レジル Research Memo(4):分散型エネルギー事業向けのほか小売も展開
[24/10/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*16:54JST レジル Research Memo(4):分散型エネルギー事業向けのほか小売も展開
■レジル<176A>の事業内容
3. グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業では、再生可能エネルギーを中心に電力小売サービスと分散型エネルギー事業向けの電力調達を行っている。同社が主体となって電力の調達と顧客に対する電力供給(販売)を行っているが、中央電力エナジーでも一部を実施している。電力調達の主体を2社体制にすることで、効率的かつ良好な条件で調達することができるためである。
電力小売サービスでは、同社が外部調達した電力を中小企業の工場やオフィスを中心に、関西圏と関東圏を中心に沖縄県を除く全国に供給(販売)している。電力は高圧電力・低圧電力・特別高圧電力の3種類を扱っており、大手電力会社に比べて安価で供給している。主力の高圧電力の料金体系は、大手事業者の標準的な料金体系に準拠した「固定型料金プラン」(電力量単価(従量部分)が固定)と、電力量料金が電力卸取引市場(JEPX)の取引価格に連動する「市場価格連動型料金プラン」の2つの料金プランを設定している。分散型エネルギー事業のマンション向けの電力調達もグリーンエネルギー事業が行っており、朝方・夜間に電力を多く利用する傾向のマンションの需要と、昼に電力を多く利用する傾向の法人企業の需要を組み合わせることで、電力需要の平準化を図っている。
同社は電力調達先である電力事業者との関係強化を図ることで、安定した調達や有利な調達条件の確保に努める一方、複数の電力会社や発電事業者など異なる調達先を確保することで、多様な電力需要や変化に柔軟に対応する調達体制を構築している。価格変動リスクの高い市場調達への過度な依存を避け、良好な条件による固定調達契約により必要量を確保することを基本に、卸電力取引所からのスポット調達なども含めて様々な電力を組み合わせて調達の最適化を図っている。近年増加している「市場価格連動型料金プラン」向けの電力調達については、主に卸電力取引所から調達している。なお、再生可能エネルギーの供給に関しては、2030年までに法人向けに供給する電力を100%再生可能エネルギーとするという目標から、同社は顧客契約時の同意に基づいた「非化石証書※」による調達(契約数ベース)を行っているが、すでに過半を大きく超えている状況である。
※ 非化石証書:非化石電源で発電された電力のCO2を排出しないという環境価値部分を分離し、取引ができるように証書化したもの。
グリーンエネルギー事業は分散型エネルギー事業の調達元でもあるため、様々なリスクを考慮し、基本的に大きく収益を稼ごうとはしていない。しかし先物市場が立ち上がってリスクヘッジが可能となったことで、顧客数の拡大や価格の地域差を利用したアービトラージなどにより一定の利益を確保できるようになったことから、収益チャンスは着実に取りこむ考えである。なお電力の調達エリアと電力を供給する顧客のエリアが異なる場合は、調達したエリアにある電力卸取引市場で売却したうえで供給先のエリアで電力を購入して供給する間接オークション取引を行っているが、会計上は売上高と売上原価の双方に計上されることになり、売上総利益以下への影響は小さいと言える。
エネルギー業界の各種後方業務の受託サービスをワンストップで提供
4. エネルギーDX事業
エネルギーDX事業では、主にエネルギー業界の事業者向けに、料金請求・収納代行業務や問い合せ・コールセンター業務などの各種後方業務の受託サービスを提供している。サービスは、同社が有する設備の保安・点検業務のノウハウやリソースを活用した「電気保安管理サービス」と、分散型エネルギー事業やグリーンエネルギー事業のために開発したシステムや業務フローなどをBPaaS※形態で提供する「DX支援サービス」を展開している。同社がDX支援サービスを、中央電力ソリューションが電気保安管理サービスを提供している。
※ BPaaS(Business Process as a Service):特定の業務プロセスを外部企業へアウトソーシングし、その外部企業のノウハウやITツール(SaaS)によって業務効率化を実現するサービス。
