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P−京橋アートレジ Research Memo(4):新築マンション開発を主軸に宅地開発やリノベ再販などを展開

注目トピックス 日本株
*14:04JST P−京橋アートレジ Research Memo(4):新築マンション開発を主軸に宅地開発やリノベ再販などを展開
■京橋アートレジデンス<5536>の事業概要

2. 不動産開発創造事業
不動産開発創造事業では、新築マンション開発を主軸に、新築戸建・宅地開発、新築テラスハウス開発、事業用地販売、リノベ再販、コンサルティングなど様々な事業を展開している。

(1) 新築マンション開発事業
新築マンション開発事業では、資産形成を目的とする企業オーナーや富裕層、相続税対策を目的とする資産家や安定経営を目的とする一般事業法人、さらに、日本国内で安定資産を確保したい海外投資家などに向けて、資産形成用収益賃貸レジデンスの「Casa」マンションシリーズを提供している。東京23区内の住環境や生活利便性、賃貸需要の高い立地を厳選し、100m2前後の比較的狭い敷地に4〜5階建で8〜14戸のマンションという、ニッチで価格を抑えた物件の開発を行っているうえ、融資や分散保有などの条件も考慮しているため、主要な顧客層にとって購入しやすい商品となっている。

特に価格面で、一般的な収益用賃貸マンションが鉄骨造のマンション(耐用年数34年)で3億円以下、鉄筋コンクリート造で5億円超という物件の供給が多いなか、「Casa」マンションシリーズは鉄筋コンクリート造(耐用年数47年)にもかかわらず価格が3億円〜5億円となっており、価格優位性が高い。さらに商品面でも優位性があり、鉄筋コンクリート造のため耐火性や遮音性、耐震性、耐久性に優れているのはもちろんだが、デザイン性や居住性、機能性にもこだわってTVモニター付きオートロックシステムや宅配ボックス、浴室TV、エアコンなどを標準装備している。また、物件によっては各住戸専用のトランクルームを設置したり防音仕様とするなど、ユーザーにとってもオーナーにとっても安心・快適で、付加価値や資産性の高いマンションとなっている。このため、2019年3月の第1号物件「Casa Bianca(東京都江東区)」販売開始直後から高い人気を誇り、早くも同社の成長をけん引する事業となっている。

新築マンション販売事業の特徴は、供給エリアや一貫した開発体制にある。供給エリアは、東京都23区のなかでも「新宿、高田馬場」「池袋、練馬」「渋谷、世田谷」「品川、大田」「上野、日暮里、浅草」「江東、城東」の6エリアに絞って効率的な開発をしている。各エリアのなかでも、学生や社会人の賃貸ニーズの高い駅周辺の徒歩10分圏内や大型商業施設、人気の商店街など生活の利便性を重視した開発を基本とするなど、施工効率と販売効率を考慮した事業展開となっている。また、土地の権利調整から厳選した土地の仕入れ、同社建築企画部など内製化された企画・設計・工事監理機能を背景とした魅力的な企画や質の高い工事進行、協力会社のネットワークを活用した設計、施工、販売、賃貸管理と、同社がバリューチェーン全体に関与する一貫開発体制をとっている。こうした特徴が背景にあるため、高質のRCマンションを低価格で供給できるだけでなく、新築マンション事業の事業収支率が業界平均に対して非常に高くなっているようだ。また、近年、実績が増え信用が増したことで、不動産仲介業者のほか、銀行や証券会社、税理士事務所、会計事務所などの紹介による仕入・販売が増えてきた模様である。

(2) 新築戸建・宅地開発事業
同社は、都市型新築戸建住宅「ブライト」シリーズの供給という単独事業と、同社が企画開発の主体となって施工会社や販売会社と協力する共同事業を行っている。「ブライト」シリーズでは、ファミリー層の子育て環境に適した立地や都心部の生活利便性に優れた付加価値の高い立地を厳選して取得し、同社建築企画部が中心となって建物の居住性と品質にこだわった機能的でデザイン性の高い住宅の企画を立て、設計・施工を外部の協力会社に発注、仲介会社などを通じて初めてマイホームを持つユーザーを中心に販売を行っている。共同事業では、敷地面積約10,000平方メートルの生産緑地を67棟の戸建と2つの公園を有する一体街区として開発する千葉県柏市のプロジェクトで、同社が開発許認可と街区計画などを主導し、建築と販売を共同事業先に委託する事業を行っているほか、市川市や中野区、葛飾区、世田谷区においても多棟数の共同事業を展開している。昨今の歴史的な低金利や住宅ローン減税など税制優遇処置を背景に住宅分譲事業者の仕入活動が活発化したことで、地価が急騰し事業用地の確保が困難な状況となってきたため、同社は仕入・開発企画力を生かせる共同事業に重心を移して事業を展開しているところである。

(3) リノベ再販事業
新築物件の価格が高騰するなか、立地に優れ、価値優位性のある中古不動産を、現代のニーズに合わせて高付加価値した不動産に生まれ変わらせるリノベーションが注目されている。同社も以前からリノベ再販事業を行ってきたが、特に区分マンションのリノベ再販は参入障壁が低く競争の激しい分野であった。そこで同社の企画力と富裕層向けネットワークが生かせる、高額ヴィンテージマンションの区分リノベ再販や一棟賃貸マンションのリノベ再販に注力した展開を行っている。開発から販売までのリードタイムが半年〜1年以内の回転の早い事業で、同社の他の事業とシナジーも発揮しやすいと思われる。足元では、フルリノベした高輪のヴィンテージマンションと、共用部分などを高付加価値化した南大塚の一棟賃貸マンションの販売を開始したが、ともに引き合いは良好のようだ。このため、特に一棟賃貸マンションのリノベ再販についてはシリーズ化を検討しているところである。

(4) その他事業
同社は新築マンション開発事業、新築戸建・宅地開発事業、リノベ再販事業のほかにも、不動産を開発し新たな価値を創造する事業を行っている。東京23区を中心とした住環境や生活利便性の高い立地で、低層の資産運用型新築テラスハウスの供給を行っている。ワンルームタイプからメゾネットタイプまで、多様なプランで様々な賃貸ニーズに応えてきたが、資産運用型の新築集合住宅の事業に関しては現在、新築マンション事業に軸足を移している。事業用地販売事業では、瑕疵免責や境界未取得、権利調整など諸事情のある土地を購入し、これまで培ってきた経験や取引先の協力によって物件価値を高め、マンション、ホテル、オフィスなどの事業用地としてディベロッパー各社に販売している。

自社仕入や企画開発力を生かして、同社は土地活用のコンサルティング事業も行っている。所有する土地を有効に活用したいオーナーに対し、アパート・マンションや駐車場、トランクルームの経営など、土地の可能性を最大限に引き出す最も有効な方策や提案を行っている。併せて、有効活用のための周辺地権者との一体開発による権利調整や、オーナーの意向に沿った等価交換などの提案、税務面のフォローなどにも対応している。こうしたノウハウがあることから、千葉県柏市のプロジェクトや川崎市戸手4丁目北優良再開発事業の官民一体プロジェクトで、地権者の取りまとめや事業企画、共同事業者の組成といったプロジェクトマネジメントを実行することができた。今後もプロジェクトマネジメントを中心に、コンサルティングフィーによる収益機会を広げる方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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