サポートを行っている。

※「Moodle」はオープンソースのeラーニングプラットフォームで、世界230ヶ国以上、約3.2億人が利用しており、日本でも大企業や多くの大学などで利用されている。同子会社は2016年に正式パートナーとして認定され、サーバー構築から設定、運用、カスタマイズ開発を行っており、2021年7月より利活用促進のためのサポートサービスも開始している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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