ハッチ・ワーク Research Memo(3):DXサービスを推進(1)
[24/09/13]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
*13:03JST ハッチ・ワーク Research Memo(3):DXサービスを推進(1)
■ハッチ・ワーク<148A>の事業概要
同社の報告セグメントは、月極イノベーション事業とビルディングイノベーション事業である。同社が主軸事業と位置付けている月極イノベーション事業においては、同社が運営する月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」において駐車場利用希望者と駐車場オーナー・管理会社をオンラインで仲介するとともに、オーナー・管理会社に対しては月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」を提供し、契約のオンライン化や駐車場の契約・解約、満空情報などのリアルタイム運用、収納代行までの支援を行い、「月極駐車場のDX」を推進している。ビルディングイノベーション事業は、東京・神奈川・大阪で貸会議室「アットビジネスセンター」を運営する。また、東京でレンタルオフィスを提供するサービス「in Square(インスクエア)」を運営するほか、オフィスビルのPM(プロパティマネジメント)・BM(ビルメンテナンス)サービスも提供する。
1. 月極イノベーション事業
(1) 特徴
月極駐車場ビジネスは、不動産所有者にとって遊休不動産の用途が決まるまでのつなぎとして活用されることが多く、不動産管理会社にとっても単価が安く管理が相対的に煩雑であるため、双方にとって事業のメインストリームになり難い。
また、賃貸住宅などと異なり、月極駐車場のオーナー・管理会社はクローズな台帳・システムで管理していることが多く、利用希望者は現地の不動産店舗、管理会社に個別訪問や電話で問い合わせ、対面で交渉のうえ、紙で契約手続きを進めるなど手間がかかるのが実情だ。しかし、同社の「アットパーキングクラウド」を導入すれば、近隣の駐車場の検索から契約手続きまでをオンラインで進めることができ、駐車場利用希望者だけでなく、オーナー・管理会社側においても時間と工数を大幅に削減することが可能となる。同社のシミュレーションによれば、管理台数が1,000台で毎月20台が入れ替わると仮定した場合、管理会社は物件情報の掲載、募集、審査、契約手続き、賃料回収といった契約・管理業務の最大95%を削減できるという。加えて、契約、解約や満空情報などのデータをリアルタイムで更新するほか、「アキマチ(R)」※予約機能があるため、空スペースの稼働率向上など月極駐車場の利用価値を最大化できる。実際に、同社が全国の「アットパーキングクラウド」導入駐車場約10万区画の稼働率の推移を追ったところ、2021年12月末には81.7%だった稼働率が、2023年12月末には87.3%に向上したという。
※ 駐車スペースが満車であっても予約ができ、空車になると連絡が届く。「アキマチ(R)」は同社の商標登録。
「アットパーキング」掲載の駐車場は、2023年12月末時点で全国52,000ヶ所以上あり国内最大規模を誇る。また、利用者への訴求チャネルを拡大するために、大手不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」「at home」ともデータ連携を行っているほか、「アットパーキングクラウド」に登録している駐車スペースはデータ連携によりリアルタイムで満空情報が更新されるなど、利用者にとっても利便性が高く、「アットパーキング」の訪問者は月間で30万人を超し、契約件数とともに年々増加傾向にある。
また、月極駐車場は時間貸し駐車場と異なり競合は激しくなく、一度契約すると転居などがあるまで一定期間の利用が安定的に確保される。オーナー・管理会社からのシステム利用料、駐車場利用者からの月額保証料がリカーリング収益として発生するストック型ビジネスであり、「アットパーキングクラウド」の導入の進展、登録台数の拡大に伴い累積的に売上が増加するビジネスモデルとなっている。
サブリースなどで月極駐車場を運営する企業や月極駐車場の仲介ポータルサイトを運営する企業、月極駐車場の管理システムを販売する企業などが競合他社と認識されるが、オーナー・管理会社向けの「アットパーキングクラウド」は、同社で運営するポータルサイト「アットパーキング」とリアルタイムでデータ連携しながらサービス提供を行い、オーナー・管理会社と駐車場利用者双方にメリットをもたらす点がユニークであり、他社にはない強みとなっている。
(2) 市場規模
国内自動車販売台数は2023年で累計5,755千台(2019年比7.1%減)と頭打ちの状況にあるが、国内自動車保有台数は2024年3月末で61,979千台(2019年比0.3%増)と依然として緩やかな増加傾向にある。保有台数分だけ保管場所(駐車場)が必要となるが、スペースは自己敷地かそれ以外(月極駐車場を含む)に大別される。月極駐車場の公式データは存在しないため、同社では「建て方別住宅数」における共同住宅数の割合43.5%(出所:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査)と同程度の比率で月極駐車場が少なくとも約27百万台分、存在すると推定している。また、土地有効活用の観点から月極駐車場が新たに設置されるケースもあり、月極駐車場の市場は国内自動車保有台数の増減とは必ずしも連動しない。一方、同社のAPクラウド登録台数は345千台(2024年6月末現在)であり、市場の開拓余地は相当大きいと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