電気保安管理サービスでは、同業の一括受電事業者・電気設備保安事業者・一般事業者に対し、高圧受変電設備など電気設備の保安・点検業務の受託サービスを提供している。顧客が設置している電気設備の定期点検を実施し、点検結果の経年履歴をデータベース化して設備更新計画の策定など最善の設備管理を実施している。DX支援サービスでは、同業のエネルギー関連企業から料金請求や収納代行業務、コールセンター業務といった各種後方業務のオペレーションやシステム運用、コンサルティングなどを受託している。エネルギー業界業務をよく知る同社が業務改善からシステム提供、業務運用までをワンストップで提供している点に特長があり、高い成長が期待される。
3つの事業が相互に補完し合い、付加価値を高める
5. ビジネスモデルと強み
グリーンエネルギー事業が電力(実質再生可能エネルギーを含む)の調達と供給を通じて、分散型エネルギー事業をサポートしている。また、こうしたやり取りのなかで開発されたシステムやオペレーションは、エネルギーDX事業を外販事業として立ち上げる一方、顧客の紹介や業務の効率化といった形で分散型エネルギー事業とグリーンエネルギー事業にフィードバックされ、分散型エネルギー事業では電気保安管理サービスの提供を可能とした。同社のビジネスモデルの特徴は、このように3つの事業が相互に補完し合い付加価値を高めつつ、多様な顧客に価値を提供する形態となっているところにある。さらに、経営資源の傾斜配分や事業ポートフォリオの最適化を推進することで、こうしたビジネスモデルを分散型エネルギープラットフォームへと進化させていく考えである。
同社の強みはビジネスモデルそのものにあるが、3事業にもそれぞれの強みがある。分散型エネルギー事業は、これまでの事業活動で培ったノウハウ・システムを磨き込んでコスト競争力を創出してきたことで、既存マンションの領域においてユニークなポジションを確立した。グリーンエネルギー事業の強みは昼夜間需要時間帯の平準化とボリュームディスカウントを生かした調達力にあり、エネルギーDX事業の強みはエネルギー企業として培ってきたノウハウと、業務改善コンサルティングからシステム提供、業務運用までのワンストップ・サービスにある。また、解約率はほぼゼロで、リカーリング収益が中心であることも、収益上の強みである。このほか、各分野のプロとして実績を積んできた経営陣、様々なソリューションを組み合わせたサービスの創出力、環境に即時対応するサービス開発スピードなども強みと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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■レジル<176A>の事業内容
3. グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業では、再生可能エネルギーを中心に電力小売サービスと分散型エネルギー事業向けの電力調達を行っている。同社が主体となって電力の調達と顧客に対する電力供給(販売)を行っているが、中央電力エナジーでも一部を実施している。電力調達の主体を2社体制にすることで、効率的かつ良好な条件で調達することができるためである。
電力小売サービスでは、同社が外部調達した電力を中小企業の工場やオフィスを中心に、関西圏と関東圏を中心に沖縄県を除く全国に供給(販売)している。電力は高圧電力・低圧電力・特別高圧電力の3種類を扱っており、大手電力会社に比べて安価で供給している。主力の高圧電力の料金体系は、大手事業者の標準的な料金体系に準拠した「固定型料金プラン」(電力量単価(従量部分)が固定)と、電力量料金が電力卸取引市場(JEPX)の取引価格に連動する「市場価格連動型料金プラン」の2つの料金プランを設定している。分散型エネルギー事業のマンション向けの電力調達もグリーンエネルギー事業が行っており、朝方・夜間に電力を多く利用する傾向のマンションの需要と、昼に電力を多く利用する傾向の法人企業の需要を組み合わせることで、電力需要の平準化を図っている。
同社は電力調達先である電力事業者との関係強化を図ることで、安定した調達や有利な調達条件の確保に努める一方、複数の電力会社や発電事業者など異なる調達先を確保することで、多様な電力需要や変化に柔軟に対応する調達体制を構築している。価格変動リスクの高い市場調達への過度な依存を避け、良好な条件による固定調達契約により必要量を確保することを基本に、卸電力取引所からのスポット調達なども含めて様々な電力を組み合わせて調達の最適化を図っている。近年増加している「市場価格連動型料金プラン」向けの電力調達については、主に卸電力取引所から調達している。なお、再生可能エネルギーの供給に関しては、2030年までに法人向けに供給する電力を100%再生可能エネルギーとするという目標から、同社は顧客契約時の同意に基づいた「非化石証書※」による調達(契約数ベース)を行っているが、すでに過半を大きく超えている状況である。
