キャスター Research Memo(6):SaaSベンダーとの業務提携やM&Aにも積極的に取り組む
[24/08/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:46JST キャスター Research Memo(6):SaaSベンダーとの業務提携やM&Aにも積極的に取り組む
■主なトピックス
キャスター<9331>は、BPOからBPaaSへの流れを捉え、人材供給のサードパーティとしての立ち位置から、SaaSベンダー(各種プラットフォーマー)との業務提携を推進する方針を打ち出している。また、AI技術の活用についても、M&Aや他社との連携を積極的に進めており、それぞれに具体的な成果をあげることができた。
1. オンライン型ビジネスコンシェルジュサービスの販売開始
2024年3月にコクヨ<7984>との業務提携を締結し、コクヨグループでBPO事業を提供しているコクヨアンドパートナーズ(株)を通じて、新しいオンライン型ビジネスコンシェルジュサービス「オンラインコンシェルジュ」の提供を開始した。コクヨグループでは、これまでも新しい働き方・働く場に合わせた幅広いBPOサービスを提供してきた。今回の協業により、キャスターのリモートワーカーをフルリモート組織で支える最先端のテクノロジーと融合させ、業務効率化、コスト削減、クライアントの競争力向上を実現するところに狙いがある。新サービスの特長として、24時間365日対応、幅広い業務対応、マニュアル準備不要、育成・マネジメント不要、雇用リスク低減などがあげられている。
2. マネーフォワードとの資本業務提携の締結
2024年5月に個人資産管理サービス及びクラウドサービスを提供するマネーフォワード<3994>(以下、MF社)との資本業務提携を締結し、相互の事業拡大に向けて連携を図ることを公表した。基本的な提携内容については、1) MF社の中小企業顧客(約15万社)に対して、キャスターのサービス及び共同開発による新サービスをクロスセルすること、2) MF社が中堅企業顧客(約8千社)向けに展開する「マネーフォワード クラウド」※に対して、キャスターのサービス及びリソースを提供し、多くの機能を導入すること、3) MF社が連携する税理士法人及び会計士法人が直面する人手不足問題に対して、両社連携により新しい人的リソースの提供を行うこと、などが含まれている。今後もさらなる連携について協議を進めていく方針のようだ。なお、本件に伴い、MF社はキャスターの発行済み株式数の20.3%を市場外での相対取引により取得している(2024年4月1日付)。
※バックオフィスに関する様々なデータを連携し、経理や人事労務における面倒な作業を効率化する事業者向けSaaS型サービスプラットフォーム。同社が強化している経理・労務領域にまさに合致するプラットフォームと言える。
3. 建設業向け「eYACHO BPOサービス」の開始
2024年8月には施工管理支援アプリ「eYACHO」※の提供を通じて、建設DXを推進している(株)MetaMoJiとの業務提携により、施工管理業務の一部を代行する「eYACHO BPOサービス」の提供を開始した。建設業向けにBPaaSを提供することで、施工管理支援アプリを活用したプロセスの効率化に加え、書類作成の事前準備、情報収集、工程により入れ替わる協力会社へのツール導入など、時間外労働の要因となる煩雑な作業の軽減を図る。
※図面や資料のペーパーレス化、リアルタイム共有機能、事務所へ戻らず現場で即座に日報・検査帳票等を作成できる機能などを通じて、施工管理の生産性を向上させる施工管理支援アプリである。2024年5月にはセネコンでの利用シェアがNo.1にランキングされている((株)MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査」より)。
4. グラムスの連結子会社化
2024年6月1日付けでEC企業向け業務効率化ツールの開発を手掛けるグラムス※1の全株式を取得し完全子会社化した。グラムスはEC分野のAI開発においてアノテーション※2を行っており、各種大規模言語モデル(LLM)を用いて技術の検証を実施している。本件により、グラムスからの技術共有を受け、リモートアシスタントサービス「CASTER BIZ assistant」で依頼されるEC関連業務に対して、継続的な精度向上を前提としたAI技術を取り入れることが可能になった。
※1 世界12ヶ国から約40名のメンバーが参画し、フルリモートでエンジニア組織を運営している。自社のEC出品業務を改善するために開発した「ZenFotomatic」は、国内大手リユース企業をはじめ、世界180を超える国と地域で利用されている。また、EC運営におけるささげ(商品撮影・採寸・原稿)業務を自動化するツール「SASAGE.APP」や、ささげ業務の代行、EC事業向け業務システム開発サービスを展開している。
※2 アノテーションとは「注釈」という意味で、機械学習のための教師データ作成の際にテキストや音声、画像などのデータにタグやメタタグと呼ばれる情報を付与する作業のことである。
5. オルツとの合弁契約書の締結
2024年9月1日には、(株)オルツ※との間で、生成AIを活用したブロダクト開発及びサービス運用を主な内容とする合弁事業を開始するため、新会社(株)LUVO(ルヴォ)を設立した。キャスターの持つ人材事業に関する知見とオルツの有するAI要素技術とを組み合わせることで、人の生産的労働の向上を図るところに狙いがある。まずはAI学習における必需品とも言えるアノテーションの事業を中心として、パーソナル人工知能構想との融合を進める考えだ。なお、キャスターの完全子会社として設立されたLUVOに対しては、今後、オルツによる現物(ライセンス及び技術)供与が行われる予定であり、供与された現物についてはDES(デット・エクイティ・スワップ)により資本に転換されるスキームとなっている。
