サスメド Research Memo(1):治療用アプリ開発と創薬開発プロセスの効率化支援を展開するベンチャー企業
[24/09/20]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
*11:01JST サスメド Research Memo(1):治療用アプリ開発と創薬開発プロセスの効率化支援を展開するベンチャー企業
■要約
サスメド<4263>は、ミッションに「ICTの活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること」を掲げ、医薬品及び医療機器に次ぐ第三の治療法として注目されるデジタル治療(Digital Therapeutics、以下、DTx)を開発する研究開発段階のベンチャー企業である。
1. 治療用アプリ開発と創薬開発プロセス効率化支援を展開
治療用アプリを開発するDTxプロダクト事業、及び製薬企業の臨床開発効率化を支援するDTxプラットフォーム事業を展開している。治療用アプリとは、薬剤や医療機器を用いた治療ではなく、患者のスマートフォンにダウンロードされたアプリケーションによって治療を施す新しいデジタル療法である。誰でも利用できる一般的なヘルスケアアプリとは異なり、薬機法上の医療機器として規制当局の薬事承認を得ることが必要になる。DTxプラットフォーム事業は治療用アプリ開発プラットフォーム「QDTx(R)」を活用したDTx開発支援サービス、医療ビッグデータを分析する機械学習自動分析サービス「Awesome Intelligence(R)」(以下、「Awesome Intelligence」)、製薬企業向けに臨床試験の効率化を支援する汎用臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(R)」(以下、「SUSMED SourceDataSync」)などを提供している。特に「SUSMED SourceDataSync」は、ブロックチェーン技術の実装によりモニタリングに関する工数と費用の大幅削減に貢献する。
2. 不眠障害治療用アプリは製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、保険収載に向けて前進
不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」については、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、保険収載の手続きを進めていたが、その後、令和6年度診療報酬改定時の議論において保険収載を見送る方針が示されたため、2024年1月29日付で保険適用希望書を一旦取り下げていた。令和6年度診療報酬改定においては、同社が開発を行っている疾患治療用プログラム全般に関して原則として特定保険医療材料として評価する旨の保険医療材料制度の見直しが行われたことから、新制度を前提に規制当局と協議を重ね、2024年8月30日付で製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。今後の見通しとして、製造販売承認事項の一部変更が承認された場合、一般的には保険医療材料等専門組織での審議、中央社会保険医療協議会での承認を経て保険収載が行われるとされており、具体的な日程は未定だが、保険収載に向けて前進したことになる。
3. 2024年6月期は研究開発費増加で損失拡大
2024年6月期の業績(非連結)は、事業収益が前期比35.4%減の342百万円、営業損失が364百万円(2023年6月期は48百万円の損失)、経常損失が357百万円(同44百万円の損失)、当期純損失が357百万円(同50百万円の損失)だった。DTxプラットフォーム事業は安定的に収益を計上したが、DTxプロダクト事業で契約一時金及びマイルストン収入が減少したため全体として減収となり、研究開発費の増加(前期比38.0%増の243百万円)も影響して損失が拡大した。なお営業損失は前期比では拡大したが、前回予想値(2024年2月14日付公表値)に対しては損失幅が縮小した。
4. 2025年6月期は研究開発費増加で損失拡大も大幅増収予想
2025年6月期の業績(非連結)は、事業収益が前期比39.9%増の479百万円、営業損失が583百万円(2024年6月期は364百万円の損失)、経常損失が583百万円(同357百万円の損失)、当期純損失が589百万円(同357百万円の損失)と見込んでいる。パイプライン開発進捗に伴う研究開発費の増加(前期比68.3%増の409百万円の計画)や事業拡大に向けた採用増に伴う人件費の増加などにより営業損失拡大を見込む。ただし売上面は、DTxプロダクト事業の契約一時金やマイルストン収入の計上、DTxプラットフォーム事業の安定的な売上拡大により大幅増収の見込みだ。重点施策として、DTxプロダクト事業では不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」の保険収載、パイプラインの開発進捗を推進する。DTxプラットフォーム事業では臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync」の複数試験での稼働、静脈疾患レジストリシステムの稼働などを推進する。