※ 非化石証書:非化石電源で発電された電力のCO2を排出しないという環境価値部分を分離し、取引ができるように証書化したもの。
グリーンエネルギー事業は分散型エネルギー事業の調達元でもあるため、様々なリスクを考慮し、基本的に大きく収益を稼ごうとはしていない。しかし先物市場が立ち上がってリスクヘッジが可能となったことで、顧客数の拡大や価格の地域差を利用したアービトラージなどにより一定の利益を確保できるようになったことから、収益チャンスは着実に取りこむ考えである。なお電力の調達エリアと電力を供給する顧客のエリアが異なる場合は、調達したエリアにある電力卸取引市場で売却したうえで供給先のエリアで電力を購入して供給する間接オークション取引を行っているが、会計上は売上高と売上原価の双方に計上されることになり、売上総利益以下への影響は小さいと言える。
エネルギー業界の各種後方業務の受託サービスをワンストップで提供
4. エネルギーDX事業
エネルギーDX事業では、主にエネルギー業界の事業者向けに、料金請求・収納代行業務や問い合せ・コールセンター業務などの各種後方業務の受託サービスを提供している。サービスは、同社が有する設備の保安・点検業務のノウハウやリソースを活用した「電気保安管理サービス」と、分散型エネルギー事業やグリーンエネルギー事業のために開発したシステムや業務フローなどをBPaaS※形態で提供する「DX支援サービス」を展開している。同社がDX支援サービスを、中央電力ソリューションが電気保安管理サービスを提供している。
※ BPaaS(Business Process as a Service):特定の業務プロセスを外部企業へアウトソーシングし、その外部企業のノウハウやITツール(SaaS)によって業務効率化を実現するサービス。
電気保安管理サービスでは、同業の一括受電事業者・電気設備保安事業者・一般事業者に対し、高圧受変電設備など電気設備の保安・点検業務の受託サービスを提供している。顧客が設置している電気設備の定期点検を実施し、点検結果の経年履歴をデータベース化して設備更新計画の策定など最善の設備管理を実施している。DX支援サービスでは、同業のエネルギー関連企業から料金請求や収納代行業務、コールセンター業務といった各種後方業務のオペレーションやシステム運用、コンサルティングなどを受託している。エネルギー業界業務をよく知る同社が業務改善からシステム提供、業務運用までをワンストップで提供している点に特長があり、高い成長が期待される。
3つの事業が相互に補完し合い、付加価値を高める
5. ビジネスモデルと強み
グリーンエネルギー事業が電力(実質再生可能エネルギーを含む)の調達と供給を通じて、分散型エネルギー事業をサポートしている。また、こうしたやり取りのなかで開発されたシステムやオペレーションは、エネルギーDX事業を外販事業として立ち上げる一方、顧客の紹介や業務の効率化といった形で分散型エネルギー事業とグリーンエネルギー事業にフィードバックされ、分散型エネルギー事業では電気保安管理サービスの提供を可能とした。同社のビジネスモデルの特徴は、このように3つの事業が相互に補完し合い付加価値を高めつつ、多様な顧客に価値を提供する形態となっているところにある。さらに、経営資源の傾斜配分や事業ポートフォリオの最適化を推進することで、こうしたビジネスモデルを分散型エネルギープラットフォームへと進化させていく考えである。
同社の強みはビジネスモデルそのものにあるが、3事業にもそれぞれの強みがある。分散型エネルギー事業は、これまでの事業活動で培ったノウハウ・システムを磨き込んでコスト競争力を創出してきたことで、既存マンションの領域においてユニークなポジションを確立した。グリーンエネルギー事業の強みは昼夜間需要時間帯の平準化とボリュームディスカウントを生かした調達力にあり、エネルギーDX事業の強みはエネルギー企業として培ってきたノウハウと、業務改善コンサルティングからシステム提供、業務運用までのワンストップ・サービスにある。また、解約率はほぼゼロで、リカーリング収益が中心であることも、収益上の強みである。このほか、各分野のプロとして実績を積んできた経営陣、様々なソリューションを組み合わせたサービスの創出力、環境に即時対応するサービス開発スピードなども強みと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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