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サイジニア Research Memo(6):ZETAの経営統合により収益・財務体質が大きく向上

注目トピックス 日本株
*14:06JST サイジニア Research Memo(6):ZETAの経営統合により収益・財務体質が大きく向上
■サイジニア<6031>の構造改革のまとめ

足元では、同社は構造改革を仕上げる局面に入っているが、それに至る経緯を以下に示す。なお、このなかで特筆されるのは、ZETAが収益性と成長性の両面を常にけん引してきたことである。それゆえに構造改革完了後、同社は利益成長に向かうと弊社では見ている。

1. ZETAの経営統合
ビッグデータ解析と広告配信基盤に強みを持っている同社にとって、大きなターニングポイントとなったのが、構造改革の起点となった2021年7月に実施したZETAの子会社化である。統合以前、同社とZETAはレコメンドを祖業としていたが、同社はデクワスを買収するなどネット広告サービスへ、ZETAはECサイト内検索エンジンへと事業を拡大していった。同社は、ZETAの高収益性と高成長性を取り込むことで収益構造と財務体質を強化し、ネット広告サービスとCX改善サービスの両輪で成長を図ることを目的に、ZETAを経営統合することになった。この結果、同社が研究開発やM&Aなどホールディングス事業、デクワスがフロー型収益のネット広告事業、ZETAがECサイト内検索などストック型収益のCX改善サービス事業を展開する組織体制ができあがった。祖業が同じレコメンドであることから同社とZETAの統合はスムーズに進み、当初から両社の優秀なエンジニアを相互活用するなどシナジーを発揮することができた。ZETAの子会社化は経営統合の好例と評価される。


ネット広告サービスに逆風、CX改善サービスに追い風のクッキー規制

2. 市場の環境変化
同社が属する市場は国内インターネット広告市場とデジタルマーケティング関連ソフトウェア市場で、いずれも同社の顧客が強化している国内EC市場と関連が深く、中長期的に成長が見込まれる。しかし近年、インターネット広告市場において、対話型AIの利用普及やクッキー規制といった大きな環境変化が起きた。なかでもクッキー規制の影響が大きく、アップルは完全にクッキーの利用を禁止、グーグルも延期が続いているものの禁止の方向であり、ポストクッキー時代にはリターゲティング広告などが難しくなると言われている。このため、企業においてはユーザーが能動的に閲覧したくなる仕組みや、閲覧したユーザーのコンバージョン率を引き上げる施策が重要となり、マーケティング予算をインターネット広告から自社ECサイトの強化へとシフトした。こうした環境変化は同社にとって、ネット広告サービスには逆風、CX改善サービスには強い追い風となった。これを受けて同社は、CX改善サービスへの経営資源集中やネット広告サービスの効率化、コスト効率の改善などの構造改革を推進してきた。こうしたなかで大きな決断となったのが、損失が常態化したネット広告サービスからの撤退で、2023年7月にはネット広告サービスの事業売却に踏み切った。


企業統合、社名変更、決算期変更などを実施し、構造改革を仕上げる

3. 構造改革の仕上げ
ネット広告サービスの事業売却によって、構造改革はCX改善サービスに集中する体制を完成するのみとなった。同社は構造改革の仕上げとして、2024年10月1日にZETAとデクワスを吸収合併し、同社、ZETA、デクワス各社に分散している経営資源をZETAに集中することで、業務やコストの最適化と意思決定プロセスの迅速化を推進し、株主価値の一層の増大を目指すこととした。また、「ZETA CXシリーズ」の販促、低収益イメージの払拭を目的にブランディングを実施し、社名もサイジニアからZETAへと変える予定だ。さらに、決算期も従来の6月(ZETAは5月)から12月へと変更する。これは、決算処理と収益がピークとなるZETAの第4四半期(3〜5月)を重ねないことでオペレーションの効率化を図るとともに、収益のピークを上期にすることでIR面で業績予想の信頼性を高めることが目的である。こうした構造改革を6ヶ月の変則決算となる2024年12月期のうちに仕上げ、2025年12月期からは成長戦略に集中する。併せて株主還元も強化し、2024年8月末を基準日として株式分割(1株→2株)を実施する。また、配当性向も中期経営計画の目標30%を2025年12月期に前倒して達成する計画だ。なお、(株)サイジニアアドバンスド研究所(SARI)は、サイエンスをビジネスに活用するための研究と知的財産の活用を主目的としているため、合併の対象から除外されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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