※P.A.I(R)(パーソナル人工知能)、AIクローンを作り出すことによって、「人の非生産的労働からの解放を目指す」ベンチャー企業。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<SO>
■主なトピックス
キャスター<9331>は、BPOからBPaaSへの流れを捉え、人材供給のサードパーティとしての立ち位置から、SaaSベンダー(各種プラットフォーマー)との業務提携を推進する方針を打ち出している。また、AI技術の活用についても、M&Aや他社との連携を積極的に進めており、それぞれに具体的な成果をあげることができた。
1. オンライン型ビジネスコンシェルジュサービスの販売開始
2024年3月にコクヨ<7984>との業務提携を締結し、コクヨグループでBPO事業を提供しているコクヨアンドパートナーズ(株)を通じて、新しいオンライン型ビジネスコンシェルジュサービス「オンラインコンシェルジュ」の提供を開始した。コクヨグループでは、これまでも新しい働き方・働く場に合わせた幅広いBPOサービスを提供してきた。今回の協業により、キャスターのリモートワーカーをフルリモート組織で支える最先端のテクノロジーと融合させ、業務効率化、コスト削減、クライアントの競争力向上を実現するところに狙いがある。新サービスの特長として、24時間365日対応、幅広い業務対応、マニュアル準備不要、育成・マネジメント不要、雇用リスク低減などがあげられている。
2. マネーフォワードとの資本業務提携の締結
2024年5月に個人資産管理サービス及びクラウドサービスを提供するマネーフォワード<3994>(以下、MF社)との資本業務提携を締結し、相互の事業拡大に向けて連携を図ることを公表した。基本的な提携内容については、1) MF社の中小企業顧客(約15万社)に対して、キャスターのサービス及び共同開発による新サービスをクロスセルすること、2) MF社が中堅企業顧客(約8千社)向けに展開する「マネーフォワード クラウド」※に対して、キャスターのサービス及びリソースを提供し、多くの機能を導入すること、3) MF社が連携する税理士法人及び会計士法人が直面する人手不足問題に対して、両社連携により新しい人的リソースの提供を行うこと、などが含まれている。今後もさらなる連携について協議を進めていく方針のようだ。なお、本件に伴い、MF社はキャスターの発行済み株式数の20.3%を市場外での相対取引により取得している(2024年4月1日付)。
※バックオフィスに関する様々なデータを連携し、経理や人事労務における面倒な作業を効率化する事業者向けSaaS型サービスプラットフォーム。同社が強化している経理・労務領域にまさに合致するプラットフォームと言える。
3. 建設業向け「eYACHO BPOサービス」の開始
2024年8月には施工管理支援アプリ「eYACHO」※の提供を通じて、建設DXを推進している(株)MetaMoJiとの業務提携により、施工管理業務の一部を代行する「eYACHO BPOサービス」の提供を開始した。建設業向けにBPaaSを提供することで、施工管理支援アプリを活用したプロセスの効率化に加え、書類作成の事前準備、情報収集、工程により入れ替わる協力会社へのツール導入など、時間外労働の要因となる煩雑な作業の軽減を図る。
※図面や資料のペーパーレス化、リアルタイム共有機能、事務所へ戻らず現場で即座に日報・検査帳票等を作成できる機能などを通じて、施工管理の生産性を向上させる施工管理支援アプリである。2024年5月にはセネコンでの利用シェアがNo.1にランキングされている((株)MM総研「建設業の施工管理支援アプリの利用動向調査」より)。
4. グラムスの連結子会社化
2024年6月1日付けでEC企業向け業務効率化ツールの開発を手掛けるグラムス※1の全株式を取得し完全子会社化した。グラムスはEC分野のAI開発においてアノテーション※2を行っており、各種大規模言語モデル(LLM)を用いて技術の検証を実施している。本件により、グラムスからの技術共有を受け、リモートアシスタントサービス「CASTER BIZ assistant」で依頼されるEC関連業務に対して、継続的な精度向上を前提としたAI技術を取り入れることが可能になった。
※1 世界12ヶ国から約40名のメンバーが参画し、フルリモートでエンジニア組織を運営している。自社のEC出品業務を改善するために開発した「ZenFotomatic」は、国内大手リユース企業をはじめ、世界180を超える国と地域で利用されている。また、EC運営におけるささげ(商品撮影・採寸・原稿)業務を自動化するツール「SASAGE.APP」や、ささげ業務の代行、EC事業向け業務システム開発サービスを展開している。
※2 アノテーションとは「注釈」という意味で、機械学習のための教師データ作成の際にテキストや音声、画像などのデータにタグやメタタグと呼ばれる情報を付与する作業のことである。
5. オルツとの合弁契約書の締結
2024年9月1日には、(株)オルツ※との間で、生成AIを活用したブロダクト開発及びサービス運用を主な内容とする合弁事業を開始するため、新会社(株)LUVO(ルヴォ)を設立した。キャスターの持つ人材事業に関する知見とオルツの有するAI要素技術とを組み合わせることで、人の生産的労働の向上を図るところに狙いがある。まずはAI学習における必需品とも言えるアノテーションの事業を中心として、パーソナル人工知能構想との融合を進める考えだ。なお、キャスターの完全子会社として設立されたLUVOに対しては、今後、オルツによる現物(ライセンス及び技術)供与が行われる予定であり、供与された現物についてはDES(デット・エクイティ・スワップ)により資本に転換されるスキームとなっている。
※P.A.I(R)(パーソナル人工知能)、AIクローンを作り出すことによって、「人の非生産的労働からの解放を目指す」ベンチャー企業。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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