5. 開発パイプライン拡充やDTxプラットフォーム事業の契約拡大を推進
同社は研究開発段階にあるため数値的な目標となる経営指標を設定していないが、成長戦略として、DTxプロダクト事業では長期的視点での収益最大化に向けた開発パイプライン件数拡充や臨床試験進捗、DTxプラットフォーム事業では収益の継続的かつ累積的な増加を実現するための契約件数拡大や新サービス拡充などを、重要な経営指標と位置付けている。こうした経営指標を高めるために、医療機関・学術研究機関・製薬企業などとの共同研究やアライアンスなども推進している。さらにDTxプロダクト事業の海外展開として、法令の有無、保険償還の仕組み、市場規模、競合の有無などの要素を複合的に判断し、進出国を選定中である。
6. 中長期成長ポテンシャルを評価
同社は研究開発段階のベンチャー企業のため、当面は研究開発費用が先行して期間損益のマイナスが継続する見込みだ。ただし、不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」について、製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことにより、保険収載に向けて前進した。国の政策として厚生労働省がプログラム医療機器の普及促進に向けて承認環境の整備を推進していることも追い風であり、今後のDTxプロダクト事業のパイプライン開発進展に弾みがつくことが期待される。ブロックチェーン技術の応用によるDTxプラットフォーム事業の拡大も併せて、中長期成長ポテンシャルを評価したいと弊社では考えている。
■Key Points
・治療用アプリ開発の「DTxプロダクト事業」と創薬開発プロセスの効率化支援の「DTxプラットフォーム事業」を展開するベンチャー企業
・不眠障害治療用アプリは製造販売承認事項一部変更承認申請により保険収載に向けて前進
・2024年6月期は損失拡大。2025年6月期は研究開発費増加で損失拡大も大幅増収予想
・開発パイプライン拡充やDTxプラットフォーム事業の契約拡大を推進
・中長期成長ポテンシャルを評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<HN>
■要約
サスメド<4263>は、ミッションに「ICTの活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること」を掲げ、医薬品及び医療機器に次ぐ第三の治療法として注目されるデジタル治療(Digital Therapeutics、以下、DTx)を開発する研究開発段階のベンチャー企業である。
1. 治療用アプリ開発と創薬開発プロセス効率化支援を展開
治療用アプリを開発するDTxプロダクト事業、及び製薬企業の臨床開発効率化を支援するDTxプラットフォーム事業を展開している。治療用アプリとは、薬剤や医療機器を用いた治療ではなく、患者のスマートフォンにダウンロードされたアプリケーションによって治療を施す新しいデジタル療法である。誰でも利用できる一般的なヘルスケアアプリとは異なり、薬機法上の医療機器として規制当局の薬事承認を得ることが必要になる。DTxプラットフォーム事業は治療用アプリ開発プラットフォーム「QDTx(R)」を活用したDTx開発支援サービス、医療ビッグデータを分析する機械学習自動分析サービス「Awesome Intelligence(R)」(以下、「Awesome Intelligence」)、製薬企業向けに臨床試験の効率化を支援する汎用臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(R)」(以下、「SUSMED SourceDataSync」)などを提供している。特に「SUSMED SourceDataSync」は、ブロックチェーン技術の実装によりモニタリングに関する工数と費用の大幅削減に貢献する。
2. 不眠障害治療用アプリは製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、保険収載に向けて前進