■ハッチ・ワーク<148A>の事業概要
同社の報告セグメントは、月極イノベーション事業とビルディングイノベーション事業である。同社が主軸事業と位置付けている月極イノベーション事業においては、同社が運営する月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」において駐車場利用希望者と駐車場オーナー・管理会社をオンラインで仲介するとともに、オーナー・管理会社に対しては月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド」を提供し、契約のオンライン化や駐車場の契約・解約、満空情報などのリアルタイム運用、収納代行までの支援を行い、「月極駐車場のDX」を推進している。ビルディングイノベーション事業は、東京・神奈川・大阪で貸会議室「アットビジネスセンター」を運営する。また、東京でレンタルオフィスを提供するサービス「in Square(インスクエア)」を運営するほか、オフィスビルのPM(プロパティマネジメント)・BM(ビルメンテナンス)サービスも提供する。
1. 月極イノベーション事業
(1) 特徴
月極駐車場ビジネスは、不動産所有者にとって遊休不動産の用途が決まるまでのつなぎとして活用されることが多く、不動産管理会社にとっても単価が安く管理が相対的に煩雑であるため、双方にとって事業のメインストリームになり難い。
また、賃貸住宅などと異なり、月極駐車場のオーナー・管理会社はクローズな台帳・システムで管理していることが多く、利用希望者は現地の不動産店舗、管理会社に個別訪問や電話で問い合わせ、対面で交渉のうえ、紙で契約手続きを進めるなど手間がかかるのが実情だ。しかし、同社の「アットパーキングクラウド」を導入すれば、近隣の駐車場の検索から契約手続きまでをオンラインで進めることができ、駐車場利用希望者だけでなく、オーナー・管理会社側においても時間と工数を大幅に削減することが可能となる。同社のシミュレーションによれば、管理台数が1,000台で毎月20台が入れ替わると仮定した場合、管理会社は物件情報の掲載、募集、審査、契約手続き、賃料回収といった契約・管理業務の最大95%を削減できるという。加えて、契約、解約や満空情報などのデータをリアルタイムで更新するほか、「アキマチ(R)」※予約機能があるため、空スペースの稼働率向上など月極駐車場の利用価値を最大化できる。実際に、同社が全国の「アットパーキングクラウド」導入駐車場約10万区画の稼働率の推移を追ったところ、2021年12月末には81.7%だった稼働率が、2023年12月末には87.3%に向上したという。
※ 駐車スペースが満車であっても予約ができ、空車になると連絡が届く。「アキマチ(R)」は同社の商標登録。
「アットパーキング」掲載の駐車場は、2023年12月末時点で全国52,000ヶ所以上あり国内最大規模を誇る。また、利用者への訴求チャネルを拡大するために、大手不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」「at home」ともデータ連携を行っているほか、「アットパーキングクラウド」に登録している駐車スペースはデータ連携によりリアルタイムで満空情報が更新されるなど、利用者にとっても利便性が高く、「アットパーキング」の訪問者は月間で30万人を超し、契約件数とともに年々増加傾向にある。
また、月極駐車場は時間貸し駐車場と異なり競合は激しくなく、一度契約すると転居などがあるまで一定期間の利用が安定的に確保される。オーナー・管理会社からのシステム利用料、駐車場利用者からの月額保証料がリカーリング収益として発生するストック型ビジネスであり、「アットパーキングクラウド」の導入の進展、登録台数の拡大に伴い累積的に売上が増加するビジネスモデルとなっている。
サブリースなどで月極駐車場を運営する企業や月極駐車場の仲介ポータルサイトを運営する企業、月極駐車場の管理システムを販売する企業などが競合他社と認識されるが、オーナー・管理会社向けの「アットパーキングクラウド」は、同社で運営するポータルサイト「アットパーキング」とリアルタイムでデータ連携しながらサービス提供を行い、オーナー・管理会社と駐車場利用者双方にメリットをもたらす点がユニークであり、他社にはない強みとなっている。
(2) 市場規模
国内自動車販売台数は2023年で累計5,755千台(2019年比7.1%減)と頭打ちの状況にあるが、国内自動車保有台数は2024年3月末で61,979千台(2019年比0.3%増)と依然として緩やかな増加傾向にある。保有台数分だけ保管場所(駐車場)が必要となるが、スペースは自己敷地かそれ以外(月極駐車場を含む)に大別される。月極駐車場の公式データは存在しないため、同社では「建て方別住宅数」における共同住宅数の割合43.5%(出所:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査)と同程度の比率で月極駐車場が少なくとも約27百万台分、存在すると推定している。また、土地有効活用の観点から月極駐車場が新たに設置されるケースもあり、月極駐車場の市場は国内自動車保有台数の増減とは必ずしも連動しない。一方、同社のAPクラウド登録台数は345千台(2024年6月末現在)であり、市場の開拓余地は相当大きいと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>