不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」については、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、保険収載の手続きを進めていたが、その後、令和6年度診療報酬改定時の議論において保険収載を見送る方針が示されたため、2024年1月29日付で保険適用希望書を一旦取り下げていた。令和6年度診療報酬改定においては、同社が開発を行っている疾患治療用プログラム全般に関して原則として特定保険医療材料として評価する旨の保険医療材料制度の見直しが行われたことから、新制度を前提に規制当局と協議を重ね、2024年8月30日付で製造販売承認事項一部変更承認申請を行った。今後の見通しとして、製造販売承認事項の一部変更が承認された場合、一般的には保険医療材料等専門組織での審議、中央社会保険医療協議会での承認を経て保険収載が行われるとされており、具体的な日程は未定だが、保険収載に向けて前進したことになる。
3. 2024年6月期は研究開発費増加で損失拡大
2024年6月期の業績(非連結)は、事業収益が前期比35.4%減の342百万円、営業損失が364百万円(2023年6月期は48百万円の損失)、経常損失が357百万円(同44百万円の損失)、当期純損失が357百万円(同50百万円の損失)だった。DTxプラットフォーム事業は安定的に収益を計上したが、DTxプロダクト事業で契約一時金及びマイルストン収入が減少したため全体として減収となり、研究開発費の増加(前期比38.0%増の243百万円)も影響して損失が拡大した。なお営業損失は前期比では拡大したが、前回予想値(2024年2月14日付公表値)に対しては損失幅が縮小した。
4. 2025年6月期は研究開発費増加で損失拡大も大幅増収予想
2025年6月期の業績(非連結)は、事業収益が前期比39.9%増の479百万円、営業損失が583百万円(2024年6月期は364百万円の損失)、経常損失が583百万円(同357百万円の損失)、当期純損失が589百万円(同357百万円の損失)と見込んでいる。パイプライン開発進捗に伴う研究開発費の増加(前期比68.3%増の409百万円の計画)や事業拡大に向けた採用増に伴う人件費の増加などにより営業損失拡大を見込む。ただし売上面は、DTxプロダクト事業の契約一時金やマイルストン収入の計上、DTxプラットフォーム事業の安定的な売上拡大により大幅増収の見込みだ。重点施策として、DTxプロダクト事業では不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」の保険収載、パイプラインの開発進捗を推進する。DTxプラットフォーム事業では臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync」の複数試験での稼働、静脈疾患レジストリシステムの稼働などを推進する。
5. 開発パイプライン拡充やDTxプラットフォーム事業の契約拡大を推進
同社は研究開発段階にあるため数値的な目標となる経営指標を設定していないが、成長戦略として、DTxプロダクト事業では長期的視点での収益最大化に向けた開発パイプライン件数拡充や臨床試験進捗、DTxプラットフォーム事業では収益の継続的かつ累積的な増加を実現するための契約件数拡大や新サービス拡充などを、重要な経営指標と位置付けている。こうした経営指標を高めるために、医療機関・学術研究機関・製薬企業などとの共同研究やアライアンスなども推進している。さらにDTxプロダクト事業の海外展開として、法令の有無、保険償還の仕組み、市場規模、競合の有無などの要素を複合的に判断し、進出国を選定中である。
6. 中長期成長ポテンシャルを評価
同社は研究開発段階のベンチャー企業のため、当面は研究開発費用が先行して期間損益のマイナスが継続する見込みだ。ただし、不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」について、製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことにより、保険収載に向けて前進した。国の政策として厚生労働省がプログラム医療機器の普及促進に向けて承認環境の整備を推進していることも追い風であり、今後のDTxプロダクト事業のパイプライン開発進展に弾みがつくことが期待される。ブロックチェーン技術の応用によるDTxプラットフォーム事業の拡大も併せて、中長期成長ポテンシャルを評価したいと弊社では考えている。
■Key Points
・治療用アプリ開発の「DTxプロダクト事業」と創薬開発プロセスの効率化支援の「DTxプラットフォーム事業」を展開するベンチャー企業
・不眠障害治療用アプリは製造販売承認事項一部変更承認申請により保険収載に向けて前進
・2024年6月期は損失拡大。2025年6月期は研究開発費増加で損失拡大も大幅増収予想
・開発パイプライン拡充やDTxプラットフォーム事業の契約拡大を推進
・中長期成長ポテンシャルを評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<HN>